欅坂長編小説 | 北のブログ

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~梨加side


愛佳の体育祭に何とか来れた。


人混みに気分が悪くなったけれど愛佳に来るって言ったし…


トボトボと歩いていると


「梨加ちゃん!?」


『あ、葵ちゃん』


嬉しそうに葵ちゃんが抱きついてきてくれた。


「立ってる梨加ちゃん初めて見た!」


『ふふ、そうだね』


「背高いよ〜」


『愛佳よりちょっと小さいけど』


「羨ましいなぁ」


『愛佳は?』


「あ!もうすぐクラス対抗リレーだよ」


『リレー?』


出るなんて聞いてないけど


「なんかメンバーの一人が練習中に骨折したみたいで補欠に適当に入れられてた愛佳ちゃんが2つもリレー出るみたい」


『嘘っ』


見たい…


愛佳が走ってるの


リレーの入場の声がして葵ちゃんと見えるところに急いだ。


「愛佳ちゃーーーん!!」


葵ちゃんが大きい声で叫ぶから愛佳が振り返っちゃった。


気が散ったとか後で言われないといいな…


小さく手を振ると愛佳も振り返してくれて嬉しかった。


愛佳は2走目らしくて1走目のスタートをコース上で待っていた。


いつ以来だろう。


愛佳が走る姿を見るのは。


中学1年の体育祭で確か


私の思考回路を遮断するかのようにスタートの音が鳴り響いた。


いっせいに走り出す人たち。


愛佳たちのチームは4位でバトンが愛佳に渡った。


『頑張れっ』


「そんなんじゃ聞こえないって!」


『んん頑張れ~』


「変わってない」


葵ちゃんにケラケラ笑われる。


大きな声なんてもう出した記憶ないんだもん


戸惑っていると愛佳は3位になっていた


「愛佳ちゃん足はやっ!」


そりゃそうだよ


だって中学1年の時に既にブロック別のアンカーやってたくらいだもん


なんて私が自慢げにしているうちにもう1人抜いた。


残り数メートル。


1位との差はもうちょっとでつめられる。


愛佳が全力で何かに取り組んでるの見れてよかったな


あの時は無気力で…。


全部奪ったのが私だったから


苦しかった。


でも愛佳は今、私がいても全力で何かを楽しんでる。


嬉しくて涙がこぼれた。


バトンパスは1位とほぼ同時で愛佳と同じチームの人が盛り上がっている。


その後は1つ順位を落としたけど2位でゴールしていた。


愛佳がリレー終わって駆けつけてくれたけど泣いてたから


葵ちゃん責められちゃった。


ごめんね


『愛佳〜』


「り、梨加どうしたの?」


『まなかぁ』


「いるよちゃんと」


ギュッて抱きしめてくれてさらに涙が加速した


愛佳の優しさが堪らなくて声が出ない


「梨加~言わないとわかんないよ~」


困った愛佳の声がして


『愛佳…かっこよかった』


「え、それで泣いてるの?」


『う』


「可愛すぎだから」


さっきよりきつく抱きしめられてちょっと苦しかったけど


愛佳の耳が赤かったから許してあげる。


葵ちゃんがニコニコして走って行ってしまったけど。