平成24年3月議会 総括質疑
● 仙波委員
次に、動物愛護事業についてお尋ねいたします。
まず、現状ですけれども、最近はテレビ番組で動物とか、特に犬猫を扱った番組が多く放映されております。かわいらしさを表現するために子犬や子猫を登場させ、子供ばかりではなく大人の心もくすぐるような演出をしています。ペットブームといえばそうかもしれませんけれども、ペットを飼う理由として時事通信社が調査したところ、「かわいいから」「動物が好きだから」が半数を占めますが、「心の支えになる」との理由もあり、最近は家族の一員として迎え、ともに人生を過ごすという意識で飼う人々もふえています。
市内では、年に2回行われます小動物の慰霊祭にそれぞれ1,000人近い人たちが訪れ、飼っていた犬や猫などの霊を弔う姿は、単なる動物ではなく命ある生き物として接し、思い出をともにしてきたことをあらわしています。
しかしながら、今問題になっていることがあります。それは、飼えなくなったなどの理由で簡単に犬や猫を放棄することです。動物の愛護及び管理に関する法律、いわゆる動物愛護法では、その44条3で「愛護動物を遺棄した者は、五十万円以下の罰金に処する。」とあります。最近では、大阪で犬12匹を放置して9匹を死に至らしめた24歳の女性が動物愛護法違反容疑で逮捕されています。
多数の犬猫を放棄する事件が時々起こり報道されますけれども、日常生活において身近なところで問題になっているのは、地域における野良猫の問題です。ふん尿被害で困っている人は動物愛護センターに相談をしていますけれども、根本的な解決には至っておりません。
そこで、最初にお尋ねしますけれども、本市の野良犬や野良猫の実態、22年、23年ぐらいですね。掌握している数。収容数、返還数、譲渡数、殺処分数などをお答えください。
本市においては、野良犬は、数は少ないですが南部臨海地域を中心に生息しており、野良猫は、市街地を中心に多数生息しております。いずれも人にえさをもらうなど、人とのかかわりの中で生きているのが実態です。
野良犬、野良猫としての統計はとっておりませんので、本市における犬猫全体としての収容数、返還数、譲渡数及び処分数の2月末時点での数値をお答えいたします。
まず、犬につきましては60頭収容しており、収容後の措置といたしまして、返還が10頭、譲渡が34頭、殺処分が19頭です。次に、猫につきましては379頭収容しており、収容後の措置といたしまして返還が1頭、譲渡が14頭、殺処分が370頭です。
なお、犬猫とも収容数と返還、譲渡、殺処分の合計である措置数が合いませんが、これは年度を超えて収容を続けたものがあったことと、2月末時点での未措置のものがあったことによるものです。
私が初めて動物愛護事業について質問したのは平成17年ごろでしたけれども、そのときは、猫は年間800頭から900頭ぐらいが殺処分されておりましたけれども、今のお答えでは400頭以下になっているということで、これは国のほうの指針で、2017年までに殺処分を半数にするというようなことを言われておりますけれども、このように半減したという理由ですけれども、これはどういう理由でしょうか。
平成23年度の猫の殺処分数は2月末時点において370頭であり、5年前の平成19年の735頭と比べ、おおむね半減となっております。
その理由としましては、行政を中心とした適正飼養等に関する普及啓発の取り組みや、市民の皆様との協働による地域猫活動の効果があらわれたものと考えます。特に個人、団体による地域猫活動の一環としての野良猫の不妊去勢手術の取り組みが大きな役割を果たしたものと考えております。
● 仙波委員
収容され、引き取り手がないまま処分されている動物たちは、もともとは人間の身勝手から捨てられて野良犬や野良猫になったわけですから、動物の命を尊重するという観点から、人間が責任を持って対応するのは当然のことではないかと思います。
今のお答えにありましたように、本市におきましては、平成17年ごろから野良猫に不妊去勢手術を施し、地域に返して一生を全うさせる地域猫活動が活発になり始めました。もちろん、それ以前にも活動していた人々がおりますし、そういう人たちが自分だけではなくて、ほかにも自分と同じような活動をしている人たちがいることを知りまして、連絡をとり合うようになりました。そして、平成19年に地域猫活動をしている人たちが集まり、C.O.N.という愛護団体が設立され、全市的に活動が広がっています。
もちろん、まだまだ1人で活動している人もたくさんいます。この地域猫活動をしている人は、さまざまな苦労を抱えながら活動しています。その一つは、この活動を誤解している人々からの非難や中傷です。時には恫喝のような暴言を浴びながら、懸命に活動を続けています。地域で問題になっている野良猫を、猫の生命を守りながらなくしていくための活動ですが、無知と偏見による妨害もあります。
