その1に続き…もう一つのテーマは、芸術論です。

次の箇所がすべてですね。

「本来、我々は自然のものであり、宇宙、言い換えれば神と繋がった存在です。
 それが、人間の手になる文明の中で生きていると、
 必然的に宇宙との繋がりが希薄になってきます。
 だから我々は芸術によって、我々のもつ生命と、それを生かしめている宇宙、
 そして神との繋がりを回復しようとしているのです。
 我々は、自己の生命の根源が、いかようにして宇宙と繋がっているのか、
 それを実感しなければ生命とその核心である魂の燃焼ができないのです。」

(220頁)

『根源へ』はこの箇所を読めば、根源を掴んだことになる、
と私はそう思っています。

文明の進歩を進めれば進めるほど神との繋がりが希薄になり、
それが原因で人々の精神が枯渇するようになり、
一部の人々が何かを求め、その結果、芸術が生まれた。

芸術とは、神との繋がりを回復しようとする活動だったのですね。

それまで私の持っていた芸術観とは全然違いました。
私の持っていた芸術観とは、
岡本太郎の著書に啓発されたことによる
「芸術とは衝動の表現だ」というものです。
ただ、この観念でもまだしっくり肚落ちしたものがなかったのです。

執行氏のこの芸術観によって、視界がよりはっきりし、
私の誠もはっきりしてきたのです。
「音楽は神に捧げるために作ればいいのだ」と。
そうすると、音楽活動に活力が湧いてきたのです。

12年間公務員生活しても、何のあてもなく音楽活動しても、
人間の活力が湧いてこなかった。
その原因は、神との繋がりへの意識の欠如だったのです。

その1で「垂直の生き方」について
「自分が価値のある「何か」を目標に生きること」と述べましたが、
ここで補足させていただくと、この「何か」の根源は神であり、
神との繋がりを意識して生きることが「垂直の生き方」だということです。

以上です。