ホウドウキョク
11/29(火) 11:00配信
もしかしたら2017年は、年賀状という文化の転換期になるかもしれない。というのも、日本郵便が12年ぶりに 1月2日の年賀状配達を休止するのだ。たったそれだけのことだが、それが年賀状の今を端的に表しているとも言える。
発行枚数が激減…、もはや年賀状は不要なのか?年賀状ビジネスの今
現に、年賀状の発行枚数はピークだった2003年の44億5936万枚から大幅に減り、2016年は28億5329万枚。30億枚を切ったのは今世紀になって初のことである。
今後、揺り戻しで発行枚数が増えることも考えられるが、デジタルネイティブ世代がさらに増えていくと考えると、その可能性は低い。過渡期を迎える年賀状、これからどうなっていくのだろうか?
斜陽と言われることが多い年賀状ビジネスだが、時代のなかで最新の技術を取り入れ、その都度変化している。もちろん、発行枚数は減少傾向にあることに変わりはないが、これから先、まだまだ新しいサービスが生まれてきそうだ。
また、日本郵便もオンライン上で自由にデザインして投函までできる「はがきデザインキット」や、人気マンガONE PIECEとコラボした「ONE PIECE 年賀状メーカー」をリリースするなど、ネットで利用できるサービスの提供に注力している。
セブン‐イレブンでは、大幅なネット割引を実施しているほか、写真年賀状を1件あたり20枚以上ネットで申し込むと「写真入りオリジナルnanacoカード」を全員にプレゼントするサービスを行っている。こうしたPRが功を奏し、2016年は11月中旬時点でネット受付件数が前年比の約3倍になっているそうだ。
そしてもうひとつの大きな流れが、ネット利用の増加である。
自分でデザインする時代から質の高い既製品を使う時代へ、年賀状のトレンドは移り変わったのだ。
こうした状況下で、最近はデザイン性の高い既成年賀状の需要が増えている。
たとえば、コンビニエンスストア大手のセブン‐イレブンでは、書道家の武田双雲氏や人気デザイン事務所GRAPHが手がけた年賀状を販売して人気を博しているほか、箔押しが施された高付加価値品なども豊富に揃えている。
「つくるのは面倒。でも、届くとうれしい」
年賀状に関して尋ねるとよく聞く言葉だ。実際、年賀状をくれた相手には返すと答える人は多い。
「じつは年賀状の個人利用はそこまで減っておらず、企業利用が少なくなったことが発行枚数の減少に大きく影響したという見方があるんです」
そう答えてくれたのは、挨拶状に特化したweb通販サイト「挨拶状ドットコム」を運営する株式会社グリーティングワークスの代表取締役社長・徳丸博之氏だ。
奇しくも年賀状の発行枚数がピークを迎えた2003年に個人情報保護法が施行され、社員の住所録などの作成を控える企業が出てきた。年賀状を送ること自体が違反になることはないだろうが、このことをきっかけに年賀状を送るのをやめたところも多いと聞く。もしかしたら、コスト削減のきらいもあったのかもしれない。
それとは別に、年賀状という文化の成熟も理由にある。
「かつては年賀状をつくること自体が楽しいという時代がありました。しかし、段々と面倒になってきて、いつしか形式化してしまったのが現状です。実際、SNSなどで気軽にやりとりできますし、年賀状はもう送らなくてもいいのではと考える人は増えています」(徳丸氏)
これまではプリントゴッコ(1977年に発売された個人向け小型印刷機。年賀状を作成する際に利用された)の流行、パソコンや家庭用プリンタの普及と、その度に年賀状をつくる楽しさを味わうきっかけがあった。しかし今の時代では、そういったものが当たり前になりすぎて、より便利さを求めるようになっている。しかも、日々を忙しく過ごしているビジネスパーソンのなかには、年賀状のことまで頭が回らないという人も多いだろう。とくにイチからつくるとなると、ハードルは想像以上に高い。
こうした状況下で、最近はデザイン性の高い既成年賀状の需要が増えている。
たとえば、コンビニエンスストア大手のセブン‐イレブンでは、書道家の武田双雲氏や人気デザイン事務所GRAPHが手がけた年賀状を販売して人気を博しているほか、箔押しが施された高付加価値品なども豊富に揃えている。
斜陽と言われることが多い年賀状ビジネスだが、時代のなかで最新の技術を取り入れ、その都度変化している。もちろん、発行枚数は減少傾向にあることに変わりはないが、これから先、まだまだ新しいサービスが生まれてきそうだ。