日本の経済成長のエンジンとして、技術的なブレークスルー、すなわちイノベーションを通じた
新しい産業の創出を一づけようという動きが活発です。内閣にはイノベーション担当大臣が置かれ、
6月までには『イノベーション25』なる国家戦略のロードマップも提示される予定のようです。
イノベーションを語る上で、知的財産戦略、なかでも特許戦略は欠かせないですよね。
経済産業省では、07年度中に産業活力再生法を改正し、他社の有する特許や技術などの
知的財産を取り込むことを目的にした、買収などの組織再生を税制面などから支援する
方針のようです。休眠特許など、埋もれた知的財産を生かすことでイノベーションにつなげて
いこうという狙いではないでしょうか
しかし、これらの動きには、あらじかめ準備しておかねばならない重要な手当てが、抜け落ちて
いるような気がすると、米国共和党ビジネス・アドバイザリー・カウンセル名誉共同議長
原 丈人 氏が述べています。
それは、現在米国で広がるパテントトロール(通称”特許ゴロ”)への対策です。
『トロール』の由来は北欧の伝説の怪物です。特許権侵害を盾に訴訟を起こし、不当に
高額な賠償金や和解金の獲得を目論む一部の特許権利者のことを、米国ではパテント
トロールと呼ぶようになりました。
その担い手の中核は弁護士事務所です。人数が多すぎるために、常に賢く稼げるビジネス
を嗅ぎ回っている弁護士は、1980年代末にその原理を編み出し、90年代から2000年代
にかけてビジネスを大拡張させてきました。
パテントトロールという組織は、研究開発や製品の製造は行わず、その資産のほとんどは
特許そのものです。 普段は特許を取得したりかき集めたりすることに専念し、時限爆弾の
ように潜行して、新しい技術開発を行う大企業が接触ひたすら待っています。市場規模が
相当程度大きくなると、突然訴訟を起こし、莫大な賠償金を求める手法を取ることが多い。
マイクロソフトに約6000億円もの損害賠償を命じる判決が下されたり、米国の多くのビジ
ネスマンに愛用されている携帯PDA『ブラックベリー』を製造するリサーチ・イン・モーション
社が約700億円で和解したりするなど、そうそうたる大企業が微々たる特許侵害で巨額の
賠償金や和解金を支払う例は、枚挙にいとまないのが現状です。