渡辺梨加×志田愛佳 小説 | 北のブログ

北のブログ

自身の事や46⊿、48小説書きます。
コメント、いいね、気軽にしてくれると喜びます
アメンバー→公開フォロー

渡辺side

クラスでいつも君は中心にいた。

休み時間になれば君の名前を呼ぶ声が必ず何処かからあがる。

私はいつも遠くからそれをぼーっと眺めていた。

元から人と関わるのが苦手な私は高校三年生になっても昼ごはんを1人で食べていた。

「渡辺~~えっと、梨加ちゃん…だよね?」

ある時突然声をかけられて肩を震わせた。

『んん……』

「あれ?違った?」

『……』

首を横に振ってみせると君は何故かふふっと笑った。

大抵の人は苦笑いするか奇異の目を私に向ける。

苦しかったそれが。

自分が普通じゃないと言われるのが…。

皆と仲良くできないのが…。

「…すっごい、可愛いね」

『…んん』

「1回話してみたかったんだ」

『……あ……』

「ん?」

私の前の席の子が昼休みだから違う場所に行っているのか不在だった。

その椅子の背もたれに腕を組んで乗せて君が私の前に座った。

『………』

「んーー、好きな色は?」

『……青』

「おぉ!青ね!私も好きだよ!」

『…んん』

「ペットとか飼ってる?」

『うん!』

「おぉー、何飼ってるの~?」

『…ね、猫』

「絶対可愛いじゃん」

女「愛佳?」

「ん?」

女「何してんの?」

集団で女の子たちが近づいてくる。

話してみたいな、、。

話せるかな?

