読書覚書。藤沢周平。
「よろずや平四郎活人剣」
・・・
「用心棒日月抄」と似た短編集。
もめごとの仲裁をして、生活費を稼ぐ主人公。
「用心棒シリーズ」の又八郎より、口が達者で軽いけど、
純粋なところもある主人公。
感想は、白黒つけない生き方があるんだな、ということ。
実は強いのに、斬り合わず談合で話をつけたり、
お金を猫ババされた友人とも、信用ならんと思いつつも、何だかんだと付き合っていく。
なるほどなぁ、こういう部分も必要やよなぁ・・と。
好きだったのは「盗む子供」、「逃げる浪人」。
「彫師伊之助捕物覚え」 『消えた女』『漆黒の霧の中で』『ささやく河』
・・・
元岡っ引の職人が、いくつかの事件をおっていく長編。
主人公は少し暗い過去を持ち、ちょっとハードボイルド?な感じ。
武家ものが好きなので、町人ものは退屈かと思いきや、
一気に読んでしまった。
いつもは、サスペンス苦手やけど・・・
そして、拳法?が強い主人公のやり合いがかっこいい^^
主人公はやっぱり強いに限る!
ただ、結婚する気がないくせに、
結婚したがってる幼馴染とダラダラ付き合ってるのがどうも・・・。
それが一番気になったりして・・・
「闇の歯車」
・・・脅しで暮らす男を筆頭に、妻の病気や、女遊びのこじれetc、
それぞれの理由でお金を必要とする4人へ、強盗の誘いが入る。
それと同時進行で、強盗を察知した同心の動きもおっていく。
犯罪を犯す側、捕まえる側の両面から書かれている。
これまで読んだ捕物系の中で、一番おもしろかった。
この4人、どうなるの?本当に強盗してしまうの?その後どうなるの?
と、先が気になってどんどんページめくってしまう。
それと秀逸だったのは、悪い方の人間の描き方。
『――このあたたか味を頼りに、生きるのだ。
と思った。
日雇いでも何でもいい。
世間の表に出してもらって、まともに働き、
小さな金をもらって暮らすのだ。
根のない暮らしはもう沢山だ。』
この、最後のくだりに感動。
「人間の檻 獄医立花登手控え(四) 」
・・・
※まちがえて、4部作の最終編から読んでしまった。最悪である
若い牢医の捕り物?系。
タイトルが怖かったけど、読んでみたら
主人公は仕事ができ、柔道がつよく、(しかも多分イケメン)
青春小説ともいえる感じで、おもしろかった。
「霧の果て 神谷玄次郎捕物控」
・・・日々同心として働きながら、過去に実家を襲った事件を調べてゆく短編集。
読みやすく、普通におもしろい。
主人公の恋人で、料理屋を営む未亡人が可愛かった.
「忍術千一夜 艶妖記、三悪人物語」
・・・山本周五郎の短編をいくつか読んだけど、記録しなかったので早くも忘れてしまった・・・
この2編はおもしろかった^^