125冊目読了~(単行本206P)
女性で世界で初めてエベレストに登頂した登山家田部井さんの随筆
創作ものではないものの、一応評価の方は・・・・星3.5★★★★☆
田部井さんの貴重な体験談とお人柄がよく伝わる内容
<内容>
2012年春、突然のがん告知。抗がん剤治療後、手術。そして点滴の合間に副作用でしびれる足で山に登り、講演や執筆をこなした。生きているかぎり前進あるのみ!世界初の女性エベレスト登頂から40年を迎えた登山家が、つぶさに振り返る「山とともに歩んだ人生」。(BOOKデータベースより)
山を始めるまでは、全く存じ上げなかった方で見た目も普通に山にいるおばちゃん(失礼)かと
女性で世界初のエベレスト登頂者と言う偉業だけでなく、七大陸最高峰登頂も女性で世界初と言う偉業
そんなすごい人ながら、とても気さくで女性らしい心配りとたくましさを兼ね備えた方であります。
本書では、1970年代のエベレストを含めた国内での登攀記やがん告知から治療までの体験記やボランティア活動などが。
エベレスト登攀許可が1シーズン1隊だけの時代に、日本女性登山隊の副隊長として挑み団体での苦労なども赤裸々に。
谷川岳一ノ倉での登攀中の別パーティー滑落時の救助の話は、とても臨場感があり想像を絶する状況に驚愕
しかしながら、そんな過酷な状況を乗り越えてきた女史であるものの、微塵も感じさせず周りを明るくさせ驕り高ぶらない所が尊敬です。
闘病中も常に前向きに立ち向かい、治療の合間を見つけ取材や講演や登山を続けています
福島出身とあって東北の震災支援にも人一倍積極的で、がんに侵されながらも東北の高校生を富士山に招待し一緒に登っている姿はTVでも拝見しました
この作品は、余命3ヶ月と伝えられた5年前のもので、その後も元気に活躍されていましたが再発し、一昨年亡くなられたと聞いた時にはショックだったのを覚えています
「病気になっても、病人にはなりたくない」と言うのが印象的で、最後まで自分にあった山に挑んでおられました。
巻末には、田部井さんの海外遠征の山の軌跡が数ページに渡り記載されています合掌