
全米オープン地上波中継消滅危機 長年テレ朝系中継もコロナ禍で交渉まとまらず…松山英樹、石川遼ら出場
4月のマスターズで日本人初のメジャー王者となった松山英樹(29)=LEXUS=や日本ツアー通算17勝の石川遼(29)=カシオ=らが出場する男子ゴルフのメジャー第3戦、全米オープン(17日開幕・米カリフォルニア州トーリーパインズGC南C)の地上波中継が消滅危機にあることが1日、複数の関係者の話で明らかになった。
昨年まで約20年以上テレビ朝日系で中継されてきたが、長引くコロナ禍の影響で、今年は大会主催の全米ゴルフ協会などとの契約交渉がまとまらず。他局も既に放送予定が組まれ、多額の予算をかけて名乗りを上げるのは難しい状況だという。男子4大メジャーが地上波で中継されなければ極めて異例の事態。松山のメジャー2勝目を期待する日本のファンには衝撃の状況だが、有料ゴルフ専門チャンネル「ゴルフネットワーク」で4日間生中継される。
松山が優勝したマスターズ最終日は、1976年から大会を中継するTBS系で歴代最高視聴率12・1%を記録。5月の全米プロ選手権はテレビ東京系、7月の全英オープンはテレビ朝日系で中継されるという。
米男子プロゴルフツアー・マスターズで優勝し、日本男子初の海外メジャー制覇を成し遂げた松山英樹選手が、自身初の書籍(タイトル未定)を8月20日に発売することが決定した。
世界中のゴルファーが憧れる「マスターズ」。その夢の舞台で、初めて日本のプロゴルファーがスタンディングオベーションを浴び、オーガスタの空に両手を突き上げた。2021年4月、松山選手はアジア人選手として初めて優勝し、グリーンジャケットに袖を通した。見せたことのなかった屈託ない笑顔。喜びが全身からあふれ出していた。
すべては10年前のあの日から始まった。東北福祉大学に在学していた2011年大会に初出場し「ローアマチュア」のタイトルを獲得。わずか1ヶ月前に起きた東日本大震災の被災地・仙台で出場を逡巡(しゅんじゅん)していた時間を経て、アジア人初の快挙を遂げていた。そのとき、胸に刻んだ「ここに帰ってきたい、いや帰ってこなくてはいけない」という誓い。それが、快挙へといたる原動力となった。
プロ転向、ルーキーイヤーでの日本ツアー賞金王戴冠、アメリカPGAツアー進出、世界選手権制覇…。一見、順調に見える実績も、周囲が驚くほどの記憶で本人が振り返れば、挫折と苦悩に満ちた月日の連続だった。ゴルフの手ほどきを受けた父との思い出、タイガー・ウッズや石川遼との出会い、そして、海外での孤独な戦い。貪欲に求め、恐れずに考え、ブレずに目標と正対することを日々繰り返すなかで、日本人ゴルファーが跳ね返され続けた壁をついに乗り越えた。本書は、松山選手本人がメジャー初制覇を遂げるまでの激闘と信念を余す所なくつづった、唯一無二の自叙伝となっている。
発売の決定を受けて、松山選手は「こんにちは、プロゴルファーの松山英樹です。いつも温かいご声援をありがとうございます。さて、このたびゴルフとの出合いからマスターズ優勝までの歩みをつづった、初めての自著を出版することになりました。ゴルフファンの方々はもちろん、夢に向かって挑戦している多くの方にお読みいただけましたら幸いです」とのコメントを寄せている。
米メジャーVなら国内の約4倍ポイント 稲見、古江、渋野の五輪争い佳境
ゴルフの東京五輪切符争いが佳境に入った。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は2日、今月30日に決まる東京五輪代表の選考基準となる世界ランキングの説明会を開催した。代表は基本的に、今月末時点の日本の同ランク2番手までが選出される。13位の畑岡奈紗が1番手でほぼ当確。2番手を稲見萌寧(21)古江彩佳(21)、渋野日向子(22)が争う展開だ。
代表決定までは日米ツアーともに残り4試合。同ランクは、対象となる過去104週間の大会成績に応じて得た合計ポイントを、同期間の出場試合数で割った平均ポイント(P)で順位を決定する。国内1勝で平均Pは約0・4しか伸びない。稲見、古江、渋野は、1番手の畑岡と同0・3差以内にひしめいており、2番手争いは最後まで目が離せない。