『あ……』

女「え…」

一気に騒がしかった女の子たちが静かになって私を見る。

『見え……てる?』

嬉しくて笑うと皆私を笑い出した。

女「まじキモいんだけど」

女「話せるんでちゅね~」

女「見えてる?とか怖すぎでしょ」

ゲラゲラ笑うその人たちを見るのが苦しくなって俯いた。

きっと君も彼女たちみたいに私を笑うんだ

誰にも期待しない…。

そう言ってもすぐ期待してしまって人間を嫌いになる。

ふと顔をあげると感情の読めない表情をした君と目があった。

女「愛佳行こうよ」

「………」

女「愛佳?」

『??』

愛佳は私から視線を流して女の子たちを見る

「…梨加ちゃんが青色好きって知ってる?」

女「は?」

「猫飼ってるんだって」

女「……愛佳?」

「…何も知らないのにキモイとか怖いとか話せないとかそういうの言ってんなよ」

女「…な、何熱くなってんの?」

「見えてる?って聞かれても仕方ないことして来たんじゃねぇの?」

女「……」

「まだ何も見えてないだろ」

女「…何なの」

「梨加~よろしくね?」

『…ん、あ』

「ふふ、いいよ、ちゃんと聞いてるから」

『っ!……ありがとう…』

女「………」

君は女の子たちの肩を叩き何か笑顔で声をかけている。

さっきまで怖い顔してた君はもういなくて。

すごく優しいいつもの君だった。

それが愛佳と仲良くなったきっかけ。

昼休みは一緒にご飯を食べるようになったし

移動授業も1人で行くことがなくなった。

愛佳のお陰で織田奈那とかなーこちゃんとか仲良くなれたし…。

『愛佳?』

「ん?」

放課後なーこちゃんの部活が終わるのを2人で教室で待っていた時

ずっと聞きたかったことを聞いてみた。

『何で声かけてくれたの?』

「んー?」

愛佳がムクっと身体を起こして伸びをする。

仕草のひとつひとつが本当に絵になる。

『……気になってて』

「ふふ、梨加がタイプな顔だったから」

愛佳はイタズラっ子のような笑顔を浮かべた

『…冗談やめてよ』

「……」

『愛佳?』

「…冗談でもいいけど」

窓の外に視線を落とした愛佳の横顔にドキッとする。

なーこちゃんがきてその後愛佳とその話はできなかった。

気になってたのに本当の理由聞けなかったなぁ~

何て呑気に考えながら歩いていた。

男「ねぇねぇそこの3人さん」

男の人たち6人ぐらいがいつの間にか私たちを囲んでいた。

「………」

愛佳が無言で私の前に出た。

男「楽しいことしない?」

「………させねぇよ」

なーこちゃんと私は怖くて震えていることしか出来なかった。

愛佳の言葉に男の機嫌が悪くなり愛佳が殴られてよろめく。

男「威勢のいいヤツは最後にしよっか~」

男が愛佳を叩いて私たちに近づこうとしたからギュッと目を瞑った。

「……だからさせねぇって」

愛佳の声が近くでして目を開けると男が倒れていた。

男達がかかってくる度に愛佳は倒していく。

でも1人が私の肩を掴んだ。

『やっ…』

抵抗してみたものの男性の力には敵わず引きづられた。

「梨加!!!おい!!!梨加ぁぁぁぁあ!」

愛佳が絶叫して私たちは皆耳を塞いだ。

叫んだかと思うと突然過呼吸のように荒い息を繰り返し始める。

男の人たちも周りの人間が来ると思って焦ったのか全員立ち去った。

なーこちゃんと私で愛佳にかけよる。

『愛佳!?』

な「愛佳ー?!」

救急車を呼んでくると言ってすぐに電話をかけ始めるなーこちゃんを見て愛佳に声をかける。

『愛佳!愛佳?』

「はぁはぁはぁはぁはぁ理佐…ああああああああああああ」

運ばれた病院を聞いて先生たちに車で送ってもらった。

なーこちゃんが救急車を呼んだ後すぐ学校に電話をしていたらしい。

『先生……』

遅くなるから2人は帰りなさいと言われてなーこちゃんは帰ったけど私は言う事を聞かなかった。

先生と愛佳の運ばれた病院の1階のロビーに座った。

3つ離れた椅子に座る先生に声をかけると

「ん?」

優しい声が返ってきた。

『………愛佳は』

「渡辺は…3年になってからだもんな」

『??』

「志田は2年の夏に引っ越してきたんだ」

『……え?』

「1年の冬……友達を失ってるんだあいつは」

『!?』

「半年間立ち直れなかったらしいが2年の夏から学校という環境に復活した。前の学校にはその友達との思い出が多すぎて負担がでかいからこの学校にきたらしい……」

『………理佐……って』

「………志田の…失った友達だよ」

『なんで?』

「……志田は悪くない……ただその友達の子が志田の代わりに喧嘩に行ったそうだ……そこで命を……落とした」

先生を見ると唇を噛んで空を仰いでいた。

拳は血管が浮き出るほどきつく握っていた。

『…先生は物知り?』

「ははっ、、違うよ…当時から志田の担任だったんだ」

『??』

「志田のこともあって私もこっちに先生としてこさせてもらった」

『…そっか』