お尋ねしますけれども、まだまだこの活動の趣旨が浸透していない状況で、生命尊厳の立場から、行政にかわって一生懸命動物の命を守り活動している人たちを、行政としてどう評価し、またフォローしているのか、お聞かせください。
地域猫活動を推進するためには、地域住民の幅広い理解と協力が不可欠です。また、地域には猫の好きな住民だけでなく嫌いな住民もおられることから、地域住民同士による十分な話し合いを重ねながら、それぞれの意識の乖離を埋めていくための取り組みが必要であると考えております。
このような中、本市では市民の皆様による野良猫の不妊去勢手術の活動が広く行われており、また、その方々が地域社会との調整役も果たしておられ、動物の適正飼養に効果を上げておられます。
しかし、御指摘のとおり、このような活動に対する理解は、まだまだ地域に浸透しておりませんので、市では現在も地域における話し合いの場で、地域住民の皆様と活動されている方々の間に立って、活動の趣旨や効果をわかりやすく説明するなどの取り組みを粘り強く行っております。今後、そのような活動がより円滑に行われるよう、さらに取り組みを強化してまいります。
平成22年に環境省は、住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドラインを策定いたしました。その中の第5章には地域猫についての記述があり、地域猫活動をする人、行政、ボランティアとそれぞれの役割を明記しております。
地域住民の理解を得て、ボランティアが地域猫活動を行政の支援を得ながら行うということが理想ですけれども、いろいろなトラブルもあり、理想どおりにはいかないのが現実です。
そこで、行政の役割というのは大変大きなものになります。ガイドラインには活動資金の助成、住民や関係者の連絡調整、ボランティア団体と連携したノウハウの提供、活動グループのネットワーク化、ガイドラインの普及、適正飼養の指導などと記載されています。
尼崎市動物愛護センターは、このガイドラインの内容に沿って行政としての役割を果たす努力をされていると思います。今御答弁もありましたけれども、現在の課題、あるいは今後力を入れていかなければならないといったところはどういう点か、お聞かせください。
当該ガイドラインは平成22年2月に環境省が作成したもので、住宅密集地において人と犬猫が調和した快適な居住環境を維持・向上し、共生できるまちづくりを図るための基本的なルールを示したものであります。本市においては、このガイドラインに基づき、日ごろからトラブルの発生防止やマナー向上のための指導・相談対応等を行っております。
全域が市街地であり、住宅密集地が大半を占める本市では、毎年犬猫にかかわる苦情が多く寄せられております。その中でも地域における野良猫への対応が大きな問題となっており、現在、本市ではこれらに対応するため、地域猫活動を核とした地域コミュニケーション活性化事業において不妊手術への助成金制度を設けておりますが、予算としては不十分であり、その拡充が課題となっております。
また、野良猫の問題のみならず、動物愛護管理の推進のためには、今後さまざまな取り組みを進めるための財源の確保が必要になってまいります。
● 仙波委員
活動している人のもう一つの苦労は、経済的な負担です。病気やけがの猫を保護して治療したり、不妊手術をする費用は相当な額になります。平成19年度より100頭分、100万円の助成制度をつくりましたけれども、今言われましたようにまだまだ不十分であると思います。
例えば、平成19年度の愛護団体C.O.N.の事業報告によりますと、会員が不妊手術費用を個人負担したのは451頭、獣医師の協力は127頭で、合計678頭になります。費用にすれば約480万円です。また、20年度は714頭の500万円以上をボランティアが負担しております。これはC.O.N.会員と協力獣医師のみの数字ですから、これ以外にも個人で手術費を負担しているボランティアが多くおります。
平成24年度の予算に、歳入として衛生費寄附金が単価計上されています。これは動物愛護に活用する寄附金であると思いますけれども、寄附の要領を具体的にお答えください。どういった手順で寄附ができるようになるのでしょうか。また、当初の検討段階におきまして、寄附をするときは動物愛護センターに来てくださいというような話もあったんじゃないかということも聞きましたけれども、これは本当でしょうか。
来年度から募集予定の寄附金につきましては、取り扱い要綱を定めて募ってまいります。具体的手続としましては、市で指定する寄附申込書を提出していただき、納付書により納付していただくことが必要です。