メジャー優勝のP配分は国内の約5勝分。6月末まで米ツアーで戦う渋野は3日から臨む全米女子オープンに加え、五輪代表決定前最後の大会となるKPMG全米女子プロ選手権の出場権もある。この2つのメジャーのどちらかで1勝すれば約1・5以上もの平均Pが上積みされる。1勝で一発逆転が可能だ。国内専念の稲見と古江にとっては、残り試合で少しでも好成績をあげてポイントを稼いでおくことが重要となりそうだ。
「もう1回メジャーで勝ちたくなった」渋野日向子のハワイ休日に潜入!プライベート空間で語った胸の内とは?【全米女子オープン出場】
「みんな解説したがりだな、他人のことをねえ」
「疲れる疲れないで言えば、疲れます(笑)。ここまで盛り上がる必要があるのかなって自分でもついていけなかったですもん。今も慣れてはいないです。注目されるのは嬉しいし、ありがたいこと。でも、ひとりでいる時間はすごく好きになりました」
昨年はコロナ禍で無観客開催が続き、メディアに取り囲まれることもなくなった。それでも渋野はいつも話題の中心にいる。スイングの変更、コーチとの別離、石川遼からの助言、何かをすればすぐに賛否が渦巻く。頼んでもいないのにデリバリーされてきたピザみたいだ。
渋野はただただ不思議に思う。
「いろんな人が意見を言ってくれるけど、他人のことなんてほっとけばいいのにって(笑)。1から100まで全部説明するつもりはないし、それを理解してほしいとも思わない。そうやって……ね? 面白いなと思って。ホントみんな解説したがりだなって、他人のことをねえ。まあ、そうやって言う……あれ、何の話だっけ?(笑)」
周りの声に腹を立てているわけじゃなく、気に病んでいるのでもない。駅で反対のホームに立っている人を見る気分に近い。自分に干渉はしてこないが、なんとなく視界には入っている、というような。
「松山さんは10年出続けてやっと勝った」
全英で日本女子42年ぶりのメジャータイトルを獲得した後、目標に掲げたのは女子5大メジャー完全制覇だった。しかし昨年、約2カ月に渡って米ツアーに継続参戦したことで現実を思い知った。
「ツアーのレベルが高すぎて自分に足りないものがたくさん見える。見えすぎちゃう」
インタビュー直前のハワイでの大会も、優勝した元世界1位のリディア・コには15打差をつけられた。「あと15打縮めろと言われても今は無理」。5大メジャーなんてなおさら、というのが偽らざる心境だった。
そんな心の灯火となっているのが、ハワイから7000km以上離れたオーガスタで誕生した日本男子初のメジャーチャンピオンの姿だった。
「私とは全然ストーリーが違いますよね。私は初出場で『行ったら勝った!』みたいな感じで、松山さんは10年出続けてやっと勝った。自分もメジャーに勝ったけど、いろんなことを経験したり、苦しんでいた人が勝つのは全然違うなって」
その上で湧き上がる思いを感じている。
「5大メジャーというよりも、もう1回メジャーに勝ちたい。それが目標になりました。これからもっと
苦労してメジャーを勝てた時、たぶん全英で勝った時とは全く違う感情になると思うから。そうしたらもっといいことが喋れそう(笑)」
太陽は依然として頭上にあった。どこまでも青く広がる海を眺めながら、渋野が考えていたのはそういうことだった。
<日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills 初日◇3日◇宍戸ヒルズCC西C(茨城県)◇7352ヤード・パー71>
21年国内メジャー初戦「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」の第1ラウンドが進行中。アマチュア選手が史上初の大会出場を果たす中、杉原大河が3アンダーでホールアウトしている。
前半で3つ伸ばすなど一時は首位タイに立つも、後半でボギーを2つ叩くなど後退。5バーディ・2ボギーの「68」で、現在首位と3打差となっている。
同組の石川遼は5バーディ・4ボギーと1アンダーでホールアウト。片岡尚之も同じく1アンダーで第1ラウンドを終えている。
現在6アンダー・首位に竹谷佳孝、2打差には杉原のほか、木下稜介、香妻陣一朗、今平周吾らが続いている。