前から、村上春樹の小説は読んでいた。
ただ、これはなぜか読んでいなかった。
出版されたときに、どうやら見過ごしていたみたいだ。
なんだか、読むべきタイミングに合わせてくれたみたいに。
以下、チャッピーにほとんど書いてもらったけど、読書メモ。
読後の印象
読み終えてまず思ったのは、
「これはなんだか、自分に向けて書かれた小説なのではないか」
ということだった。
もちろん、そんなはずはない。
それなのに、なぜこんなにも自分のこととして読めたのだろう。
喪失についての物語
読んでいて感じたのは、大切な何かを失ったあと、人はそれとどう折り合いをつけて生きていくのかということだった。
失ったものを忘れてしまうわけではない。
かといって、失ったものだけを見ながら生きていくわけでもない。
失ったものは自分の中に確かに存在し続けながら、それでも時間は流れ、人と出会い、生活は続いていく。
その二つは矛盾するようでいて、もしかすると両立するものなのかもしれない。
なぜ「自分向け」と感じたのだろう
もちろん、これは自分のために書かれた小説ではない。
おそらく、喪失というもの自体が、とても普遍的な経験だからなのだろう。
人との別れ、若さ、昔の自分、戻れない時間、選ばなかった人生。
程度や形は違っても、人は生きている間に何かを失っていく。
すべてを説明してしまわず、あえて曖昧なまま残しているものが多い。
「この感覚を、自分は知っている」
と思わせる。
それが、「自分向けに書かれたようだ」と感じた理由なのかもしれない。
経験した人に
大切な人を失ったあとも、その人との時間や存在が消えてなくなるわけではない。
そして、それを自分の中に持ち続けることと、これからの時間を生きることは、必ずしもどちらか一方を選ばなければならないものではない。
同じ小説を読んでも、まったく違う読み方をする人もいると思う。
それでも、大切な人との別れを経験した人には、一度読んでみてほしいと思った。
きっと、その人自身の経験によって、自分とはまた違う「街」が見えるのではないかと思う。
