尼崎市議会で取り上げられた『猫の多頭飼育問題』① | 特定非営利活動法人C.O.N

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◆ 真鍋議員

 
次に、多頭飼育問題の解決についてお尋ねしてまいります。
 
 
代表質疑において稲村市長は、多頭飼育問題への対応については、国の多頭飼育対策ガイドライン案で示されているとおり、予防、発見、発見後対応、再発防止の4段階に分けることができるとして、この4段階それぞれでの市の取組や考え方について述べられました。そこで、私も段階を区切ってお聞きしたいと思います。
 
 
まず、初期の予防や発見についてです。
市長は、令和元年度から、保健や福祉の関係部署、民生児童委員等が連携し、情報収集し、早い段階から適正飼養に向けた指導を行っているほか、不妊手術の助成金等の制度の活用も図りながら対応を行っていると述べられました。
 
 
こうした市民と直接関わることの多い保健や福祉の関係部署の方々や民生児童委員さんなどが、多頭飼育問題に関心を持ち、情報収集してくださって、動物愛護センターや保健所と連携をして早期から不適正飼養している家庭に指導を行っていただいていることは大変効果があると考えますが、さらに進んで、今、全国の自治体の中で、この多頭飼育に関して届出制度を設けているところが増えていっておりますので、本市においても検討をお願いしたいと思います。
 
 
現在、都道府県レベルで9府県、政令市で6市、中核市で3市と、中核市以上の状況ではありますが、多くのところで届出制度を設けています。
その内容はほぼどの自治体も同様で、飼い犬及び猫の合計が10頭以上になれば届出を求め、避妊・去勢手術の措置の有無や、周辺の生活環境を保全する方法を報告してもらうという内容です。
 
 
現在行っていただいている保健や福祉、民生児童委員さんなどとの連携対応と併せて、この届出制度を設けることが、より一層意識啓発につながると考えますので、ぜひ設置をするべきだと考えますが、当局の見解をお聞かせください。
 
 

 
◎医務監 
 
令和元年度から福祉部門等との連携を始めたことにより、動物愛護センターと多頭飼育者が直接面談する機会が増えており、早い段階から適正飼養に向けた指導に努めた結果、多くのケースで多頭飼育問題の解決につながっています。来年はこうした取組をさらに拡充し、地域住民の皆様にも日常生活を通じての見守りをお願いすることにしており、できるだけ早期に動物愛護センターが多頭飼育者とつながりを持っていきたいと考えています。
 
 
こうしたことから、まずは多頭飼育問題の予防と再発防止に向け、多様な主体が連携した取組に注力していきたいと考えておりますことから、御提案の届出制度を直ちに導入する考えはございません。
 
 

 
◆真鍋委員
 
数年前までは稲村市長のほうも、この動物愛護といいますか、多頭飼育問題にはあまり関心というか積極的な対応でなかったと思うんですが、最近は本当に愛護センターの拡充であったりとか、またオフィシャルサポーター制度の創設であったりとか、非常に動物愛護に対しても推進していっていただいていると思いますので、何とかこの届出制度をつくっていただくことによって、やはり多頭飼育問題というのが解決していけると思いますけれども、市長いかがでしょうか。この届出制度をつくるということにおいて、ぜひ市長のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
 
 

 
◎吹野副市長 
 
先ほど医務監が答弁させていただきましたように、この制度を別に否定をしているわけじゃないんですけども、今、いろんなところで注力をしているとこでございまして、まずはそういう関係性の部分に注力させていただいて、その状況を見ながら検討させていただきたいと思っております。
 
 

 

 
 
◆真鍋委員
 
ぜひ前向きによろしくお願いいたします。
そして次の段階として、市長は、発見後の対応についても譲渡を促進し、殺処分の減少につなげるため、令和3年度に動物愛護センターの改修を行う予定と述べられました。これについては発見後の対応なので、いかに保護収容数を増やして殺処分を減らすかがポイントですので、今までボランティアの方々が引き取ってくださっていたことを考えると、愛護センターの改修によって15頭から倍の30頭の収容数増が図られることはとてもうれしく思います。
 
