手間と暇 | 寸劇の個人

手間と暇

建築学会により、熊本大地震の木造住宅の悉皆(しっかい)調査が行われ

その報告会が行われたようですが、2000年以降・・・つまり

新耐震基準で建てられた木造住宅でも、倒壊の例が確かめられたそうです。

とは言え、私自身は特に驚きもしません。

というのも、建築基準法というのは、あくまで最低の基準であり、

安全を担保するものではないからです。

仮に基準法ギリギリの設計・施工で建てられた場合、

最大震度7の地震を2度も経験すれば、無傷でいられないことぐらい

容易に想像がつきます

私が木造軸組住宅を設計する場合は、基準法で定める必要壁量の

最低でも1.5倍の耐力壁を計画します。

これは最低なので、実際には1.6~1.8倍の壁を入れ込みます。

更に、偏心率を計算して、その値が0.3以下になるように設計します。

これらを施すことにより、耐震性を高めて、

平面的なねじれを抑制することが出来ます。

難しい話をすると、長くなるので割愛しますが、

地震に対する設計上の備えには、他にも『制震』、『免震』があります。

さて、話を元に戻しますと、建築基準法とは最低基準なので、

コストを考慮しつつ、安全率を折り込んだ設計をするのが

設計者の責任だと思っています。

ところで、まだまだ調査が必要かと思いますが、

今回倒壊した新耐震基準の木造住宅は、

その必要壁量がギリギリだったそうです。

更に、偏心率の計算は基準法で要求されないし、

手間がかかるので、普通はそこまでしません

ですので、今後の調査については、偏心率まで調べてもらいたいと思います。

さて、偏心率の計算というのは、それなりの知識も必要ですし、

手間も少しだけかかります。

といっても、作業としては1日程度余計にかかるだけなので

予め出来ることは、やっておいたほうが良いと思うんですけどね・・・

それは法による規制云々ではなく、

『設計者の矜持として』

です。