カナリーウォーフの某金融機関で昨年半年働いて変わった転職環境は
何と言っても、エージェンシーからの仕事紹介数が増えたこと。

半年間の現地企業での経験が
「この人、現地企業の仕事を紹介しても大丈夫そうね」に変わったのである。

ロンドンの日系企業で働いていた頃は、
「現地企業の日本語を使わない仕事を紹介してください」とお願いしても
「お仕事が出て来てたら紹介するわね〜♪」と言葉を濁され
一回も連絡をくれなかったエージェンシーが多数。

ところが、現地企業での経験を積んだ後は、と言うかその半年の間にも
エージェンシーから案件の紹介がどんどん入ってくるようになった。
クリスマスの時期はさすがに紹介がなかったけれど、
平均して3日に1案件のペースで新しい仕事を紹介してもらった。

Brexitのせいで転職市場が変わってきている。
パーマネント(正社員)の雇用が少なく、
ほとんどが契約社員か派遣社員の募集である。
募集案件の給与も抑えられている…。
多くの金融機関はイギリスがEUを離れることによる
まだ確定していないインパクトを考え、人員削減を始めている。
金融機関における考えられるインパクトの一つは取引の際の手数料なのだそうだ。
EU同士の取引では発生しないが、イギリスがEUを離れると手数料が発生することになるらしい。
そこで、オフィスをEUに移転することを検討している金融機関も出てきている。

ファイナンシャルモデリングのスペシャリストの知人は、去年の10月からまだ仕事が見つかっていない。
高度な専門知識を持つ人でさえこの状況である。
これからロンドンの転職市場はますます冷え込んで行くだろう。
あるいは、この不安定な状況のもと、金融機関は調査部や審査部に多くのスタッフを配置し、
多くの損失を出さないために守りの姿勢に入るだろう。

ロンドンは金融機関にとって最も魅力のある都市の一つである。
また、イギリス政府もイギリス経済を支えている金融機関を確保するために
税制などで優遇して行く可能性がある。

日本企業もしかりで、ロンドンを引き揚げてデュッセルドルフやアムステルダムに
オフィスを移す企業が増えるのではなかろうか。
デュッセルドルフもアムステルダムも英語を話せる現地人が確保可能だ。
実際、製造業や食品業界はデュッセルドルフやアムステルダムは以前から
魅力のあるオフィスの候補地である。
ロンドンに暮らす日本人の中には仕事を失う人も多く出てくるであろう。
その時が来ることに備えて、現地企業への転職の道を考えておくことも必要だ。

今ロンドンの日系企業で働いている人は、3-5年の同じ職場での職歴をつけてから
現地企業へ転職すると良いと思う。
こちらの現地企業は人の出入りが激しいが、それなりに一つの職場での職歴が長い人を
採用したがる傾向がある。

そして、機を狙って現地企業への転職活動を開始してみると良いのではないだろうか。

次回は、具体的な仕事探しの話や、エージェンシーへの登録について書きたいと思う。