王国への道-山田長政- 

遠藤周作

新潮文庫

 

<忙しいがなかなかお金にならない>

小さい仕事がちょくちょく入ってくるが、処理するのに時間がかかってなかなかお金にならない。「あつ森」では、もう1億5千万ベルも貯まったが(暇なんですね。。。)、現実には貯金がさっぱり増えない。毎月、かつかつだ。

 

<印象に残る本>

長く待たなければならない病院用として、この本を書棚から引っ張りだした。つまり読むのは少なくとも2回目ということになるが、岐部ペテロとの話だと内容は覚えていた。それだけ、印象に残る本だったのだろう。

 

<悲しい結末>

この小説では、山田長政は自分が謀にかけて死なせた日本人傭兵隊長の娘に酒に毒をもられて毒殺されてしまうが、史実では、負傷した傷口に毒を塗られたとして、事実とは違う。また、岐部も徳川幕府のキリシタン弾圧の拷問の中で殺される。王国への道は死で終わる。

 

<史実ではないが>

史料によれば、山田長政と岐部ペテロは同じ時代に生きたにしろ、出会ったことはない。最初から別々の道を歩いていた。山田長政は地上に自分の王国をつくる。岐部ペテロは天上の王国への道だ。岐部は拷問で死ぬことによって王国へとたどり着き、山田長政は死ぬことによって王国への道を終える。

 

<あらためて遠藤周作の本に感動>

地上の王国と天上の王国を夢見る2人を対比させてフィクションを作る。遠藤周作の小説に感銘。「海と毒薬」、「沈黙」も読んだことがあるが、内容は覚えていない。岐部ペテロについて書いた「銃と十字架」は読んだことがないが、読んでみようと思う。

 

<キリシタン弾圧の遠因>

公式の世界史ではあまり大きく協調されていないが、ポルトガルとスペインの貿易の柱は奴隷貿易だ。もちろん、当時はアラビア人も奴隷貿易を収益の柱としていたから、ポルトガルとスペインだけの専売特許というわけではない。しかし、秀吉はポルトガルとスペインのこの奴隷貿易を問題視した。特に交易商品として女性が売買され、まさしく性奴隷と扱われることを重大視した。

 

<上の説は嘘だった、ごめん>

これを書いたときから疑問がありました。ヤクザがそのまま支配者になった戦国大名が、日本女性が性奴隷として扱われることに憤激してなどという、そんな高潔な志をもっているのかなと思っていました。その後、自分で調べたところによると、この女性が性奴隷としてというのは、どうやら天台宗の僧侶達の捏造によるもので、歴史的な確証なないそうです。秀吉がこれを問題にしたという歴史的史料もないそうです。もちろん、奴隷貿易はありましたが。

 

注意しないと、歴史修正主義者の歴史を捻じ曲げた主張にすぐに引っかかってしまいますね。ご用心。