残念でした、

 

 まだ生きていますよ私。

 

 

 

 

 いってみよう。

 

 

 

 

 知り合いの開店祝いでトイレに飾る小物を作ることになりました。

 

 派手な宣伝はしないという経営方針とのことで

 

 ひっそりとトイレに潜む地味な小物です。

 

 木彫りの飾り。 なんとなくそう思いつきました。

 

 

 なぜかしらん茅ケ崎、とくに海側の新しい人たちは

 

 プルメリアとモンステラとウミガメが大好き。

 

ということでプルメリアをモチーフとします。

安直ですが、こういった場合、分かりやす過ぎるくらいがちょうどよいはずです。

 

 インターネットでちょうどよさそうな写真を拾い、

 

 PCのモニタから直接トレースするという

 

 デジタルなのかアナログなのかよく分からない手法でサンプルを取り、

 

 角度ごとに組み合わせ下絵とします。

 

 

 普段このようなことをしないので何度もやり直し、

 

 まとまるまでに1週間ほどかかりました。

 

 

 しかしこれが正解なのか分からない。

 

 どんなもんだろう。

 

 

この図案をホオノキの板に転写、彫ってゆくことになります。

白っぽい部分と黒っぽい部分が混在しています。

 

 ウッドプラグ(木製疑似餌)を作るとき、

 

 白っぽい部分はフカフカして削りにくいという経験をしています。

 

 不安。

 

 

転写します。

トレーシングペーパーに図案を写し、裏面の線に沿って鉛筆でなぞり筆圧で材に転写します。

 

 カーボン紙を用意する手間とお金を惜しむと

 

 このように面倒なことになり結局手間。

 

 

転写が終わり、彫りに入ります。

 

このとき後に控えている苦難の道に私は気づいていません。

 

 あるいは、気づいていて気づかないふりをしていただけ。

 

 

とりあえず彫刻刀で彫ってゆきます。買いました、安いやつ。

『よく切れる商品を選びましょう』とあります。

 

 私が選んだこの商品は『よく切れる』のでしょうか。

 

よく切れるかどうか疑問ですがポツポツと彫り進めます。

じつにじれったい。勢いでどうにかなるものでないからです。

 

 私の一番不得手とする類の作業です。 忍耐と根気。

 

 

めざましい進捗が見られません。

成長の遅い植物(パクチーとか)を観察するよう。

 

 加えて間違いが許されない。神経を使います。

 

彫りすぎると元に戻らないのです。

当たり前ですね。

 

 

予想どおり白っぽい部分はフカフカで彫りにくい。

これは無理にこじると簡単にもぎれてしまうやつだ。

 

 

 

彫り始めて1週間、まるで終わりが見えません。

うっすら分かり始めています、私はこの先数週間ため息をつきつつこの板と向き合うことになる。

 

 30年ぶり、人生4度目の彫刻刀作業は思いのほか魂を試します。

 

 こんなに大変だったっけか?

 

 

 数日経ち、限界を感じ、電気の力に頼ることにしました。

 

 低すぎる私の限界。

 

 

電動彫刻刀。

ひと彫りひと彫りに魂を込めていると魂がなくなってしまうよ。

 

 

さすがに速い、電動工具。 文字通りサクサクと彫れてゆきます。

細部には不向きですが、大幅な省力化に寄与します。ありがとう。

 

 ただね、音が大きい。

 

 集合住宅では割と使用不可の予感。

 

 一戸建てでも朝晩の使用は控えたほうが無難でしょうね。

 

 窓も閉めたほうがよいかもしれない。

 

 

 

 電動工具による省力化に味をしめた私、

 

 ルーターも使えるのではと思いつきます。

 

ルーターです。力が中くらいに強いものと非力なもの。

これに切削砥石を取り付ければ道具になるかもしれない。

 

 んで、

 

コーナンで切削砥石を買ってきました。

10本入って1000円しない。良心的です。

 

 問題は道具になるか、です。

 

 結果、

 

大いに役立ちました。 ありがとう、コーナン。

1ミリ幅の丸刃彫刻刀でも入らないような隙間が簡単に深く彫れる。

 

