昔、穴に住んでいた | 旅屋・唄い屋・法律屋     

昔、穴に住んでいた

昔、穴に住んでいた男として、一時期クロダは有名だった。(?)

ま、穴といっても児童公園などによくある、コンクリートの山に、土管が通してある遊具の中です。砂場なんかにあるやつね。

まだ、20歳くらいの頃、バイクで日本中を旅していまして。
ま、そんなお年頃ですから、宿泊費だってままならない。
じゃ、どうする?野宿する!
当たり前だ。

いろんなところで(特に穴)で勝手に泊まったけれど、一番長くいたのは、福岡市の、ある団地の公園だろう。
ざっと、2ヶ月はいたかな・・・

これはもう住んでいたと言えるでしょう。

だって、朝ごはん付きでしたから^^

もちろん、公園にご飯なんか付いていません。
じゃ、どうして?と言いますと・・・

穴の生活といっても、けして快適な時ばかりではありません。(え?!快適な時があるの?というあなたは、一度穴に行ってみてください。)

ある時、ものすごおおおーく退屈な日が続いて、なんかないか、とその辺をうろうろしてたら、ボロボロのギターが捨ててあったんです。
で、次の日、天神の楽器屋で弦を買ってきて、張ってみました。
その夜から、「穴前ステージ」でライブを繰り広げたわけです。

エライもので、何日間かやってると常連のギャラリーさんが出来てきます。
人の世はありがてぇ。


そうです。その人たちが、毎朝毎朝、枕元(枕か?着替えの入ったカバンです)に、飲み物と、パンなどの食べ物と、歯磨き用のガムを置いて行ってくれてました。
で、晴れて、朝食付きの棲家を手に入れたのでした。


芸は身を助けるということを、身をもって知ったクロダは、この後まもなく、芸大を中退して、ギター片手に花の都に旅立つのでした。
芸術なんて、ガッコで習うよりこの方が早えぇもん。

・・・あのころは真っ直ぐだったなあ。

今は?

ぐにゃぐにゃよ・・・。