起終点駅 ターミナル
桜木紫乃
小学館文庫
<道東の産んだドストエフスキー>
暗い話ばかり書くと言われる桜木。ロシアのドストエフスキーと双璧を成す!(かどうかは知らない)。今回も暗い話が続く。落ち込んでいる時には読まない方がいいか。ここんところ、仕事の少ない私も気が滅入っているから読まない方がいいかと思っても読んでします。病院の付き添いで待合室で読むのに丁度よい。最近は、実入りが少ないので、ブックオフが頼り。桜木、印税が入らなくて御免。
<続きは明日、書くことにしょう>
といって、実際に書いたのは2日後の9月17日。新しく始めたゲームに夢中で書く時間がなかった。このような感想文でも、書くとなると2度読み、3度読みが必要で、なかなか時間がかかる。ゲームの方が面白いか。子供が夢中になるのも良く分かる。
<「かたちないもの」>
7編の短編から成る。トップバッターは「かたちないもの」だ。函館と東京が舞台だ。正直言ってよくわからない小説だ。面白くなかった。桜木の筆も落ちたか。東京の化粧品会社の上司と部下の関係がポイントになっている。函館は2度ほど行ったことがあるがいい街だ。一度は、函館山にも上った。江戸時代に開港された影響か、街に異国情緒がまだ、色濃く残っている。観光で訪れるには、お勧めです。近くに温泉もあるし。
<「海鳥の行方」>
駆け出しの記者、山岸里和の話だ。尻をさわってくるデスクの紺野と折り合いが悪く、人間関係で苦労している。今では、女性社員の尻を触ったりしたら、セクハラで大問題になるが、2012年ごろまでは大丈夫だったのかな?里和の記事は、紺野からダメ出しばかりだ。嫌がらせも入っているのかな。自分の書いている文章が真っ赤になると、まるで、自分が否定されているようだ、哀しいものだ。里和は、これを乗り越えられるか?
<「起終点駅 ターミナル」>
滅びゆく街、釧路が舞台だ。こんなことを書くと釧路の人に怒られそうだが、人口でも帯広に抜かれ、都市としての退潮は隠しようがない。ロシアとの国交が閉ざされている限り、北海道は日本のデッドエンドで発展の余地はないだろう。その点、同じ敵性国扱いの中国に対面する福岡が目指しい発展を遂げているのと対極だ。さて、この短編が、釧路の国選弁護士が取り扱う事件がテーマだ。女と男の泥臭い情念がかみ合う。
<「たたかいにやぶれて咲けよ」>
「スクラップ・ロード」はとばして、その次の短編。「海鳥の行方」に登場した山岸里和がまた登場。歌人の中田ミツが軸となる。これといった記事を書けない里和。その里和に山田ミツが私の死亡記事を書けという。切れ味の鋭い記事をと思いながら、果たして里和は書けるだろうか?
<「潮風の家」>
道北の天塩には行ったことはない。こういっては、失礼だが北海道の日本海沿岸一帯はどうしても暗い感じがする。冬に小樽に何度も行ったせいだとうか。どす黒い海に、凍り付いて雪が舞う。まるで、生けるものを引き込んでしまうような。そんな天塩の町と札幌が舞台だ。
久保田千鶴子は30年ぶりに故郷に降り立つ。30年前、「千鶴子お、お前、町から出ろや」と言って1万円を握らせてくれたタミ子に会うためだ。忘れていた、忘れようとしていた過去が立ち現れる。