 あっという間に削れてしまうので使用中にくしゃみはできませんが、

 

 それを除けばほぼ欠点は見当たりません。

 

 電動彫刻刀と違い音も静か。 よかった。

 

 

大まかな造作が済んだらサンドペーパーで面均しとキワのお手入れです。

 

ちょっと硬めのウレタンスポンジ等で裏打ち。

両面テープで貼り付け、任意の幅で使用します。

 

 

使用しなくなったカード(テレホンカードほどの厚さ)も有用です。

細部を追い込んでゆかねばならないのでこのようなことをします。

 

 サンドペーパーのみで使用するとすぐに折れ曲がってしまう。

 

 

電動工具でズルをした分、こちらで魂を使いますよ。

美味しくなれ。

 

 

 延々と木をこすり続け、さらに1週間、

 

 魂の残量がゼロに近くなったので追い込むことをやめました。

 

この辺で許してやろう。(訳:この辺で許してください)

花とロゴ以外は軽くペーパーを当てるに留め、丸刃の跡を残しました。(水面のイメージ)

 

 茅ケ崎といえば海とプルメリアです。(知らんけど)

 

 

 ここまでくればあと一歩です。

 

 表面保護の塗装を施して終わり。

 

下地調整用のシーラーを塗ります。

オイルステイン仕上げが好みですが、嫁ぎ先の人がかなり化学物質に敏感なので水性。

 

 においもほとんどしません。

 

筆塗りです。 楽しい。

あなたが持っているそのリンゴをくれたら塗らせてあげます。

 

 下地調整が終わればいきなりトップコートです。

 

 今回は無着色にしてくれと言われているからです。

 

 本当は着色したかった。

 

 白、ピンク、黄色、オレンジ、水色・・

 

 小遣いをはたいて何色も揃えたのですがね。

 

 

水面の『きらめき』を表現したいので、背景はセミグロスです。

サテン=セミグロス。 合ってますよね?

 

 

花とロゴは対比として落ち着いたつや消しにします。

マット=つや消し。 合ってますよね?

 

 ツヤありとツヤなしの対比による効果。

 

 センスのある知人に伺いを立てたゆえ間違いないと思います。

 

 ありがとう、センスのある知人。

 

 

 

 しっかりと塗分けをし、完成です。

 

半光沢の背景は光を反射し動的な印象に、

一方、花とロゴは光沢を抑え、しっとりと落ち着いた・・

 

 

・・花とロゴ、なんだか光ってる気がするんですけど。

 

 

光っていませんか?

ハンバーグチェーン店のお皿みたいに光ってはいませんか?

 

 私には光っているように見えるのですが、

 

 あなたにはどのように見えていますか?

 

 

 手戻りです。

 

 私には光っているように見える。

 

 

『マット』って書いてあるのに・・

それとも『待って』と読むの? だとしたら私は何を待てばよいの? 

 

 

またしてもコーナンにゆく羽目になりました。 近いからよいけれど。

『つや消し』と日本語で書いてあるので安心です。 私、英語は分かりません。

 

 

 瓶、缶入りの販売がなく缶スプレーのみの販売だったので、

 

 別容器にスプレーを噴射後水で少々薄めて筆塗りしました。

 

 

 結果、

 

いや、もう、これでしょう。

これこそが『つや消し』でしょう。 私にはそう見えます。

 

 危ないところでした。

 

 ウチのカミさんと違い、

 

 私は木肌丸見え、ニスてらてらの木製食器が好きではありません。

 

 あのようにならなくて本当によかった。

 

 

今度こそ完成です。

1か月ほどかかりました。

 

 貸し竿の修理も庭の雑草抜きも鼻毛のお手入れもほったらかしでした。

 

 明日からそれら仕事に取り掛かることができます。 よかった。

 

 あとはこれを受け取った人が喜んでくれることを祈るばかりです。

 

 どうか喜んでください。 お願いします。

 

 

 

 今回、思いつきで物事に着手すると

 

 想定外の困難に遭う場合もあるということを学びました。

 

 皆さん、気をつけましょうね。

 

 

 

 ではまた。