JR東海・熱海駅と函南駅の間にある丹那トンネルの上に慰霊碑が立っています。
昭和9年(1934年)に開通した全長7804メートルの複線トンネルは当時日本最長のものでした。

JR東日本とJR東海の境界線はこのトンネルの入口のところになりますので、写真の電車はまだJR東日本を走っています。
写真奥の方を走っている伊東線は来宮駅に停車後、丹那トンネルには入らずに大きく南下していくことになります。
こちらの方は全線JR東日本の路線ということになります。

丹那トンネルの工事は当初7年で完成の予定が大幅に遅れ、結局16年の歳月がかかるほどの難工事でした。
常に大量の湧水に悩まされ、トンネルと引き換えに7つのわさび沢を失うことになりましたし、大正9年(1920年)と大正12年(1923年)にはトンネル崩落事故があり、完成までに熱海口31名、函南口36名の犠牲者を出しました。

その67名の犠牲者の殉職碑として熱海側に建てられたのがこの慰霊碑で、函南口にはそのうちの36名の慰霊碑も別に建てられています。
これは函南口を請け負ったのが鹿島組(現=鹿島建設)という事情もあります。

こういうものを改めて見ると、人間は便利さと引き換えに多くの命を奪ってきたことや、ワサビ沢など自然を奪ってきたことを思い知らされます。
便利なことは大事なことですが、それ以上に大事なこともあるはずです。



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