ヘルクレスといえばギリシア最大最強の英雄ですが,その一生は生まれてから死ぬまで不幸不運の連続でした。彼の父はオリンポスの主神ゼウスですが,母はペルセウス(ペルセウスもまたゼウスの子)の孫アンビュトリオンの妻アルクメーネでした。この複雑な出生のためゼウスの正妻ヘラに恨まれる運命を負っていました。生まれた直後にヘラが差し向けた蛇に襲われますが、赤ん坊の彼はこれをいともたやすく握り殺してしまいます。ケイロンのもとで武芸百般を修め長じてギリシア一の英雄となりますが,ヘラの呪いがつきまとい発狂して妻と子を殺してしまいます。その償いのためミュケナイ王エウリュステウスに仕え,人食いライオン退治(しし座)や毒蛇退治(うみへび座)地獄の番犬の生け捕り(おおいぬ座)などの12の難題を命がけでこなします。旅の途中コーカサスの山頂では,鎖に繋がれ大鷲に襲われているプロメテウスを救います。彼は人間に火を教えたためゼウスの怒りをかい,この荒山で毎日大鷲に肝を食いちぎられるという拷罰を受けているのです。プロメテウスは神なので死ぬことができず、翌日には傷は癒えてまた大鷲がやって来るという永遠の刑罰はヘラクレスによって消滅したのでした。
それらの難題をやっとし終えた頃,ケンタウルス族の悪者ネッソスの計略にかかりヒュドラの猛毒に当たってしまうのです。毒が回ってきて自分の最期が近いことを知ったヘルクレスは自分自身の火葬の準備を始めます。オイタ山に登り山頂に薪を積んでその上に横たわり,友人ピポクテテスに火をつけるよう頼みます。ピポクテテスはためらいながらもヘルクレスの苦しみを見かねてやっとの思いで火をつけた時,稲妻雷鳴とともに空から4頭立ての馬車が現れ,彼を天に運んでいきました。ゼウスは最後になって初めて父親らしいことをしたわけです.....でも遅すぎましたね。