 
ここでひとつ、発見後の対応についてお伺いいたします。それは多頭飼育崩壊をしている家庭との話合いをスピーディーに進めていただき、早急に解決を図っていただきたいということです。かつて、市内のあるところで多頭飼育家庭との協議に時間がかかり、猫の保護が進まない状況が長く続き、周辺環境の改善が図られなかったという問題がありました。様々に難しい面もあるかと思いますが、市が専決して決められるところは柔軟に決定するなどして迅速に解決を図っていただきたいと思いますが、今後の発見後の対応について考えをお聞かせください。
 
 

 
◎医務監 
 
多頭飼育問題の解決に当たり、まずは飼い主と話合いを行い、生活環境や動物の飼育状況、周辺への影響を把握し、飼い主の状況に応じて解決に向けた方針を決定します。飼い主と合意形成に至った場合は、飼い続ける動物に不妊手術を指導し、また適正頭数になるよう譲渡支援を行っております
 
 
注)尼崎市の多くの多頭飼育の事例では、飼い主の経済的理由から不妊手術ができず、状況がどんどん悪化していました。
その対策として尼崎市では『多頭飼育のための不妊手術助成金』を設置。これにより速やかに不妊手術へと移行できるようになり『早期発見→早期支援』が前進しました。それまではボランティアが手術費を負担する事がほとんどでしたが、その負担軽減にもつながりました。
 
 
委員御指摘のように問題解決に時間を要することもありますが、飼い主自らがこの問題に向き合っていただくためには、日頃から飼い主と信頼関係のある地域住民やボランティアの皆様の関わりから、動物愛護センターの職員が飼い主との信頼関係を築いていくことが必要であり、その信頼関係があるからこそ清掃や猫の引取り等につなげていくことができると考えます。
 
注)悪臭など周辺の生活環境の悪化により、動物愛護センターが多頭崩壊現場の清掃に入るという事例もあった。
 
今後は、それらの事例を検証することで連携すべきであった関係機関を抽出し、日頃からより多くの関係機関と連携を進めてまいります。
 
 

 

 
 
◆ 真鍋委員
 
最後に再発防止について、市長は、地域住民の方に多頭飼育問題を理解していただくことで、行政や民生児童委員に加え、より多くの人が多頭飼育者の日常を見守っていくような取組を検討していくと述べられました。これについて健康福祉分科会の中で保健部長からも、日頃からの見守りが非常に大事で、身近なところからの情報をいただけるように、各地域の地域課とも連携しながら仕組みをつくっていければとの発言がありました。
地域課への働きかけをよろしくお願いします。
この問題の最後に、野良猫が多頭飼育のきっかけとなるケースもあると思います。いかにして野良猫を発生させない環境づくりをしていくかということも大事だと思います。そうした環境をどのようにつくっていくのか、お考えをお聞かせください。
 
 

 
◎医務監 
 
野良猫の発生原因の一つに無責任なえさやり行為があります。猫をえさやり場に集めることで無秩序な繁殖により子猫が増加し、周辺環境の悪化につながっているものであり、動物愛護センターでは苦情が寄せられるたびに指導・啓発を行っているところです。
 
 
 注)周辺環境の悪化とは?動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(第12条)に具体的に定義されています。
注)苦情が寄せられた場合、どのようは指導・啓発になるのか?不妊手術やエサやりルールのススメか?場合によってはエサやりをやめる指導もあるのか? 
 
 
こうした状況を解消するため、これまで地域猫活動を対象としていた野良猫不妊手術助成金制度を見直し、来年度からは地域猫活動に該当しないものの猫の繁殖を防ぐことのみを目的として不妊手術を行う事例に対して、地域の承認を求めず不妊手術費用を助成する予定です。本市といたしましては、引き続き地域の皆様と連携しながら、野良猫を発生させない環境づくりに努めてまいります。
 

 
◆ 真鍋委員
 
ありがとうございます。よろしくお願いします。
 
 
令和3年3月
予算特別委員会