先日、元旦のポーカーは、二度の恐るべき悲劇にもかかわらず奇跡的になんとか勝ち越し、少々自信をつけたトム所長である。
「あんなことが二回も起こって、それでもリカバーできる俺は強い!」
「普通に順調に行けば、こら簡単に勝てるわ!」
などと、Aさんにうそぶきつつ、意気込んで今日はハードロックカジノに向かう。
しかし、その自信とは裏腹に、バイインは相変わらずの500ドルである。
なぜか?
先日のように、いきなりオールイン8連敗とか、最初にとんでもない不運に見舞われても後から挽回が効くようにである。
マックスの4000ドルでバイインしても、いくらラージとは言え、やはり運が悪いと簡単に一発で飛んでしまう。
一回飛んだだけで、その日は負けが濃厚だ。
ましてや、2回連続飛んでしまったら、ほぼ回復不可能である。
トム所長は珠海からえっちらおっちら長い時間をかけてマカオに通っているので、できるだけ一日たりとも負けて帰ることを避けたいのだ。
行った以上は小さくとも毎日プラスで帰りたい。
また、500でバイインして、それをどんどん増やして行き、他人のチップでラージスタックを築く。
それが快感だ。
500とか1000から増やしたスタックなら、最悪なくしてもまた挽回が効くから気が楽である。
自分のお金でバイインした4000ドルをオールインするのは、もしまた(笑)引かれたら、などと考えると心臓に悪く、なかなかそういう展開に持ち込むようなプレーができず、危険を避けてばかりの安全プレーになってしまい、それではラージスタックの強みを生かしたプレーができません。
また、この作戦には別の効用もある。
まず、ミニマムで入ることにより、他のプレーヤーに間違った予断を与えることができる。
「こいつはショートスタックしかできないスシかスシもどきに違いない」
と、まともなプレーヤーなら普通考えるであろう。
そして、実際にスタックが20BBであるから、はじめは典型的なショートスタック戦術を使い、AA~JJ、AK~AJ、KQあたりでプリフロレイズ(状況によってオールイン)して、フロップが当たったら即オールインである。
場合によっては当たらなくてもオールイン。
それから、22~TTはリンプインしてセットを狙い、当たったら、場合によってはオールイン、ボードとメンツが安全そうならスローしてできるだけ多くのチップを狙う。
スタックが500ドルしかないので、セットでスローして間違って引かれても損失は500ドルだけだからスローしやすい。
それで、そういうプレーをするから、ますますこいつはそういうプレーヤーだという印象を与えることができる。
で、そういうプレーが功を奏してスタックが成長したら、そこからがトム所長の本領発揮だ。
相変わらずトップペアハイキッカーばかりで攻めてる風を装いつつ、ボードをはずした時はトップペアが当たったかのようにプレーしておろさせ、もっと大物の手ができた時はツーペアあたりができた人からごっそり頂くという戦法だ。
トム所長の大物手は相手にトップペアトップキッカー以上の手が入ってる限りにおいて、ほぼ必ずコールしてもらえるのである。
何も手が入ってない時は全然ダメだが。
また、トム所長は、取ったり取られたりの、出入りの激しいポーカーを嫌う。
もともとそういう激しいポーカーは性格的に(小心者なので)嫌いだが、しかし、他にもう一つ、非常に重要な理由がある。
それは、ここマカオのポーカーの激しいコミッション率のせいだ。
なんと、5%で、上限が100ドルである。
これはむちゃくちゃ高い。
2000ドル以上のポットを取ったら一律100ドルもの参加料を払わねばならない。
一日で10回取ったら、その10回のポットだけで1000ドル、つまり11,000円ものコミッションだ。
仮に、2000ドルのポットのうち、自分が出したチップが900ドルで、負かした人のチップが900ドル、フロップまでついてきた人のチップが200ドルとすると、取ったポットは2000ドルでも勝ち額は1100ドルなので、実質のコミッションは100/1100≒9%ということになる。
恐ろしい数字である。
これだけコミッション率が高いと、取ったり取られたりのルーズなポーカーを展開していると、コミッションが膨大なものになってしまう。
ヘタするとコミッション負けですわ。
故に、コミッションの高い場ではコミッション率を抑えるために極力負け額を抑えるポーカーをするべきだと、トム所長は考えるのであった。
なんだか長くなってしまったので、マカオ三日目の結果報告はまた今度!
まあ、なかなか前途多難、そう簡単には行きません。(泣)