監督、脚本:成瀬巳喜男
原作:川端康成 『浅草の姉妹』
撮影:鈴木博
録音:杉井幸一
編集:岩下広一
装置:久保一雄
音楽:紙恭輔
出演:堤真佐子、梅園竜子、細川ちか子、林千歳、松本千里、三條正子、松本万里代、大川平八郎、滝沢脩、伊藤薫、岸井明、藤原釜足、三島雅夫、大友純
1935年/日本/75分・モノクロ
成瀬巳喜男の初トーキー作品。成瀬は松竹に入社したものの、先輩達の壁が厚くてなかなか思うような作品を撮らせてもらえず、設立間もないトーキー専門会社のPCLに移籍。その第1作が本作ということになります。なお、PCLはその後合併して現在の東宝へと至ることになりますね。
川端康成の小説を原作とした、不幸な境遇ながらも懸命に生きているいじらしい乙女たちの物語で、小品ながらもなかなか胸を打つものがありました。サイレントで培った映像表現を生かした演出も良かったですね。ただ、初トーキーということもあってか、音声が少しギクシャクした感じで、多少違和感がありましたかね。
この作品でも、『隣の八重ちゃん』同様、出演者が『会議は踊る』の主題歌のメロディを口ずさむシーンがあり、当時は日本では相当流行ったんでしょうかね?
それから、当時の浅草の様子が窺えたり、若い頃の滝沢修や藤原釜足などが出演しているのも見どころでした。