「もし1986年の時点でピクサーを維持していくのにどれだけのコストがかかるかわかっていたら、あの会社を買収していたかどうかは疑問です」 スティーブ・ジョブズ



1993年末には、ネクストの失敗によってジョブズは事実上、忘れられた存在になっていた。しかし、その2年後に奇妙なことが起こったのである。彼は突然、再び脚光を浴びた。


彼はたまたまもう一つの会社を所有していた。


1995年11月に、ピクサーははじめての全編CGによるアニメ『トイ・ストーリー』をリリースした。


その翌週にジョブズがピクサーの株式を公開したところ、全株式の70%にあたる彼の保有株の価値は、たちまち10億ドルを超えてしまった。



ピクサーははじめ、ネクストの重役たちから「スティーブの唯一の趣味」と呼ばれていた。

ネクスト以上に金食い虫だったピクサーだが、この会社こそ彼の復活の源であり、救世主となるのだ。



ピクサーは映画監督ジョージ・ルーカスと彼の妻であり、優秀なフィルムエディターであったマルシア・ルーカスの離婚によって「養子にだされた」会社だった。


スティーブは、そのピクサーの新しい親であり、後見人となった。


(つづく)




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