Machado, otra vez.

 

 現在視聴中のスペインドラマ“Cuéntame cómo pasó”の時代設定が1976年です。民主化への移行期の始まりを感じさせられる時代の雰囲気を感じさせられます。 

 先日のテーマ haraquiri de las Cortes によりスペインの民主化運動 Transición が激化していくのですが、今回は 23-F 絡みでみたDVDからAdolfo Suárez の演説の一節です。

 

 つい先日、Machadoの詩を歌ったSerratについて書いたばかりですが、またしてもこの詩人との出会いがありました。こうした「必然的偶然」、あるいはセレンディピティ?を記録することで日々の出会いを少しずつ記録する生活を続けます。

 

 さて、また脱線になりそうなので、先月88才になったフアン・カルロス1世により首相の指名を受けたアドルフォ・スアレスが1976年6月9日に議会で行なった演説です。指名直後ですのでまだ正式には首相 presidenteになっていません。例のharaquiri はこの年の11月18日となりますが、以下の演説でこの野心家の決意が伝わってきますよ。Gobernar es actuarというスローガンはまさにこの若き首相(正式な就任は同年7月3日で、当時43才です!)のためにあると思えるくらいに行動力のある政治家が、市民戦争で祖国を離れフランスで客死したMachadoの詩を引いて歴史的な演説を締めくくっているですから感動的です。現実の厳しさは今回DVDでみたドラマでも感じることができました。そして “Cuéntame” でもこの首相が登場する場面も出てきたところですので、ますます彼の人気度をうかがい知ることができると思います。

 

 彼の演説でした、申し訳ない!

 

Creo que en este día de hoy, que de alguna manera puede pasar a la historia política de la nación, a nosotros nos corresponde el alto honor y la grave responsabilidad de avanzar decididamente hacia esa meta. En nombre del Gobierno, os invito a que, sin renunciar a ninguna de nuestras convicciones, iniciemos la senda racional del entendimiento por la vías pacíficas. Este pueblo nuestro pienso que no nos pide milagros ni utopías, creo que nos pide sencillamente que convoquemos el derecho a la realidad, que hagamos posible la paz civil por el camino del diálogo. A todo esto os invito. Vamos sencillamente, señores procuradores, a quitarle dramatismo a nuestra política. Vamos a elevar a la categoría política de normal lo que en nivel de calle es simplemente normal. Vamos a sentar las bases de un entendimiento duradero bajo el imperio de la ley. Y permitidme par terminar que recuerde los versos de un autor español. “Está el hoy abierto al mañana, mañana al infinito. Hombres de España, el pasado ha muerto. Ni está el mañana ni el ayer escrito.” He dicho.

―"Adolfo Suárez, el Presidnte", Episodio 1

 

 

 「今日は明日へ、明日は限りない未来に開かれている。国民のみなさん、過去は死んだ。明日も昨日もまだ何も記されていない」

 もっと良い和訳があると思いますが、要するに過去に囚われることなくいっしょに新たなスペインをつくっていこうとフランコ議会 Cortes franquistas と言われた国会を占める体制派(ブンケルとかブンカーと専門家が書いているbunkerですね)に呼びかけているのです。

 

 このようにスペインの人々に訴えているメッセージを残しているアントニオ・マチャードのことをガルシア・ロルカしか知られていない日本にもう少し紹介していただきたいですね。もっとも私の家族や田舎の友人たちに聞いても二人とも知らないというのが落ちですが…

 

 さて、駄弁を弄し過ぎました。スペイン内戦中にマチャードの原詩は、

 

Está el hoy abierto al mañana,

mañana al infinito.

Hombres de España:

ni el pasado ha muerto,

ni está el mañana ni el ayer escrito.

 

となっています。スアレスは否定形ではなく、肯定形で el passado ha muerto. と言っています。フランコの死が独裁時代の終焉です。過去のことは忘れて永遠に続く未来を共に築いていこうという主張が国会議員だけでなくスペイン国民に響いたであろうことは理解できますし、それに続く「ハラキリ」への第一歩を象徴するスアレスの言葉としてドラマでも描かれていることからもその重要性がわかります。

 

“Cuéntame”の影響で入手したDVDについてはすでに紹介済みですが、スペインは一筋縄ではいかないようで 1981年の23-F だけでなくETAによるテロ活動、今世紀になっても鉄道テロなどの事件が続いているようですので目が離せません。

 

 ツアー中には行程などの一部変更については意見を求めることは極力避けています。いろいろと痛い目にあっていることもその理由のひとつですが、あるとき、スペインの男性ゲストから「みんなの意見を聞いてはいけないよ、十人いれば十、百人いれば百の意見があるから何も決まらない」と言われたことが大きいです。

 この点は先輩ガイドの皆様も異論はないかと思いますが、それでも切羽詰まって希望を取ったりすると収拾がつかなくなりますので、Gobernar es actuarに徹するをよしとしています。

 

 そろそろ来シーズン(もう今シーズンと言ったほうがよさそうですね)に向けたメールも頻繁に入り始めましたので、ブログも控えめにせねばなりません。予定ではかなりのんびりできるはずですが、先日も記したとおり有終の美を飾る一年とするためにもそれぞれのアサインには十二分な準備をもって臨むためにガイディング資料の改訂作業に集中させていただきます。

 

 それでは、次回まで御機嫌よう!

 

 "Adolfo Suárez, el Presidnte"(Divisa Home Video 2010)