その窓口としましては、寄附をしていただける方々の利便性を考慮して、動物愛護センターや保健所での受け付けに加え、郵送申し込みも受け付けできるようにし、また、寄附申込書や納付書などの書類送付についても対応する予定でございます。
もう少し詳しく説明していただきたかったのですけども、ちょっとよくわからない点があるんです。例えば、福岡市では一足先にこの寄附制度というのをスタートさせてまして、電話でまず申し込みをするんです。そうしますと振込用紙が送られてきて、金融機関に振り込むと。非常に簡単なんですね。ですから、もっとわかりやすい、だれもが寄附しやすいような、そういったシステムを提供しないといけないんではないかなというふうに思います。
本市のこの動物愛護のための寄附ですけれども、どのような方法でPRをする予定になっていますか。
寄附金の募集方法としましては、市報の4月号、市ホームページ及びチラシの広報を予定しております。
● 仙波委員
実は、福岡のほうで寄附金を募集しましたら、21年度は1カ月だけの募集だったんですけども3万4,000円。22年度は20万8,260円。23年度は24万5,115円、これは12月31日現在ですけども。余り集まってないんですね。
福岡市で寄附が余り集まっていない理由は、制度のPR不足なんです。それと、寄附する人が、自分たちが動物愛護のために寄附したのが、はっきりと動物愛護のために使われるかどうかということがよくわからない、見えないという理由ではないかなというふうに思います。
医務監、尼崎もそんなPRでは集まりませんよ。せっかく寄附制度というのをつくるわけですから、できるだけやっぱり集めようと、そういう気持ちがないと集まらないんじゃないでしょうかね。どのぐらいの目標にしていますか。
寄附金の目標についてですけれども、寄附金につきましては、御紹介いただきました福岡市の例を考慮して、年間100万円を当面の目標と考えております。
しかし、一昨年いただきました尼崎市動物愛護管理に関するあり方検討会議からの提言を具現化していくためには、野良猫の不妊去勢手術費用の助成の拡充を初め、犬猫の適正飼養に係る普及啓発の取り組みや犬猫の殺処分数ゼロを目指す取り組みにおいて、市民の皆様の活動をベースにしたさまざまな協働の取り組みが必要であり、その活動の財源ともなりますので、できるだけ多くの寄附を期待しているところでございます。
今の医務監の答弁では、100万円も集まらないと思いますわ。何かもうひとつ伝わってこないですね、「やろう」というのが。やはり目標も100万円というんじゃなくて、今の医務監の御答弁は、集まったらいいなという、そういう希望的な気持ちが見えるんですけど、集めようという、そのためには、目標というのはやっぱり高く持ったほうがいいんじゃないでしょうかね。
この目標設定のことについてはちょっと後でまたお伺いしますけれども、平成23年度の税制改正によりまして、寄附金控除の適用限度額が5,000円から2,000円に引き下げられました。少額の寄附を受けやすくなったと思いますけれども、実際税額控除額はどのぐらいあるのかということも興味のあるところです。
例えば夫婦、子供2人、給与収入額が500万円、700万円で、2万円、5万円、10万円の寄附をするとそれぞれどのぐらいの控除額になるのか、お答えください。
夫婦と子供2人で、そのうち、子供のうち1人が19歳以上23歳未満の特定扶養親族、もう1人の子供が一般扶養親族である世帯をモデルに試算しました。
まず、給与収入500万円の場合、2万円の寄附に対する控除額は所得税と個人住民税を合わせ1万6,250円、5万円に対しては2万750円、10万円に対しては2万8,250円となります。
また、給与収入700万円の場合には、2万円の寄附に対して1万8,000円、5万円に対して3万8,950円、10万円に対して4万8,950円の控除額となります。
次に動物愛護基金についてお伺いいたします。
平成21年の2月と9月、また22年の2月と9月議会で動物愛護基金を設立してはどうかと質問を繰り返してきましたけれども、検討しますとか研究しますとかそういった答弁で、今日まで一向にその結果が出ておりません。
福岡市を訪問した折に、担当者に寄附制度について聞き取りした後、なぜ基金をつくらないのかとの質問に、市役所内での評価が否定的で、基金設立までには至ってないとのことでした。少ない寄附金、あるいは少ない額で基金をつくるというのは、基金の趣旨にかなってないということだろうと理解をいたしました。しかしながら、基金は設立したいし、条例化するのはいいことだとも言っておりました。
寄附金は一般会計に繰り入れられて、寄附者の意思が反映されるかといえば、大変に難しい点があります。寄附金の受け皿をつくることが必要だと思います。そのためには、動物愛護基金条例をつくるべきであるというふうに考えております。