「あいつ今もずっと自分を責めてるんだ」

『何で』

「……理佐が1人で喧嘩しに行ったのは志田がもう足を洗いたいと言ったからだ」

『っ!?』

「改心した志田を喧嘩なんかさせれないってアイツ1人で…馬鹿なんだよ」

先生の肩はもう震えていて涙もボロボロと流れていた。

「理佐だってもうずっと足を洗いたいって言ってたのに……」

「…殺されるなんてさ…誰も思わねぇよ」

先生は少し白髪混じりのくせっ毛をかきむしった。

それは悔しくて堪らないと言いたげに。

「志田が駆けつけた時にはもう……」

『………』

言葉が何も出なかった。

「君が男達に触れられた時暴力を振るわれそうになった時その時の記憶が蘇ったんだと思うよ」

君は皆の人気者。

だから。

だから。

そんな。

愛佳の病室を勢いよく開けた。

「梨加?まだいたの?」

平然を装う愛佳の頬を引っぱたいた。

「っ!?」

『………愛佳』

抱きしめると愛佳の肩が震えた。

君の涙が私の服を濡らした。

堪えていたもの全部を吐き出すように溢れ出る君の涙は長いこと止まらなかった。

『…叩いてごめん』

「………」

『愛佳…いい友達いたんだね』

「っ……」

『羨ましいな』

「……理佐は」

『愛佳、理佐ちゃんのこと好き?』

「……うん」

『じゃあ何にそんなに苦しんでるの?』

「………私が殺した」

『…理佐ちゃんも愛佳と一緒で愛佳のことが好きだったんじゃないの?』

「え?」

『…だから守りたかった』

「………」

『愛佳を守りたかったんだよ?』

「…………」

また過呼吸みたいな呼吸になったのでお医者さんを呼ぼうとボタンを手に取ったけど愛佳に止められた。

『愛佳?』

「梨加がそば…にいて」

『……ん』

愛佳のことを抱きしめて背中をさすってあげると呼吸が落ち着いてきた。

「…理佐の好きは…私の…好きと……違ったから」

『?』

「だから……突き放した……の…あの日」

ポツポツと語り始める愛佳。

その姿は酷く小さく見えた。

「なのに……私の為に……意味分かんない」

『……愛佳』

「ちゃんと…謝りたかった」

『うん』

「なのに……」

『もう十分だよ』

愛佳は泣きつかれたのか眠ってしまった。

私の服を小さく掴んでいる姿が愛おしく感じた。

いつ間にか

私も

理佐ちゃんと同じ感情で愛佳を見ていた。

君には迷惑?

理佐ちゃんのこと思い出させちゃうかな?

ぐるぐると嫌な考えしか浮かばなくなる。

私の好きは

愛佳の好きとは違う。

違うんだよ……。

眠った愛佳を一瞥して病室を出た。

それからの高校生活はできるだけ愛佳を避けた

なーこちゃんには心配されたけどあやふやにして愛佳の周りの子とも関わらないようにした

気づいたらまた1人で…

「ねぇ」

ぼーっとしていたら移動授業だったみたいで教室には私と…

『……』

愛佳しかいなかった。

「なんで避けてるの」

怒られてるのかなって怖くて顔を上げられない

『……』

「何か…悪いことした?」

不安そうな声に聞こえて愛佳を見ると

眉を八の字にして今にも泣きそうだった。

『……違う』

「じゃあ何で」

声が震えているのがわかる。

私何してたんだろう。

愛佳を結果苦しめていたの?

違う。

自分が傷つきたくないから愛佳から逃げてたんだ。

『………違う』

「嫌い…になった?…人殺しだから」

『!?!』

気づいたら愛佳の制服を引っ張っていて

愛佳の唇を奪っていた。

肩を強い力で押されるけど

拒絶されてるのは分かってるけど

抱きしめた。

キスをしたことが申し訳なくなって愛佳の肩に顔を埋めた。

「……梨加?」

『違うもん、、好きになったから!だから!……愛佳を苦しめたくなかった』

「何で」

『?』

「……梨加、顔あげて?」

恐る恐る顔をあげると今度は私が唇を奪われた

『ま、、なか?』

「良かった、嫌われたかと思った」

その屈託のない笑顔が好き

嫌いになるわけないよって頭をふる。

「梨加私も好きだよ」

『違う……私は』

「なに?キスしたのに気づいてないの?」

ヘラヘラ笑う愛佳を見ているとチャイムがなかった。

「サボろっか」

愛佳が机の上に座って向かい合う形で座らせられる。

『ん……』

「梨加のこと本気で好きになった、付き合いたい」

『………』

「梨加?」

『うん……』

「ふふ、ありがとう」

おでこにそっとキスをされるけど

物足りなくて私から唇を奪う。

離した時君の驚いた顔を想像して……

笑みがこぼれた。



ーーーーーーーキリトリーーーーーーー

お久しぶりの更新になってしまいました…。
なんか甘い小説書きたかったけどやっぱり私にはできないみたいで(笑)
次はきちんと挑戦したい!!
拙い文章ですが最後まで読んでくださってありがとうございました!
常に小説の希望は募集してるのでよかったらコメントしてください!