何だかんだと日々を送っているうちに、1月も下旬となった。
大晦日の出来事を一刻も早く書いてしまわねば。
昨年の大晦日、私たち親子は暖かい茶の間でテレビを見ていた。
私たちはお笑いが好きなので、「エンタの神様」を中心に見ていて、紅白で楽しみにしていたのはQUEEN+アダム・ランバートのパフォーマンスだけだった。
「エンタ」でたくさんのお笑い芸人のコントで爆笑した後、QUEENの演奏を楽しみ、アダム・ランバートの圧倒的な歌唱力に驚きつつ「Don't Stop Me Now」を楽しんだ
その暫く後だったか、「テレビ放送開始70周年」とかいう企画のコ-ナ-があり、テレビ界の重鎮の黒柳徹子が出て来て、昔懐かしい歌手・昭和の大ヒット曲が次々と流れた。
キャンディーズを代表して伊藤蘭が大ヒット曲のメドレーを披露!
アイドル時代と変わらぬ佇まいに驚いた他、「全キャン連」の150人超のおじさま方が3色の紙テープを投げ込み、3人の名前を順番に叫ぶ「コ-ル」。
昭和世代ど真ん中の私にはお馴染みの光景だが、若いなっちには初めて見る光景で、かなり新鮮に映ったようだった。
さて、その後に寺尾聰が登場。
1980年代初め、俳優でありながら歌手としても次々とヒット曲を連発した彼は、76歳の渋いおじさまとなって紅白のステージに現れた。
曲はもちろん「ルビーの指環」だ。
♪くもり硝子の向こうは風の街
問わず語りの心が切ないね
枯葉ひとつの重さもない命
貴女を失ってから~♪
この曲が一世を風靡した当時、私はなっちと同世代の若者だったので、懐かしく歌詞を思い浮かべてストーリーを追っていた。
真夏の頃、誕生石のルビーの指輪をやり取りした男女にやがて別れが訪れる。
木枯らし吹く冬の街の喫茶店、うつむき加減に指輪を外す女。
返すくらいなら捨ててくれ、孤独が好きな俺の気が変わらぬうちに消えてくれ、と強がる男。
冷めた紅茶が残ったテ-ブル、傷心の男は窓の向こうの人波に紛れて行く彼女を見ている・・・。
やがて曲は終わりに近づき、このストーリーの結末が語られるのだ。
♪そして二年の月日が流れ去り
街でベ-ジュのコ-トを見かけると
指にルビーのリングを探すのさ
貴女を失ってから~♪
熱愛の末の哀しい結末に私がしんみりと聴き入っていると、脇で聴いていたなっちがボソッと呟いた。
「未練がましい男だなぁ・・・」
ガ--ン!!!(驚愕)
えええ-っ、若い世代はそう来たか
しかし冷静に考えてみると、二年も経過しているのに、街で似たコ-トの女性を見る度に指先を目で追っている男って。。
確かにそう言われても仕方がない気もする。
後日改めてなっちと話した。
なっちがどこかで目にした恋愛の通説として、「男は名前を付けて保存、女は上書き保存する」というのがあるそうだ。
女性が新しい恋をすると、元彼との思い出の上に現在の彼との日々を上書きするので、やがて元彼の事は忘れてしまうと。
「女は要するに、都合のいい生き物なのよねぇ~」
(あら、あんたもそうなのかい?)私は思わず言葉を飲み込んだ。
そんななっちも、まさかの一発逆転の結末をちょっとは想像したとか。
「曲調が暗いから、まず無いとは思ったけどね」
その昔は質屋ぐらいはあったけど、曲の中の女性が質流れを承知で指輪を預けたとは考え難い。
でもなっちが育った頃には質屋どころかリユ-スの店舗、ヤフオクやらメルカリやらがあり、二年の間にルビーの指環はお金に変わってしまっている、、かも
夢のない時代になったものだと思う。
作詞の松本隆先生、こんな話を書いてゴメンなさい