例えば24年度に500万円以上の寄付があった場合、先ほど目標100万円と言われてましたけれども、事業に活用するためには補正を組むわけですけれども、時期的にそれが間に合わないと、そして500万円全額が使えなくなったという場合には、この動物愛護事業のために寄附された残りの寄附金というのはどういうふうになりますか。
● 医務監
いただいた寄附金の使い方につきましては、検討会議の提言を具現化できるような事業を組み立て、補正予算を編成して対応したいと考えておりますが、年度内に執行可能な額以上に寄附金が集まった場合は翌年度の事業予算に充てることになります。
いずれにいたしましても、動物愛護に使ってほしいとの寄附者の思いにこたえられるように取り扱ってまいります。
今、医務監が次年度に使うと言いましたけども、それは医務監の考え方であって、財政はそんなこと思わないと思いますよ。保証はないです、全然。一般会計の中に消えるわけですから。寄附した人からは、確かに自分の希望どおりに使われたという、そういったことが見えませんし、保証はないわけです。
私が前から言っておりますように、どうせ寄附制度をつくるんでしたら、基金を先につくって、そしてその寄附金を原資にしてスタートさせればいいんではないかというふうに前から言っておりましたけども、なぜ基金じゃなくて寄附金にしたんですか。
寄附金の受け入れ方法として基金を設置する方法も考えましたが、現時点において寄附金がどの程度になるかわからない中で基金を設置することは現実的ではありませんので、まずは寄附金を募ることから始めることとしたものであります。
大変受け身の答弁だと思いますね。要は行政全般、常にそうなんです。受け身なんですよ。要は攻めの姿勢というのが全然ないんですね。これはこの問題だけではなくて、まちづくり等についてもそうなんですけれど、すべてもう消極的、受動的なそういう姿勢で、大過なくやっていこうと、そういう姿勢が見られたような答弁ではなかったんじゃないかなというふうに思います。
このように、まず動物愛護基金条例をつくって、そして十分PRすれば、全国から集まるんですよ。そして、それを原資にして基金をスタートさせればいいわけなんです。集まらないのは、集める気がないからなんです。目標を決めて、目標を大きく決めて、そして努力していけば、ある程度の寄附は集まります。集める意思がないというふうにしか思えません。
目標を設定して、例えば推移を見ていく。ちょっと状況悪いなと思えば、何かできることはないかと。また、そういった思いを持っていれば知恵もわいてくるわけですね。PDCAという言葉がありますけれども、それの連続なんです。先ほど私紹介しましたように、「成らぬは人のなさぬなりけり」なんです。実現しないのは、やらないから実現しないわけです。やる気があればするのです。前進するんです。
それじゃ、どのぐらいの寄附金が集まったら動物愛護基金をつくりますか。
現在、動物愛護管理推進協議会で議論しているさまざまな施策の取り組み内容により、基金に必要な額については設定する必要がありますので、その使途を定める中で検討していきたいと考えております。
もう使途は検討しなくても決まってるんです。要は、不妊去勢に係る費用、それと譲渡に係る費用、またPR。原則、当初は不妊去勢手術に係る費用、これに使っていけばいいと思うんですけどね。ですから、何をやっぱり検討するのかなというふうに私は疑問に感じます。
例えば、基金なんかにしても、育英事業にも基金がありますね。神崎製紙育英資金、これは寄附金が5億円です。それも取り崩していってるんですけれども、今もう5,300万円取り崩してますし、あるいは澤水育英資金、これも1,200万円取り崩しております。今金利が低いですから、基金を運用してそれで事業をしていこうという、そういったことが非常に厳しい時代になっております。
ですから、この動物愛護基金につきましても、いわゆる基金を設置して、そこから運用していくというのは非常に非現実的でありまして、寄附金を募って基金をつくり、そしてそこで次年度の予算を立てると。500万円集まれば、その中で100万円か200万円を次年度に充てると。そして、その年度にまた200万円か300万円か基金を募ると。これを繰り返していけばいいわけなんですね。
ですから、寄附金がどのぐらい集まるかわからないから基金をつくらないというのは、非常にちょっと、仕事じゃないですよね。本当に仕事をしていただきたいんですけれども。
やっぱり今のお話を聞いておりますと、本来は行政がすべき仕事を、ボランティアの方々がみずからのお金、時間、労力を使って、行政のかわりに動物愛護事業を推進している。これは肝に銘じていただきたいというふうに思いますね。要はこれ、一つの環境問題なんです。行政の仕事なんですよ、本来は。それをボランティアの人がやってるんです。
