監督:黒沢清
脚本:濱口竜介、野原位、黒沢清
撮影:佐々木達之介
音楽:長岡亮介
出演:蒼井優、高橋一生、東出昌大、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、笹野高史
英題:Wife of a Spy
2020年/日本/115分
評価:★★★★★★★☆☆☆
ヴェネツィア映画祭で監督賞を受賞した話題作だけど、これは今年の6月にNHKのBS8Kで放映されたテレビドラマの、色調とスクリーンサイズを変えただけの作品のようですね。
日中戦争時に満州で行われていた日本軍による細菌兵器の人体実験を告発しようとした夫婦のラブロマンスで、非常に興味深いストーリーではあったし、フィルムの質感に近いような映像美も見応えがあったんだけど、いかんせんテレビドラマ仕様の低予算とソフトな作りで、戦争映画にしては少し物足りなさが残ったかな。
それでもテレビドラマと思えば上々の出来で、ネトウヨからクレームが来そうな内容のドラマを、近頃は自民党の広報に成り下がっているようなNHKが制作したというだけでも結構驚き。プロデューサーが左遷されなきゃいいけどね。(笑) ナチスの戦争犯罪を描いた作品というのは星の数ほどあるけれど、日本軍の犯罪を描いた作品というのは最近では比較的珍しく、そういう意味でも希少価値の高い作品ですね。
蒼井優は安定の演技で、今年も主演女優賞候補ですかね。高橋一生というのはあんまり好きじゃなかったんだけど、ここでは悪くなかったかなと思いました。