引っ掛かるはずの段差のところに
段ボール箱が無い…
川の下流に目線を向けると




100mくらいでしょうか
子供ながらに遠くに感じた距離に

箱がひっくり返って流れてました。









た、大変だ!
ワンコは?ワンコどこ?
どこにいるの?








あちこちを見回しても
子犬の姿はありません。








ひょっとして…そんな…やだよ……





どこか川で浮いていれば
掴まることができる距離でなら
木の棒でもなんでも持って
そばまで駆けつけて
手を差しのべられるのに



子犬の姿が
どうしても見つけられません。







どこ?どこだ?おーい!




どんなに声を出しても
川はもちろん
回りでワンコが
反応する様子はありません。





なぜか段々とイライラが溜まります。




姿を見せて!と
願って
日が暮れるまで探しましたが








とうとう見つけることが
出来ませんでした。










悔しい…
悲しい…
どうして…
ちっちゃなワンコが
あんな目に遭うんだ…?????









そして







どうして僕は
助けられなかったんだ?!









目の前に
ワンコが
泣き叫んでたじゃないか!








どうして…どうして…








暗闇のなか
独り
泣いて帰りました





啼きました







子犬の命を救う力が
自分になかったことと

子犬を川へ捨てた人への
怒りと哀しみで

心は張り裂けんばかりでした。












今よりも
野良犬や野良猫の保護が
手厚くなく
多くの野良がいた時代です。


ときには自分と同じくらいの
子供が野良にいたずらをしては


蹴飛ばしたり
箱に閉じ込めたり

悪態三昧の子供も見聞きしました。





そんなことを知る度に

僕はそんなこと
絶対しない


今度捨てワンコを見つけた時は
絶対に
助けるんだ




そう心に誓いました。





続く………。