やはり同じ目的に向かって行政と市民が協力していくと。これが本当の協働のまちづくりじゃないですか。一つのサンプルになると思いますよ。ところが、それを、寄附金制度はつくりましたと、あとはどのぐらい寄附があるかわかりません、知りません、これではボランティアの人怒りますよ。行政が率先してお願いするところはして、やっぱり先頭に立って寄附に走らないとだめなんじゃないでしょうか。失敗を恐れない、挑戦する勇気を持ってほしいと思います。
尼崎市は、21年から22年にかけて尼崎ケンネル事件がマスコミで報道されて、全国に本市の動物管理行政、あるいは建築指導の不備を知らしめることになりました。また、尼崎のイメージが悪くなったなと思ったものです。
代表質疑でも取り上げましたが、津波対策ですね。これも尼崎市と藤沢市を対比した報道でしたけれども、おくれているのは尼崎、進んでいるのは藤沢市と、悪いほうの対比で使われております。これはまさに、悪いことを探すんだったら尼崎に行って探せと、そういうふうに報道界から思われているのではないかというふうに私は思います。
市長が一生懸命シティプロモーションと言っておりますけれども、尼崎の魅力を情報発信すると言っても、これではどうしようもないんじゃないでしょうか。とにかく、どんどん機会があれば、チャンスがあれば、尼崎のいいところを発信していくと、そういう作業をやっぱりやっていくべきだと思うのです。
前市長も「ピンチがチャンス」というふうに言われてました。私、そのことも含めて、こういった尼崎ケンネル事件があって、非常に尼崎の評判が悪くなっているときに、この動物愛護基金をつくって全国に発信したらどうですかと、尼崎の動物愛護行政は進んでますよと、これを言ったんですけれども、できませんでした。
この動物愛護基金というのは、全国にないんです。もちろん民間で、民間のそういう団体ではありますけれども、自治体がやってるいというところはないんですね。これ、今本当に注目されています。それを皆さん多分わかってないと思います。非常に画期的なことなんですよ。これつくれば、新聞にも報道されますよ。すごく全国に広がります。そういった意味で寄附もあるというふうなことを言ったんではないんですけれども。
いつ動物愛護基金条例を提案しますか、お聞かせください。
基金条例の提案に当たっては、動物愛護管理推進協議会でその使途となる、さまざまな施策の取り組み内容について議論しておりますが、基金の設置目的、管理運営方法について十分精査するとともに、その必要額が毎年継続して集まることを見定める必要があるため、引き続き検討してまいります。
検討疲れするんじゃないですか。そうでしたら、もう私も我慢の限界というのもありますから、もう6月に条例を出します、私が。議員提案条例出します。皆さん、議員の皆さんも賛成してくれると思いますんでね。
私は、本来議員提案というのは、もうひとつ考えるところがあるなというふうに思っています。というのは、やっぱり押しつけになりますのでね。やはり行政みずからがつくって提案して、議員の、議会の賛同を得るというのが正常なパターンではないかなと思うんですけれども、もうこれほど、何度も何度も質問し、何度も何度も説明して、その重要性をわかってもらえたのかなと思ったら、まだまだ検討しますということでは、もうこれではちょっと、私も行政の対応にはあきらめざるを得ないというふうに思います。
次に、動物の譲渡についてお伺いしたいんですけれども、最初に答弁をいただきました本市における犬と猫の譲渡数は、収容数と比べると余りにも少ないですね。平成22年度をとると、犬は収容数34頭に対して譲渡・返還数は20頭です。猫は収容数571頭に対して譲渡・返還数は30頭。犬は35頭、猫は先ほど言いました561頭が処分されています。
動物愛護管理行政のあり方についての提言が検討会議からなされました。その中では、「殺処分ゼロを目指して、損なわれた動物愛護管理行政への信頼回復のためにも、尼崎市は殺処分ゼロを目指すべきであると考えます」とあります。
そのためには、具体的に大きく3点あると思います。1点目は、飼い主のいない野良犬や野良猫の不妊去勢手術をすること。2点目に、収容動物を少なくすること。飼い主の責任感を醸成すること。安易に飼えなくなったからといってセンターに引き取りを依頼する人に対して、根気よく一緒になって解決する方法を探し出す努力が要ります。3点目は、センターに引き取られた犬や猫を譲渡することです。
現在、動物愛護センターが行っております譲渡の状況、これはどうなっているでしょうか、お答えください。
