6月23日(日)『母親の実家』


60代のHさんの母親の実家は、山の上の小さな集落にあります。住む人がいなくなり老朽化が進んだため、取り壊すことになりました。
工事が始まる前に、Hさんは母親と2人でその家を訪れました。「生まれ育つた家を最後に見ておきたい」という母親の希望です。
昔ながらのつくりの家は、戸を開けるとまず土間があり、上がりかまちの奥に「いろり」があります。
いろり端に座った母親は、「懐かしいねえ」と言い、林業を営んでいた自分の父親、つまりHさんの祖父から聞いたという話をしてくれました。
祖父がこの家を建てるとき、さらにその父親から励まされたそうです。
「お前には、重い物を持ちあげる両腕と器用に動く指先がある。俺もこの自前の道具を惜しみなく使つて生きてきた。お前も生きていけるさ」
母親は家の中を見渡しながら、「私のお父さんは、自分の腕一本で必死に家族を養ってくれたんだよ。ありがたいね」と言いました。
Hさんは、母親が大事にしている実家の思い出を、写真や文章で遺してあげようと思っています。

【今日の言葉】祖先に縁ある地を大切に

《一言コメント》
私も、お爺さんが建てたご先祖のお墓を受け継いで建て直しました。
その場所を、次の世代にも忘れないで欲しいと願ったからです。

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※この記事は、コミニケ出版「月刊朝礼」より。ご希望の方は下記のHPで
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