善き人のためのソナタ

監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク

出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ
原題:Das Leben der Anderen (The Lives of Others)

2006年/ドイツ映画/138分

評価:★★★★☆


アカデミー外国語映画賞受賞作。たしかに感動的なシーンもあったし、緊密なサスペンスなど見どころも十分で、秀作には違いないんだけど、期待して見に行ったわりには、やや期待外れだったかなあ。


今さら東ドイツ批判でもないだろうという気もするし、ネタバレになるけど、鬼のようだったヴィースラーが、自らの地位を投げ出す危険を犯してまで、他人を助けようという気持ちになるまでの過程が、いまいち説得力に欠ける感じでした。東ドイツで、そこそこの社会的地位もある中年男が、独身で一人暮らしという設定も、取って付けたような感じだし、『善き人のためのソナタ』というピアノ・ソナタを聴いて、感動して涙を流すシーンなんかも出てくるけど、僕にはそれほどの名曲とは思えなくて、少し白けてしまいました。


それに、クリスタが事故死するシーンも不自然でしたね。ある程度の心の準備は出来ていたはずなのに、バスローブのまま寒い屋外に飛び出すほど泡を食うとは考えられません。


など、いろいろケチをつけてみたけれど、監督のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクという人はまだ33才だそうで、日本で公開された作品はこれが初めてっぽいし、次回以降の作品にも大いに期待してみたいと思っています。