近年の犬猫の実績で申しますと、まず犬の譲渡につきましては、平成21年度が13頭、平成22年度が15頭、平成23年度が2月末の時点で34頭です。次に、猫の譲渡につきましては、平成21年度が11頭、平成22年度が26頭、平成23年度が2月末時点で14頭となっております。
すみません、私が聞いたのはそんなことじゃなくて、実務がどうなってるかということなんですね。どういうふうにして譲渡の活動をしてるんかということです。
譲渡活動をするには、非常に困難があると思うんです。譲渡先を探すのが大変なんです。本市の平成12年に施行されました動物譲渡実施要綱には、譲渡先を尼崎市内に限っています。これが譲渡を推進する上での足かせになっているんです。ちなみに、船橋市などは原則市内及び近辺に在住する成人であることを要綱で定めています。
そこでお尋ねしますけれども、譲渡先を市内に限らず、市内周辺とかあるいは阪神間とかに広げることが必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。
動物愛護センターに収容している動物の譲渡につきましては、市の動物譲渡実施要領に基づき行っております。
今までは譲渡先の事前現地調査や事後のフォローの問題もあり、対象者は市内に限定しておりました。これに対して、本年度設置した尼崎市動物愛護管理推進協議会においては、殺処分ゼロを目指すに当たり、譲渡先を近接自治体の住民にも広げてはどうかとの御意見があり、本市としましても近接市に限定すれば対応可能と考えております。
現在、ボランティアの協力によるフォローを含めて、協議会での議論を進めておりますので、その状況を踏まえて要領の改正を行ってまいります。
ぜひそうしていただきたいと思います。
最近、市のホームページも充実しまして、譲渡対象の犬や猫の写真が掲載されるようになりました。やはり写真があると反応も大分違います。しかし、市のホームページだけでは情報発信というのは不足しているんではないでしょうか。譲渡してほしい人が多くいて、常にホームページを見ているということではないと思います。むしろ、殺処分から救いたいと思っているボランティアの人のほうがよく見ているんじゃないかなというふうに思います。
大阪市や神戸市では、譲渡事業にボランティアがかかわっていると聞いています。ボランティアの力をかりることで譲渡先も拡大すると思いますけれども、信頼できる団体とかボランティアに譲渡活動に参画してもらうべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
本市では、平成23年度から収容動物の写真を動物愛護センターのホームページに掲載しております。この効果もあり、市民からの問い合わせもふえており、譲渡数も増加傾向にあります。しかしながら、殺処分数ゼロを目指していくためには、新たな譲渡希望者の発掘等を含めボランティアの協力が必要不可欠であります。
そこで、今年度設置した動物愛護管理推進協議会において、市として協力していただきたいボランティアの活動内容や活動方法について議論を行い、その結果を踏まえながら譲渡活動への参画について検討していきたいと考えております。
早急に検討をお願いします。
譲渡事業には収容した犬や猫の引き取り手が間近に接する機会をつくる必要がありますけれども、例えば家族でセンターを訪れるのは祝祭日になると思うんですけれども、土日など休日に譲渡会をやっているんでしょうか。していなければ、やはり休みの日に、1カ月に1回とかするべきではないかなと思いますけれども、いかがですか。
● 医務監
動物を家族の一員として終生良好な関係の中で飼育していくには、飼い始める前に動物に対する責任をしっかり認識するとともに、飼育環境、健康管理、家族それぞれの役割、困ったときの対処方法など、さまざまなことについて十分に考えておいていただく必要があります。
そこで、本市では事前に譲渡希望の申し込みをしていただき、一定の審査を経て後に、収容した譲渡対象動物の中から希望する動物をお渡しする事前登録制を採用しております。
対象の動物を見て、即日にお渡しするような譲渡会の方式はなじまないものと考えますが、平日に動物愛護センターに来所することが困難な方もおられますので、可能な範囲で対応を検討してまいります。
やはり動物と実際に触れて、そしてこの動物を譲渡してもらおうというふうに思うんです。ですから、先に見るなり触れるなりして、後で、また平日でもいいですから連絡して決めましたと、家族で決めましたと。順番が逆じゃないですかね、それ。
そのようなところを、ですから、私思うんですけれども、事業をするんでしたら、やはり譲渡しやすいような、そういう制度というのをやっぱりつくっていかんといかんのじゃないかなと思いますね。ちょっと時間がないので次いきますけれども。
