Appleとデザインの関係は切っても切り離せないものです。
昔は日本ではIT関係といえば秋葉原というようにごちゃごちゃしたガジェットのイメージがあったものですが、そこにデザイン性を追求するという考えはさすがはスティーブジョブズの斬新的見所であったと言えましょう。
日本のみならず、世界的に見てもパソコンがよくできる人といえば瓶底のような分厚いメガネをかけたビルゲイツのような、いわゆるBook Warmのイメージは払拭できなかったでしょう。
特に技術系のエンジニアにとっては知識というものは自分の命のようなもので、覚えれば覚えるほどより複雑で難しいものにチャレンジしたくなる衝動が抑えられなくなってしまうものです。
実際、私の現在開発しているiPhoneアプリ Catch Questionsは今のところ、隠し裏技機能が多く追加してしまったためデザインに困窮しております。
そして、ボタンやら機能やらをどんどん取り入れていくと、まるでカオスのようになり、デザイン性が崩壊してしまう危機に陥るなんてことはよくあることです。
そんな中、ITガジェットにシンプル性を追求するデザインを取り入れたことはITマニア以外の層を一気に取り込む起爆剤となったのは事実でしょう。確かにスティーブジョブズは日本のSonnyのデザイン性に感銘を受けていたところもあり、この試みは元祖ではないことは事実です。またこのことは日本人としては誇らしいところもあります。ただ、ここまでデザインでITメジャーになれたのはジョナサン・アイブを筆頭とするAppleのクリエイティブ部門のお陰であることは間違いありません。
産業デザインというものは技術力と違って、優劣をつけ難いものがあります。また、時を超えるとその時は革新的でも時代遅れという認識を得てしまう可能性もあります。ジョナサン・アイブの手がけた初代Macも今では電子レンジと揶揄される一面もあるかもしれません。ちなみにこれはスティーブジョブズの娘リサの言葉の引用です。
ただ、そんなリサも当時はお弁当箱のようなウォークマンをぶら下げて音楽を聴いていた事実もあります。それが時代を超えて、アイブは後にインダストリアルデザイン界の最高ランク、Industrial Design Excellence Awardを受賞(iPod第五世代)しました。
絵画ではフレームと紙は有限ですが、産業デザインでは媒体が無限です。その無限な媒体で作るデザインはどんなに素晴らしくとも、いかに短命なことでしょうか。
産業デザイナーの皆様のご武運をここにお祈り申し上げます。