子供たちの絵を中心に、発達の話、保育の話、自分の半生の話が載っている。

斎藤公子の本は多くの著作で何度も同じようなことをまとまりなく語っているのが特徴だが、その中でこの本において気になったことのメモ。


ガーベラ課題画
自転車の絵
近所にブレーキのこわれた自転車が捨ててあり、ある日ひとりの年長の子が拾ってきていっしょうけんめいこぎ始めた。保母たちは広い庭で自転車乗りをさせてやりたいと話していた。そこでクラス一台ずつ自転車を買い、保母は手を出さないで子供たち同士で助け合って教え合い、2週間でみんなが乗れるようにしようという相談ができあがった。買うと早速乗れる子は早く来て占領し、なかなか譲らなかったり、強く要求する子が優先してしまったりで、いつまでも乗れない子が出てきた。保母はじっと観察して、2週目には誰と誰を援助すればよいかを話し合い、とうろう全員が乗れるようになり、クラス対抗リレーもした。この喜びの頂点の時期に、自転車の絵を描かせてみた。ペダル、チェーン、車輪の関係は難しく、実際にペダルを踏んでみたりしては確かめ、確かめ、3回もかけてやっと本当に動ける自転車を描くことができた。5〜6歳になるとこうした保母のきちんとした要求をもった課題画は子供を知的に育てていく上に重要である。
なお、他園から移ってきた保母が3歳児に机の上だけの観察で果物や野菜を描かせたことがあった。ところが次第に意欲的に描かなくなり、保母は苦労し、反省した。不十分な観察でも、自ら発見したものを描かせ、その瞬間を保母が喜び、認め、意欲的に自分で描こうとさせることが大切である。
→おおまかに3・4歳〜知的リアリズム、9歳〜視的リアリズムだと思っていたので6歳頃に観察的な絵をこういう風に取り組むのだなと納得した。この人の保育観は、納得した、という言い方がしっくりくる。そして何よりこのとても自然な自転車との出会いと、自治的な仲間意識の支援のすごさ。そして絵を描く動機付けの素晴らしさ(絵が先か、感動が先か)。いやほんと、自転車の絵って難しくて経験的に知ってないと描けないし大きさの関係も難しい。


ガーベラ
①0歳児
サルから人間への発達から学び、手の発達を重視する。
②1〜2歳児
泥遊び、散歩を重視。まだ形にならないが、はっきりと目的を持って描き始める
③3歳児
形がかける喜びから、日に十数枚も描くことの大切さ
④4〜5歳児
友だちとの遊びの楽しさを知り、次第に自分の生活を描き始める
⑤やがて学齢期を迎える子ども
自分たちの生活が思うままにかけるようになった子どもたちの手の発達をふまえ、もっとちみつに目と大脳と手が結びついて描けるように保母の一定の計画に基づきとりくむ課題画。
年長児の引き出し…水彩絵の具12色、パレット、筆(太いもの、中くらい、細いもの)、けしゴム、はさみ(1歳後半から使わせている)、のこぎり、金づち等。

ガーベラゆうぎ 律動 リトミック リズム運動
戦後間もなくの頃、日本ではゆうぎをさせていた。これはテンポがおそく、ゆっくりとしたきめられた型は創造的な子どもは好まない。幼い子どもが喜ぶのは律動(アメリカ式保育で学んだ)たいへん早いテンポのものなのである。当時の日本の保育界の講習会ではまds童謡のゆうぎ専門であったので、勤務先の保育園(愛隣館)も次第に則武氏などのゆうぎを取り入れ出したが、斎藤は律動をもっと発展させてみたいと考えた。この時代に武蔵野音楽学校の小林宗作のリトミックを求めて習いに行っていた。ダークローズに直接習い、日本に初めて広めた人である。耳で聞いたリズムをすぐ反射的に表現するのはすぎできるようになるが、耳から入るリズムは一旦しまっておいて別にリズムうぃ身体で表現するのは難しい。右手と左手で別のリズムを表現したり、アクセントの強いところで前進をおさえ、弱いところに強い動きをするなどは高度の脳髄の働きを必要とする。絶対音をとらえること、和音のききわけ、ピアノの速奏法も習った。

ガーベラ保母学校
自分が苦労して辿り着いた保育の探究の道の道すじをきちんと知らせたくて保母学校を開いた。週1、夜に2時間。
文学…ギリシア神話、中世ナイト物語、インドのジャカータ物語、日本の雨月物語、おとぎ草子などの古典。アンデルセン、グリム、プーシキン民話などの優れた外国の児童文学。明治の巌谷小波から、宮沢賢治、新美南吉、斎藤隆介、松谷みよ子、吉田タキノ氏のすぐれた代表作の読みと討論。子供の絵本、ソビエトの絵本、ロシヤ伝説集、タマーラ女王。
マカレンコ、クルプスカヤ選集の学習(エレンケイの主張を正しいとしながらも、真の幼児教育は集団の中でこそ保証されるという教育科学に基づいて積極的に行政をかえる闘いを進め体制を作り上げた真の集団主義の教育を実に明快に学ぶことができる)。
→私もこういう長いお話を子供と楽しめるようになりたいし楽しめる子供に育てたいし自分も勉強せねば…(自分はドラえもんとかアニメで終わってる)。そして大分共産主義なワードですな真顔ただ…当時は知らないが現代のこれだけ子供が少ない時代、道は車が占領して危ない時代、核家族で個人主義の時代に、子供の居場所がどれだけ無いかということを思うと、こうした場は貴重であろう。そしてロシアって教育がすごくしっかりしていて、佐藤優の私小説読む限り教養がしっかり身についているっぽくて羨ましいんですよね。


こんな張りのある身のこなし、スイちゃんレベルじゃん


かわいい


今のうちの子




ホリエモンは保育士は誰でもできる仕事だと言ったようだ、くわばらくわばら。