迷い犬や猫が野良犬や猫にならないようにすることも必要です。警察やボランティアと連携をとって、速やかに飼い主のもとに返すことができるようになる、そういった体制づくりも必要と思いますけれども、いかがですか。
本市では、収容した迷い犬、迷い猫を1頭でも多く飼い主のもとに返還できるよう、収容した生後3カ月以上の迷い犬と迷い猫については法令に基づく公示を行っております。それに加えて、周辺の警察署や兵庫県動物愛護センター及び西宮市動物管理センターにファクスなどで情報提供を行うとともに、市のホームページに写真つき情報を掲載しております。
また、収容した犬猫の返還率を向上させるための取り組みについては、今年度に立ち上げた動物愛護管理推進協議会においても議論されており、その中で、ボランティア活動として収容動物が保護された周辺地域での掲示板などへの張り紙をしてはどうかなどの意見が出ております。
今後、協議会においてボランティアの活動方法を含め、収容動物の返還率を向上させるための取り組みについて検討を進めてまいりたいと考えております。
検討という言葉を何回使いましたかね、今。本当にもう、私もわからないですね。
次に、学校における小動物の飼育と管理についてお伺いしますけれども、小・中学校で動物を飼うことは平成20年3月に公示された学習指導要領が根拠になっております。動物は生命を持っていること、成長することに気づき、生き物への親しみを持ち、大切にすると記述をされています。さらに、生命のとうとさを学ぶために、継続的な飼育を行うようにと規定されています。
平成20年に改定された小学校学習指導要領は、平成23年度から完全実施とされていますが、本市において指導要領どおりの実施はされているんでしょうか。
新たな学習指導要領では、動物を飼ったり植物を育てたり、生き物への親しみを持ち、大切にすることができるようにと記載されております。
本市においては、多くの小学校でウサギやニワトリ等の動物を飼っており、それらを飼っていない学校でも、昆虫や魚を含めた生き物の継続的な飼育活動を通して生命の大切さを指導しております。
昨年、埼玉と千葉で16歳の少年による連続通り魔殺人未遂事件が起きました。少年はふだんから動物を虐待していたことが報道されていました。また、世間にショックを与えました神戸連続児童殺傷事件の14歳の少年も動物虐待を繰り返し行っていたということなどを考えますと、小・中学校時代に命の大切さが実感として身につくような教育が必要であり、学習指導要領もそのような観点から学校飼育動物の大切さを記述したと思います。
平成20年に質問したときは、小学校43校中40校で小動物を飼っておりました。小動物を飼っていない学校がありますが、学習指導要領に記述されている生命尊重の指導はどのようにしているんですか。
小動物を飼育していない学校では、昆虫や魚の飼育を通して生き物への親しみを持ち、大切にするという目的に沿って指導を行っております。また、植物の栽培の体験や環境体験学習等の機会を通して、身近な生命の息吹を感じ、親しみ、慈しむことも学んでおります。
さらに、これらの教科で学んだことを道徳の時間で補充・深化・統合し、生命尊重という道徳的価値を自覚させるように努めておるところでございます。
飼育動物に対する予算はどうでしょうか。えさに関しては、給食の残り野菜とか店で野菜くずをもらってきたり、地域の人たちからの提供でやっていましたけども、現在はどのようになってますか。
飼育動物のえさは、基本的に学校予算の教材費で必要に応じて購入しております。また、地域や保護者の協力を得たり、給食から出た野菜を活用したりすることもございます。
開業獣医師会は平成12年に学校飼育動物委員会を設置して、ボランティアで学校を回り、小動物の適正な飼育について指導し、子供たちに動物の大切さや命のとうとさを教えてきました。
平成21年に教育委員会は尼崎市開業獣医師会と学校飼育動物適正指導等委託契約を結び、協力して事業を進めるようになっていますが、肝心の学校長や教師の意識に温度差があります。人事異動で校長や教師が入れかわったとき、引き継ぎはきちんとされているんでしょうか。また、学校飼育動物についての研修は行われているんでしょうか、お答えください。
学校においては、飼育担当者を中心にして、飼育動物の管理等について引き継ぎを行っております。教育委員会におきましても、動植物を育てることを通して生き物への親しみを持ち、生命の大切さを学ばせることは重要であると考えており、毎年尼崎市獣医師会と連携して、小動物の飼い方や扱い方、環境整備等について研修を年2回実施しております。
