読書覚書。藤沢周平。

もうほとんど図書館に返して、何を読んだか忘れてしまってる・・・




クマノミ「江戸おんな十二景」

・・・

それぞれの主題を得た浮世絵とともに、「文芸春秋」に掲載された

一話完結の12編。


おもしろかった。

各約4000字しかない小品で、物語というより、1人の女性の一瞬を切りとったよう。


この短さで、人の心や人生を垣間見せているのがすごい。

しかも12ヵ月の季節が、それぞれ舞台になってる!

モデルになった浮世絵も、見たかったなぁ~




特に印象の強かったもの「朝顔」「年の市」「おぼろ月」




うお座「広重『名所江戸百景』より」

・・・

安藤広重の「名所江戸百景」から、主題を得た短編7つ。


これも面白かった。遊び心ある趣向も^^


「品川洲崎の男」。主人公のサッパリした気質がいい。


子供をさらう「飛鳥山」

子さらいは罪だけど、これで良かったと思ってしまう。

子供を求める女性と、愛情を求める子供。




フグ短編各種

「冬の潮」

「意気地なし」・・赤ちゃんを抱えた男やもめを、世話焼かずにおれない少女。読後感がよかった。


「秘密」

「しぶとい連中」

「石を抱く」・・・

「暁のひかり」

「龍を見た男」・・・龍がでてくるファンタジーは、気分があがる。

「夜の橋」

「拐し」

「神隠し」

「閉ざされた口」

「闇の穴」

「三年目」

「狂気」

「荒れ野」・・・人を喰う山姥がでてきた!おとぎ話。

「春の雪」

「遠い少女」・・初老の男性が、幼い時にときめきを共有した少女に再会する。

当り前のような現実のありがたさに気付く。


「昔の仲間」

「疫病神」

「裏切り」

「夕べの光」

「冬の足音」

「暗い渦」

「うしろ姿」

「告白」

「捨てた女」

「夜の雷雨」

「暗い鏡」

「人殺し」

「朝焼け」



藤沢周平は、私はやっぱり短編が好き。




うお座「海鳴り」

・・・

仕事では成功したが、家庭内は崩壊している老境の主人公。

薄幸の美人おかみと出会い、恋におちていく。


代表作の一つだけど、主人公に腹が立ち、好きな作品ではなかった。

妻・息子との不和=自分の不倫のせいやん! て・・・


でも、男性というものがよく表現されてるなぁ・・と思った。

ほんとに自分勝手で自分に甘い。





クマノミ「漆の実のみのる国」

・・・

以前の短編「幻にあらず」と同じ、上杉鷹山の長編。

「なせば為る 成さねば為らぬ 何事も。成らぬは人のなさぬなりけり」

の人。

貧しい米沢藩の財政たてなおしがテーマ


私には難しかった↓↓

森の抹殺や、七家騒動、竹俣当綱の失脚etcはおもしろいけど、

その他は政治的なことで・・。


でも、ケネディ元大統領も尊敬していたという上杉鷹山。

名言も多く、とても立派な方でした。




うお座「桐畑に雨のふる日」



クマノミ「野菊守り」

・・・人生の不運が重なり、世の中を冷笑する癖のついた中年武士。

藩の内乱に関わる少女を守ることになり・・。


昔の剣の腕で、少女を守り通した主人公。

いつのまにか冷笑癖が消えていた・・という最後が気持ちいい。

冷笑癖・・・つくのがコワイ癖。






※政治ものは強力な睡眠導入効果だった汗

短編~中編は一気に読めるものばかりでした。