書家 清水恵エッセイ『 ときどき書心 』 vol.133
サッカーワールドカップ2026始まりました。日本は初戦オランダと対決で引き分け、敢闘。折しも天皇陛下はオランダ訪問中で、国王夫妻とテレビ観戦なさったと報じられました。オランダと日本の関係は古く、1600年にオランダ商船リーフデ号が九州に漂着したことに始まります。200年に及ぶ鎖国中もヨーロッパで唯一幕府から交易権を与えられ、長崎の出島の居住をも許されて、領地支配の公認書である朱印状をも所持していたのでした。その朱印状(写しですが)。額に入れられて、港区にあるオランダ大使館玄関ホールの壁面に飾られているのです。これには驚きました。徳川家康自筆の朱印状であり、こうした古い時代の書状や消息(手紙)をひとつのインテリアとして飾るオランダ人のセンスは抜群。その書状が書かれた古き時代から現在に至るまでの時の流れを周辺に漂わせ、古物としての価値を有しながらまったく古臭さを感じさせず、現代の建築ともよく調和しているところが実にいい。日蘭の心の交流ここにあり、と言いたい気がしてなりません。