私は教育長、余り現場わかってないと思いますね。現場はそうじゃないですよ。私が質問した平成20年当時の教育長は、えさの問題や動物がけがをしたり、病気のときに動物病院にお世話になってることなどを挙げて、今後の対応について検討してまいりたいと答弁しています。動物愛護センターの活動も含めて、ボランティア同然の獣医師の学校飼育動物活動についても、ほとんど改善した跡が見られないんです。これ、教育長、全然わかってないんですよ。現実は違いますよ。
もう獣医師の方は本当にボランティアで行ってますが、「あんた何しに来たん」と。現場はこれです。ですから、もう少しそういった研修に力を入れていただきたいと思うんですけれども。教育委員会も言葉だけではなくて、やはり校長を初め教職員にこの活動の重要性を訴えていくべきだと思います。
また、今後教育委員会と学校、あるいは獣医師会が連携をとって、学校飼育動物事業を推進するための支援システム、これは他都市ではすでにできてるところあるんですけどね、そういったネットワークづくりをする必要があると思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
教育委員会といたしましては、小動物の飼育を含め、動植物を育てることを通して命をとうとぶ気持ちを育てることは大切であり、学校にもそのように指導してまいります。
また、獣医師会の皆様には多大な支援をいただいているところでありますが、今後教育委員会や学校、獣医師会がどのように連携していくことがより有効なのかどうかということに対しまして、早急に検討してまいりたいと思います。
「早急に」がついたからいいんですけれども。わかりました。
この問題の最後に、動物愛護センターについて少しお伺いします。
尼崎の動物愛護事業を推進するための拠点として動物愛護センターがあります。この二、三年は尼崎ケンネル事件とその後の対応で忙しい思いをしたと思います。
昨年、動物愛護に関して情報が多かった熊本市に行ってきました。動物愛護センター所長の松崎氏は気さくな方で、忙しい中快く視察に応じてもらえ、話を聞くことができました。最初にガス処分機を見せてもらいましたけれども、殺処分ゼロを目指し、4年前から処分機は使ってないということで、確かにほこりをかぶっていました。殺処分はゼロではありませんけれども、年間7頭の処分なので、麻酔注射で安楽死させているとのことです。
一番印象に残ったのは、彼の率直な心情でした。これは動物法ニュースというニュースに寄稿しておりますので、ぜひちょっと紹介だけさせてください。
「殺処分の激減と同じぐらいうれしいことがあります。職場が活性化し、職員の意識が変わったことです。以前は動物を処分する職場だということで、だれもここに異動したがらなかった。その上、犬殺しなどののしられることもあり、自分の職場名を胸を張って言うことができず、また、マスコミの取材があれば現場の人はいつの間にかその場にいなくなっているという状況でした。仕事とは割り切っていたものの、犬を殺処分していることは事実であり、常に後ろめたさがありました。職員にとって動物の殺処分ほどつらい仕事はなく、動物の終生適正飼養の義務に反する無責任な飼い主のためになぜそこまでしなければならないのか、たまらない思いでした。殺処分はしたくない。殺処分を減らすことがここに勤める職員の共通の願いでした。どうしたら減らせるのか、その方法を考えようという機運が職場内で高まりました」。
報告文の一部ですけれども、この後、簡単に犬猫を引き取り殺処分するのではなくて、この子たちを救うために自分たちは飼育しているんだという職員の意識の変革と市民協働のおかげで見る見るうちに処分数は減って、今は職場に誇りを持ち、生き生きと仕事をするようになったと続けております。
尼崎の場合はセンターの職員が直接処分するわけではありませんけれども、殺処分へ見送ることでつらい思いをすることは同じであるというふうに思います。
そこで、尼崎市動物愛護センターの職員は誇りを持って仕事をしているんでしょうか。さらに、現在所長と職員3名、臨時職員2名の6名体制でやっていると聞いておりますけれども、職員数は足りているのでしょうか。職務を遂行するに足りる人数でしょうか、お答えください。
動物愛護センターには、現在獣医師3名を含む正規技術職員4名が勤務しております。動物愛護センターは他の職場と違い、動物の生死に直接かかわらなければならない特殊な職場でありますが、尼崎市の職員として、また公衆衛生獣医師としての誇りと信念を持って仕事をしております。
また、動物愛護管理行政につきましては、現在尼崎市動物愛護管理推進協議会において、殺処分数ゼロに向けての取り組みを初め、今後の具体的施策について検討を進めております。したがいまして、この検討結果を踏まえ、業務がふえればそれに見合う職員数も必要になってまいりますので、実情に応じた執行体制を構築していくことが必要であると考えております。