変わらぬ想い。 | ・.....・.........・・..




シャワーを出たら、宇野ちゃんはいなかった。






宇野ちゃんがいないベッドは、宇野ちゃんの居た場所が少し窪んでいて、何なら寝転んで目を瞑れば昨夜の情事が蘇るくらいの残り香を潜ませて。




荒らしたシーツをそのままに、居なくなるなんて。




目を覚ました宇野ちゃんに、



「寝顔も、可愛いよ。」



って伝えたら、少し照れて。



今までにはない甘さを感じたから、シャワーを浴びたら宇野ちゃんのために、一昨日買ったヨード卵・光でフワフワのオムレツでも拵えようかなって、思ってたのに。





俺の手には、宇野ちゃんが履き忘れたGIVENCHYのストッキングだけが残った。







電話を掛けても、電源は入らないし、



LINEは、既読にならない。



甘さを感じたのは、俺だけだったんだなと理解しなきゃなと思いつつ、わかったのは宇野ちゃんは酷く焦ってたんだろうなってことだけ。




いろいろわからないことだらけだから、直接宇野ちゃんに聞こうと思って、ヨード卵・光は自分の腹に入れた。





だけど。











連絡が取れなくなったような気がしたのは、気のせいじゃなく宇野ちゃんの意思なんだと、理解するには時間は掛からなかった。









だって、







宇野ちゃんは、あからさまに俺を避けるから。









視線は、合わせない。








移動車は、俺がいない方に乗る。






メディアに出る時に、俺に話を振らない。







極力、俺と同じ場に居ることを避けていた。








余りにもあからさまで、真司郎が宇野ちゃんに、







「何で、最近楽屋におらんの?」






と尋ねたら、






「1人が好きだから。」






って、誰の顔も見ずにやっぱり楽屋を出て行った。







争いが嫌いな宇野ちゃんが、そんな不協和音を呼び起こすような行動や言動を取る理由が知りたくて、日高に聞いた。







「え、知らねーよ。」







日高も、また、俺の目を見ずに答えた。







嗚呼、そう言うこと。






日高は、嘘が下手。





だけど、口は固い。






こうなったら、是か非でも本人に確かめるしかないなと思った。












見た?


