素晴らしい最高傑作だと思います
カバーもカッコイイ
もちろん評価は、星三つ★★★
それ以上
<あらすじ>
原爆を6発落とされた日本。敗戦の絶望の中、国はアメリカ発の不老技術”HAVI”を導入した。すがりつくように”永遠の若さ”を得た日本国民。
しかし、世代交代を促すため、不老処置を受けた者は100年後に死ななければならないという法律<生存制限法>も併せて成立していた。
そして、西暦2048年。実際には訪れることはないと思っていた100年目の”死の強制”が、いよいよ間近に迫っていた!(帯より)
SF的な内容でありながら、実社会に実際に起こり得るだろう事が数多く盛り込まれていて、
作品に入り込み易く一気に読み進めたくなる作品です。
物語りは、100年法という法律を中心に人や時代、物事の移り変わりを、
実際にこの法律があったらその通りになるのだろうと思う程リアルに描かれています。
この法律を必要とさせたのが、HAVI(ヒューマン・アンチエージング・ウィルス・イノキュレーション)の存在であり、
元々はハトから見つかった不老化のウィルスを改良し人間に応用した技術で、
接種してからは老化がないので皆若い容姿を保つ様になっていきます。
一見、誰もが望み夢見る不老不死ですがその副作用として、
人口増加による雇用の問題や人の新陳代謝の喪失によって経済の停滞を招き、
寿命がなくなる不安や恐怖から自殺や犯罪が逆に増える結果になっていきます。
その為、法で100年と言うタイムリミットを作り、強制的に安楽死をもって死がもたらされていったのです。
この作品を読んで思ったのは、「誰もが長生きをしたい」と思っているはずなのに、
一生生き続けることがどんなに苦しいことなのか、
人間には終わりがあるからこそ一生懸命生きて行けるんだと気付かせてくれます。
また、この法律を施行する上で国民投票するのですが、
自分の生死が掛かっていれば当然ながら皆投票にいく訳で、
折りしも今回の選挙での投票率が戦後最低を記録した事と相まって、
もう少し政治と向き合い将来の日本について一人ひとりが当事者意識を持ち、
もっと真剣に考えて行かなければいけないと感じました。
この作品の描き方もとても映像的で、100年法を中心に様々な人のストーリーが展開され、
それがやがてひとつに繋がっていくことで謎が明らかになっていき、
50年100年と言う時間をものすごいスピードで駆け抜けていきます。
もちろん、SF的要素が盛りだくさんなので未来の通信手段や交通手段に大統領制、就労方法、世界情勢など、
創造性豊かに描かれていて読み手の想像力も掻き立てられます。
上巻では、共和国となり大統領制が引かれていた日本に、
ひとりの優秀な官僚が作りあげてしまったモンスターが....
ピンポーーーン
「はーい」
ちょっと失礼、宅急便が来たみたいです
来ました来ました
どうやら、ちょうど頼んであった物が届きましたよ