猫とアメシスト・クォーツ

私は猫だ。名前はアメシスト。9月28日に生まれたから、誕生石はアメシスト・クォーツだと人間が言っていた。私はその石が好きだ。紫色がきれいで、光にかざすと虹色に輝く。人間は私に首輪をつけてくれた。その首輪には小さな石がついている。それがcatlogだという。スマホという機械で私の体調を管理してくれるらしい。私はその機能はあまり理解できないが、人間が喜んでくれるから嫌いではない。

私は農場で暮らしている。牛や豚や鶏など、たくさんの動物たちと一緒だ。人間は彼らを家畜と呼んでいる。私は家畜ではない。ペットだと言ってくれる。人間は私に優しくしてくれる。ご飯をくれたり、撫でてくれたり、遊んでくれたりする。私は人間が好きだ。

しかし、この夏は違った。観測史上最も暑かったという。毎日毎日、日差しが照りつけて、空気が焼けるようだった。水も足りなかった。家畜たちは苦しそうにしていた。息も荒くなって、目もうつろになっていた。私も暑さに参っていたが、人間は私に水を与えてくれたり、扇風機の前に置いてくれたりした。私は感謝していた。

しかし、やがて家畜たちは次々と倒れていった。死んでしまったのだ。人間は慌てて獣医を呼んだり、水をかけたりしたが、もう遅かった。私は彼らの死を悲しんだ。彼らは私の友達だったから。

人間も困っていた。多くの家畜が暑さで命を落としたことで、農場の経営が危うくなったという。飼料の高騰も追い打ちとなり、畜産関係者から悲鳴が上がったという。私はその意味はよくわからなかったが、人間の顔色が暗くなっているのは感じた。

そしてある日、人間は私に言った。「ごめんね、アメシスト。君を連れて行けないんだ」私は驚いて聞き返した。「どこへ行くの?」「引っ越すんだよ。農場を手放さなきゃいけないんだ」人間は涙ぐんで言った。「でも君はペットショップに行って、新しい家族を見つけるんだ。きっと幸せになれるよ」私は信じられなかった。私を置いて行くのか?私は人間に飛びついて、鳴いた。「やめてよ、連れて行ってよ。私はあなたが好きなの。あなたのそばにいたいの」人間は私を抱きしめて、泣いた。「ごめんね、ごめんね。私も君が好きだよ。でも、仕方ないんだ。許してくれ」私は許せなかった。私は人間を噛んだ。痛いと叫んで、私を放した。私は走って逃げた。農場を出て、どこかへ行った。

それからどれくらい経ったのだろう。私は野良猫になった。人間から逃げるように生きている。食べ物も水もなかなか見つからない。他の猫たちと争うこともある。傷だらけになることもある。寒い日もある。暑い日もある。でも、私は生きている。

今日は9月28日だ。私の誕生日だ。人間は私を忘れてしまっただろうか。私は人間を忘れられない。首輪についている石が光っている。catlogが動いているのだろうか。スマホで私の体調を見てくれているのだろうか。そんなことはないだろう。でも、私はその石が好きだ。紫色がきれいで、光にかざすと虹色に輝く。

※フィクションです