carlmozaのブログ

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 モーツァルトの「かなしさは疾走する」とは、小林秀雄が『モオツァルト』の中で表現した言葉だが、これはモーツァルトの交響曲第40番に対する批評である。
 短調作品が「かなしさ」に結びつくことは比較的想像しやすいが、「疾走」とはスピード感が関連してくるように思う。元はallante(活動的な)の意訳として、疾走する、というこの解釈が生まれたが、本来かなしみに暮れる状態とは、これとは逆に非活動的な状態をさす。にも関わらず、「かなしさ」と「疾走」という2語が結びつき、さらに「涙は追いつけない」という小林の言葉には説得力がある。
 これを体現した演奏として、フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を挙げたいと思う。フルトヴェングラーの演奏は、例えば、後のカラヤンやベームの同曲の演奏と比べ、かなり早めのテンポをとっている。耳慣れないうちは、これまで親しんできたテンポが頭にあるため、拒絶したくなるが、聴いているうちにむしろこれが「疾走するかなしさ」なのではと、妙に納得してしまう。前時代的な解釈で、録音自体も古いものだが、今日においても、同曲の金字塔的な演奏として、評価されるべきだろう。