監督、脚本:矢口史靖
原作:三浦しをん

神去なあなあ日常 (徳間文庫)/三浦しをん
¥669
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撮影:芦澤明子
出演:染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明、優香、西田尚美、マキタスポーツ、有福正志、近藤芳正、光石研、柄本明、田中要次、山中敦史、小野敦子、升水柚希、佐藤和太、清野菜名、古川雄輝、菅原大吉、広岡由里子
2014年/日本/116分
公式サイト
評価:★★★★★★★☆☆☆

これはCMモニターで見たんだけど、それにしては珍しく面白い映画でしたね。矢口史靖監督が初めて原作物を手掛けて、一本芯が通ったコメディに仕上がった感じで、笑って泣けて勉強にもなって、かなり楽しめた作品でした。今のところ今年の日本映画ベストワン候補ですかね。

三浦しをんの小説というのは、まだ一度も読んだことがないんだけど、『風が強く吹いている』、『舟を編む』など、映画化作品は佳作揃いですね。それらに共通するのは、あまりメジャーではない仕事や物事にスポットを当てて、それに真剣に取り組む人々を描いていることで、本作もコメディでありながらも林業へのリスペクトが感じられて良かったと思いました。

不純な動機から林業体験を行うことになった、チャランポランな都会の青年の成長物語で、ストーリーはベタなんだけど、元カノが連れてきた大学生たちを追い返すシーンなどでは思わず涙が出てきてしまったし、素直に感動出来る説得力のある作品でした。

それはやはり林業従事者の朴訥なかっこよさのせいもあるわけで、伊藤英明はこれまであんまり良いと思ったことはないんだけど今回ははまり役だったようで、海猿より山猿の方がお似合いでしたかね。(笑)

個人的には、この頃長澤まさみが好きになってきたみたいで、彼女が出演しているだけでも嬉しかったし、パンフレットの写真に惹かれて林業研修に参加することになった主人公にも共感することが出来ました。ちなみにそのシーンは、原作では学校の先生や母親の勧めで嫌々ながら林業を始めることになっているらしいけど、そちらはやはり女性作家の視点という感じで、男としては映画のような不純な動機の方が説得力があるように思いました。

そう言えば僕も若い頃、林業ではないけど、学校の授業で農業体験をさせられたことがあって、2週間ほど農家にホームステイして農作業の手伝いをしたんだけど、ほとんど戦力外で迷惑ばかり掛けていて、この主人公みたいなものだったかもね。(^^; 同級生の中には、田畑を耕すなんて自分を牛か馬とでも思わなければやってられないなんて言っていた奴もいて、農家の人に対しては随分失礼な発言だったなあと思いました。

本作は、そんな思い出もダブって楽しかったけど、惜しむらくは少しマンガチックすぎましたかね。出てきた鹿は剥製みたいだったし、マムシも作り物のオモチャみたいだったし、そのあたりは雑な感じを受けて少し白けてしまいました。内容は良かっただけに、もう少し正攻法でリアルさを追求した作りにしても良かったんじゃないかなと思いました。