振り返る間もなく、さらに新たなチャレンジが私を待ち受けていました。(前回からの続き)

5月上旬に三浦雄一郎さん、豪太さんらと一緒にネパール入りし、世界最高峰のエベレスト山の見えるエベレスト・ビューホテルに滞在し、そこから4,300m地点まで登山をすることになっていたのです。

1月に雄一郎さんにお会いした際に、山に登りたい!という話をたまたましていたこともあり、知人を通してお声がかかり、仕事のスケジュール調整もうまくできたので、参加することにしました。当初のアナウンスでは、登山に慣れている人を対象にした4,300mまで登る日帰り登山コースがあったのですが、突然それが無くなったという連絡が来ました。

後で、豪太さんから聞いた話だと、4,300m程度の登山であっても、素人が十分な高度順化(酸素の少ない高地に身体を馴らすこと)をしないで登ることは危険性もあるし、そもそも無理だろうということで、コースを変更しようとしたらしいのですが、一部の参加者(私もその一人です・・・)がどうしても登りたいと強く主張したため、条件付きで認めたそうです。

その条件の一つだったのが、代々木にあるミウラドルフィンズの低酸素室での海外高所テストとトレーニングでした。

ちなみに低酸素室について簡単に説明すると、標高0mでの空気の量を100%とした場合、酸素の割合は20.9%ですが、標高が高くなると同時に大気圧が低くなることにより酸素の量が減る現象と同じ状態をシミュレーションできるようになっています。さらにミウラドルフィンズの低酸素室は「常圧式」と呼ばれ、大気圧は変化しない代わりに、20.9%の酸素濃度を低くすることで酸素量を高所と同じように低くしています。この方式は、部屋の出入りが簡単なので、気分が悪い時などもすぐに外に出られるなど、低圧式よりも安全性に優れています。

そこで、4,000mの高地で普通に話をしていたり、運動したり、寝たりすると身体がどのように変化するのかを科学的データも取りながら体験するとともに、どうやって低酸素を克服するのかというトレーニングをし、豪太さんからたくさんの知見をいただきました。

最大のポイントは「呼吸」

人間は呼吸しないと生きていけないにも関わらず、いかに呼吸に無関心だったか、そして呼吸によってどれだけ自分を助けることができるのかということが、よくわかりました。そして低酸素の中でも酸素をしっかりと身体に取り入れる方法は、登山ばかりではなく、長距離を走るときにも大変重要なスキルであることを強く認識する機会になりました。

後に豪太さんには、7月に富士山登山を控えていた東京コミュニティスクールの子ども向けに「低酸素の達人」としての講演並びに低酸素室体験をしていただき、そのおかげでほとんどの子どもが富士山登頂を果たすことができました。心から感謝しています。

実際にネパールで私はどうだったのかというと、3,800m地点にあるホテルに着いてしばらく経つと高山病の症状が現れてきましたが、その呼吸法のおかげで無事に克服し、翌日4,300mまでの登山を快適にすることができました。登るのはたかだか500mだからと少しなめていたところはあったのですが、寒さと低酸素は相当身体にダメージを与えることを実感するとともに、それを乗り越えて登頂し、美しいヒマラヤの山々を見る感激は今も忘れられません。

いつか、もっと高い山に登ってみたいという想いが、心に深く刻まれました。

そんなときに、BBT大学院の卒業生で、Walkingを始めた当時に「ちゃんとFacebookで宣言して下さいね!」と挑発してきた(笑)井上俊宏さんから、「湘南マラソンに一緒に参加しませんか?」というお誘いを受けました。

「いいかも!」とすぐに思ったのですが、何となく初マラソンなのだから思い入れのある場所で走りたいなぁと考え少し調べてみると、「第1回富士山マラソン」という大会が目に飛び込んできました。

「第1回」という響き、そして大好きな「富士山」。

「これしかない!」と即決し、6月28日に申込を完了。
11月25日開催の「第1回富士山マラソン」への初挑戦が決定しました。

いよいよ、フルマラソンに向けて準備をしていくことになりました。(続く)