東亰異聞 

小野不由美

新潮文庫

 

 

<新潮文庫、紐があるのがいい>

正式には、スピン、または、栞紐(しおりひも)と呼ばれるものらしい。これがあるおかげでどこまで読んだが、一目で分かる。まあ、紙のしおりを挟んでもいいのだが、自分の場合は良く無くすので、やはりこの紐があった方がよい。新潮文庫に◎。

 

<この本を読むのは2度目だが、レトロチックな表紙が際立つ>

第二次世界大戦を回避した日本。大正デモクラシーの影響が色濃く残る昭和。戦争がなかぅたおかげで、明治、大正の建築物が多数残る。江戸時代からの妖怪も空爆にやられず、帝都に跋扈する。そこに、この謎を解くために、探偵が奮闘する。これが、私が記憶していた「東京異聞」の内容だ。ところが、今回、改めて読んでみると、全然違うことが分かった。人間の記憶とはさしも、いい加減なものか。おまけに、書名も「東京異聞」(トウキョウイブン)ではなくて、「東亰異聞」(トウケイイブン)だったのです。

 

<実際は、維新後の明治時代>

実際には、維新後の明治時代初期ですね。鷹司家の跡継ぎを巡るお家騒動の中で、市中の人を殺める、闇御膳と火炎魔人が出没です。新聞記者の新太郎が手下の万造とともに犯人を捜す。物語は、操り人形を操る傀儡師とそれに操られる傀儡の幼女の闇にまぎれた語りから幕を開ける。妖怪化け物が跳梁する帝都の闇は果たして解き明かされるのか?

 

<小野不由美のデビュー作と言っていいか>

この小説は第5回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となったもので、小野不由美の事実上のデビュー作品と言ってもいいだろう。

 

<冒頭の写真では、本がボロボロだが>

電車のリュックで何回も読み終わるまで運ばれたので、そのせいでボロボロになってしました。買ったときも中古本だったので、買ったときから古かったせいもあるかも。