昭和48年発行で昨年で80刷にもなる、言わずと知れた有名な山岳小説です。
評価は・・・・
まだ、下巻読んでからね
物語りは昭和初期のお話、ヒマラヤ征服を夢見た神戸の登山家”加藤文太郎”が、
北アルプスの槍ヶ岳で遭難死するまでを描いたもの。
当時の登山と言えば、金持ちの道楽か大学山岳部でだけ行われていた時代、
必ずパーティーを組みガイドを連れて行くのが当たり前でした。
そんな時代に、サラリーマンで造船技師をしていた主人公加藤は、
神戸六甲の山歩きで鍛えた健脚で、アルプスの山々をガイドも引き連れず、
当時では考えられなかった単独行で制覇していくのでありました。
また、当時の装備は今と雲泥(うんでい)の差があり、
地下足袋で歩き廻ったり重い鉄のアイゼンや薄い防寒具で冬山に挑んでいたのですから、
その過酷さは現代の我々の想像を逸脱したものだと思います。
そんな強靭な肉体と精神を兼ね備えた主人公が、
どのようにして遭難に至っていったのか
いよいよ、話はクライマックスの下巻で明らかになります
実はこのお話し、架空のものかと思っていたら本当に実在した人物で、
山行も日記に基づきほぼ忠実に描かれていると言うから驚きです
こうやって、地図と共に主人公加藤文太郎の足取りを辿って行くと、
一緒にアルプスの稜線を歩いているかの如く、
素晴らしい峰々が頭に浮かんでくるのでありました
下巻へつづく