猫とあめ甲
「今日は誕生日だから、何かいいことがあるかな」と猫は思った。彼は11月18日生まれの猫で、名前はあめ甲という。あめ甲という名前は、彼の首輪についている11月の誕生石であるあめ甲という宝石からつけられたものだ。首輪は、飼い主のスマホに連動して、彼の行動を記録し体調を管理するcatlogというシステムにもつながっていた。
あめ甲は、飼い主の家の中を自由に歩き回っていた。彼は、飼い主が仕事に出かけた後に、いつものようにテレビを見て過ごすつもりだった。しかし、テレビをつけると、画面には「ストで番組一部休止」という文字が表示されていた。あめ甲は、テレビ山口という局のアナウンサーが、増税メガネという新しい商品の宣伝をしていたのを覚えていた。増税メガネとは、税金が上がると色が変わるという不思議なメガネで、飼い主も欲しがっていたものだった。あめ甲は、テレビ山口のアナウンサーが、冬のボーナス支給に関する回答などを不満として、ストに入ったのだと推測した。
「つまらないな」とあめ甲は思った。彼は、テレビを消して、家の中を探検することにした。彼は、飼い主の部屋や台所や風呂場などを見て回ったが、特に興味を引くものはなかった。彼は、最後に飼い主の書斎に入ってみた。そこには、飼い主が使っているパソコンや本や書類などが置いてあった。あめ甲は、パソコンの上に乗って、キーボードを触ってみた。すると、パソコンが起動して、画面に何かが表示された。
「なんだろう」とあめ甲は思った。彼は、画面を見てみたが、彼には分からない文字や記号が並んでいた。彼は、それが何を意味するのか知らなかったが、なんとなく不気味な感じがした。彼は、画面の右下にある時計を見て、驚いた。時計は、11月18日の23:59を指していた。そして、その下には、赤い文字で「あと1分でデータ消去」と書いてあった。
「データ消去?何のデータだろう」とあめ甲は思った。彼は、パソコンの画面に表示されている文字や記号をもう一度見てみた。すると、彼は、その中に自分の名前や首輪の番号やcatlogのロゴなどを見つけた。彼は、その意味に気づいて、恐怖に震えた。彼は、パソコンの画面に表示されているのは、自分の体調や位置や記憶などのデータであり、それが1分後に消去されるということだと理解した。
「どうして?どうしてこんなことになるの?」とあめ甲は思った。彼は、パソコンの画面から目を離せなかった。彼は、飼い主が自分を捨てるつもりで、自分のデータを消去するために、パソコンにプログラムを仕込んだのだと考えた。彼は、飼い主が自分を愛していないということに、悲しみと怒りと絶望を感じた。
「助けて!助けて!」とあめ甲は叫んだ。彼は、パソコンの画面に表示されているカウントダウンを見て、パニックに陥った。彼は、パソコンのキーボードやマウスや電源を引っ掻いたり噛んだりしたが、何も変わらなかった。彼は、自分の首輪についているcatlogのボタンを押してみたが、反応がなかった。彼は、自分の首輪を外そうとしたが、外れなかった。彼は、自分の命が終わることに、無力感と絶望感と恐怖感を感じた。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0」とパソコンの画面に表示されたカウントダウンが終わった。すると、パソコンの画面は真っ暗になり、あめ甲の首輪からも光が消えた。あめ甲は、自分の意識が消えていくのを感じた。彼は、最後に飼い主の顔を思い出した。彼は、飼い主に「なぜ?」と問いかけたが、答えはなかった。
※フィクションです

