これで何の不安も無く、富士山マラソンのスタートラインに立つことができるはずでした。(前回からの続き)

河口湖周辺のホテルはどこも満室で予約が取れなかったため、山中湖近くのホテルに前泊し、翌朝6時、車を運転して現地に向けて出発しました。

予定では6時30分には駐車を終え、駐車場からのシャトルバスで河口湖駅まで移動し、あとは8時15分のスタートに備え、準備運動をしたり、着替えを預けたりなど余裕があるだろうと想定していたのですが、後に「23,000人のエントリーのうち、5,000人がスタートに間に合わず走れなかった」と新聞でも大きく騒がれるほどの大渋滞に巻き込まれてしまったのです。

山中湖から富士五湖線に乗って富士吉田ICを出ればすぐのところに駐車場があるので、そのルートを選んだことが大きな失敗でした。ICまで2kmのところで出口渋滞のため車は完全に止まってしまいました。見た感じではほとんどが富士山マラソンに参加する車のようで、スタート時間は刻々と迫ってきますが、1km進むのに1時間かかってしまう状況です。「これではスタートに間に合わない」と、車を降りて路側帯を歩いていく人もたくさんいましたが、私は運転手ですから車を乗り捨てるわけにもいかず、ひたすら渋滞の中で解決策を考えていました。

出口まで1kmのところで2車線になっているのですが、皆左車線に寄っていて右車線がガラガラだったので、マナー的には皆と同じように左車線に並ぶべきかもしれませんが、それしか間に合う方法は無いと決心し、かつ交通法規的には問題が無いので、そこから右車線を一気に走り抜き、出口のところで左車線に割り込みました。さらにETCの出口に車が行列になっており、私はETCでしたがガラガラの一般出口に向かいました。皆さんは一般出口でもETCカードで精算できることを知らないようです。

そして高速を出て駐車場に向かおうとすると誘導員が、もう時間的に満車になっているはずであろう富士急ハイランドの駐車場に全ての車を誘導しているではありませんか!私は車の窓を開けて、その誘導員に「そっちの駐車場は空いているのか?」と聞いたら、「満車でーす」との答え。「空いている駐車場はどこだ?」と聞いたら、進行方向と正反対の方を指差し「あちらは空いてると思います」という答え。呆れてモノが言えないくらいだったのですが、時間が勝負だったので、有無を言わせずUターンをして、河口湖総合運動公園の駐車場に向かい、何とかスペースを見つけ駐車し、準備を整えスタート地点に向かいます。

その時点で時計を見ると8時です。スタートまで15分。
駐車場と河口湖駅を結ぶシャトルバスを待って並ぶ行列を見て、私はウォーミングアップを兼ねて走ってスタート地点まで行くことにしました。友人の丹ちゃんはシャトルバスで行くことを選択し、そこでお互いの健闘を祈り、別行動になりました。

駐車場からスタート地点までの距離は3km弱であることはiPhoneで確認していたので、ギリギリ間に合うかもしれないと思いつつ、体力を消耗しない程度の速さでスタート地点に向かいました。下り坂であることが不幸中の幸いでした。

スタート地点に着いた時には、スタート1分前。
既にカウントダウンが始まっていたものの、無事にスタート時間に間に合ったのです。

ちなみにシャトルバスで移動した丹ちゃんは結局10分遅れでスタート地点に着いたそうですが、多くの方がスタート打ち切り時間(8時50分)に間に合わずに走れなかったことを考えると、二人とも無事に出走できたことは、本当にラッキーでした。

スタートの号砲が鳴り響き、私は笑顔で歓声の中を走り始めました。(続く)