うん…


最近、困っちゃうんだよね…


そういう人じゃないと思ってたから、ショック…


私、宇野さんってプロ意識高いと思ったんだけどな。









「お疲れ~」






さり気なく声をかけると、メイクさんが気まずそうな顔をするとパッと散った。





なるほどね。





そっか。















何回かチャレンジして、やっと宇野ちゃんの待ち伏せに成功した。







「!?」





俺に気づいた宇野ちゃんは、あからさまに逃げようとしたから、細い腰に手を回してメンバーが帰ってしまった楽屋に押し返す。






「止めて!」





「あ、喋った。」




「…」





宇野ちゃんは、目を逸らした。





「ね、ストッキング取りに来てよ?」




「何の話?」




宇野ちゃんは、壁の端の方に視線をやったまま言った。



「俺が、nina mewのニットと一緒に手洗いしたじゃん?」


「知らない。」



「ああ、そうwなら、『宇野実彩子、使用後ストッキング』ってメルカリで売っちゃうよ?」




「どうぞ。」



「何?そういうプレイ?俺、萌えるんだけどw」



「…この際だから、はっきり言っておくけど。」




宇野ちゃんが、はじめて俺に顔を向けた。




「何?」



「メンバー…仕事仲間としか、思ってないから。」




「は?」




「にっしーのこと。恋愛感情とかないから。勘違いさせたなら、謝る。」




「あ、そ。」




「だから、離して。」




「ヤダ。」




「人呼ぶよ…」




「呼べば?」




「…」




「嘘つき。」



「は?」



「宇野ちゃん…俺の腕を中で、なかなかイイ声で鳴いてたよ?」



「…。」



「一つになる時の長めのキスしてる時の宇野ちゃんの顔、蕩けそうだったよ?」



「…。」




「イク前に“ 愛してる”って言ってくれようとしたでしょ?」




「そんなワケ…ナイでしょ。」




「嘘つき。」




「嘘じゃない。」



「じゃ、俺の目を見てよ?」







宇野ちゃんの大きな瞳が、俺を睨んだ。







「彼氏に…バレた?」




「!?」




「やっぱり…」





宇野ちゃんの耳の後ろの痣に触れる。






「別れてよ。」






「関係ない…」





「関係なくないっしょ?宇野ちゃんも気づいたんでしょ?」




「…何を?」




「俺ら…特別じゃん?」



「わけわかんない…」




「本当に、俺がヤなら…もっと抵抗すんでしょ?」





「…」




「同情で、脚開く女じゃないじゃん?」




「…」




「俺の名前…呼んでくれたじゃん?」




「束の間の快楽を…愉しんだの。」



「…イイよ?それでもイイよ?また、愉しもうよ?」



「え?」



「大義名分が必要なら、宇野ちゃんの好きにしたらイイさ。2人で、愉しも。」



「何言ってンの?」



「宇野ちゃんが快楽を貪るなら、俺はセフレでも何でもイイよ?」



「…もう…飽きたの。」



「ああ…なるほどw」



「だから、こう言うことも止めて。」



「ヤダ。」



「!?」






「宇野ちゃん、何、抱えてんの?」




「…」




「日高がさ…俺にさ…嘘付くんだよ。宇野ちゃんのこと、何も知らないって。知らない顔してねーの。」





「…」




「何か…あったよね?」






「…」






「痕…よく付けられてんの?」







「…付き合ってんだもん。」






「その割には幸せそうじゃない。」






「…」






「俺なら、そんな顔…させない。何…言われた?」





「私の問題…だから。」






「…。」





「付き合ってる人がいるのに…同情で…身体を預けた…私の問題。」





「違う…」





「違わないッ」




「俺も請け負うから…」




「ムリ…」





「宇野ちゃん…」





「ただのメンバーだから…」




「なら、避けんなよ!」




「!?」




「それなら、同情なら、部屋に入れんなよ!俺を受け入れンなよ!」




「…」





「嘘…付くなよ…ただのメンバーなら…お互い…こんなふうに傷つかねーだろーが。」




「…」




「彼氏に…何を言われたのか知らねーけど…1人で請け負うなよ…一緒に仕事すんのに、ずっと避けられんの…堪んないよ。ついこの前、俺の右手の中で足掻いてた女に…知らない顔されんの…」




「忘れて…」




「は?」




「忘れて…私は、アナタの足枷にしか…ならない。」










そういうと、宇野ちゃんの長い指が頬に触れて唇に柔らかい唇が掠めた。






「!?」






「アナタは、もっともっと前に進んで…」









泣いてるような笑顔を浮かべると、不意を突かれた俺の腕からスルリと抜け、振り向きもせず楽屋を抜け出した。









掠めた唇の感触が、残る。











スマホを操作する。















「日高?連絡先…教えて欲しいんだけど…」

















もう、遅いよ。






俺の想いは…




変わらない。




だって今更、君のいない世界なんて


 



有り得ないから…







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もしも君がそばにいない人生を過ごすとしたら
毎日はカラッポだろう
夜がとても長く感じるだろう
君といれば永遠が見える
そう、はっきりと
君と知り合う前にも恋をしたことがあるけれど
これほど強い想いは感じたことがない
僕たちの夢は始まったばかりだと 二人ともわかっている
夢が連れて行ってくれる 僕たちが行きたい場所へ
抱きしめて
僕に触れて
君なしで生きていきたくないんだ

君への愛を変えることができるものは何もない
君は僕がどれほど愛してるかわかっていてほしい
ひとつだけ確実なこと
それは僕は君の愛だけしか欲しくないってこと
君への愛を変えることができるものは何もない
君は僕がどれほど愛してるかわかっていてほしい
世界が僕の運命を変えてしまうかもしれない 
だけど
君への愛を変えることができるものは何もない

平坦な道程じゃないかもしれないけれど
愛が僕たちを導いてくれる
空に輝く星のように
僕はいつでもそこにいる
君が僕を必要な時にはね
君はそのまま変わらずにいてくれたらいい
僕はそのままの君を愛してるんだ
僕と一緒に同じ景色を見よう
僕は永遠に君の力になるから
抱きしめて
僕に触れて
君なしで生きていきたくないんだ

君への愛を変えることができるものは何もない
君は僕がどれほど愛してるかわかっていてほしい
ひとつだけ確実なこと
それは僕は君の愛だけしか欲しくないってこと
君への愛を変えることができるものは何もない
君は僕がどれほど愛してるかわかっていてほしい
世界が僕の運命を変えてしまうかもしれない だけど
君への愛を変えることができるものは何もない

君への愛を変えることができるものは何もない
君は僕がどれほど愛してるかわかっていてほしい
ひとつだけ確実なこと
それは僕は君の愛だけしか欲しくないってこと
君への愛を変えることができるものは何もない
君は僕がどれほど愛してるかわかっていてほしい
世界が僕の運命を変えてしまうかもしれない だけど
君への愛を変えることができるものは何もない…