心に注目して映画を観たら
なにが見えてくるかな?
Presented by やまなか たかえ
けあトーク 心理カウンセラー
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STORY ストーリー
ある退役軍人(テル)のお話。
イラク戦争中、テルはアブグレイブ刑務所(捕虜収容所)で特殊作戦の任に就き、「拷問のプロ」の下、捕虜たちに虐待と蛮行を繰り返していた。
収容所の軍人らにとっては、それが日常であり、楽しむ者もあった。
ところが、その様子が明るみに出たため、当事者として証拠写真に写っていたテルは有罪となり投獄された。
異常な収容所任務から抜けたことで感覚が正常に戻ると、罪の意識にさいなまれるようになり、自分をそんな任務に就かせた上司を恨むようになった。
出所後は、小さく儲けるギャンブラーとして身を潜めて暮らしていた。
ところが、テルの前に元同僚の息子が現れ、静かな生活が揺れ動き始めた…。
実話に基づく:アブグレイブ刑務所における捕虜虐待 - Wikipedia
POINT 心理学ポイント
「スタンフォード監獄実験」
心理学者フィリップ・ジンバルドーによって行われました(1971年)。
実験参加者を「囚人役」と「看守役」に分けて観察したところ、数日で看守役による囚人虐待が始まる結果となりました。
これにより、ジンバルドーは「状況が及ぼす影響力」(状況が人を悪人にする)を指摘しています。
【虐待者になる条件】
アブグレイブ刑務所との類似点は、「監視体制の不備」、上役からの指示による「個人の責任の欠如」「反社会的行為の容認」、「人間性の喪失(過度のストレス環境の影響による)」などがあるそうです。
また、アブグレイブを担当した兵士たちは、米陸軍の中の下層(予備兵)でした。
上位からの指示・圧力、地位差別による不満、訓練不足…などストレスフルな最悪の心理状態の中で、自分より下位の者=捕虜が「与えられ」ました。
虐待するモチベーションは揃っていました。
人が悪魔になる時――アブグレイブ虐待とスタンフォード監獄実験(1) | WIRED.jp
【ヒエラルキーが生む虐待】
事例の一つに、第二次世界大戦中のナチスによるユダヤ人収容所があります。
この時、「囚人長」という役目を与えられたユダヤ人は、同族ユダヤ人に対してナチスよりも残虐だったといいます。
アブグレイブと同様に、自分より下位の者を得たためと考えられています。
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ヒエラルキーによる差別・イジメ・虐待行為は、日本でも日常的にありました。
例えば、士農工商という区別が上下関係を生み、結果的に、自分より下位の者をいじめる風潮を許すことになりました。
人間の下位がいない場合は、さらに弱い(とみなす)動物を虐待します。
現在の生活の中(学校や職場)でも、人気度・学力・役職・業績などによりヒエラルキーは存在します。
場合によっては、家庭でも存在し得ます。
例えば、父親が権威を振りかざす家庭の場合、下位として育てられた子供は、自分より弱い弟や妹、さらに自分の子供に当たったり、外でイジメをするケースが生じます。
尊厳を侵略された弱者における、人としての「尊厳を守るための抵抗・闘い」と換言できるかもしれません。
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造りは「さすが!」
テーマは深刻で、実話ということもあり重いです。
制作が、ポール・シュレイダーとマーティン・スコセッシなので、画も重厚感があり、静かで淡々としています。
その背景のおかげか、脚本の軽妙な会話が引き立ち、好印象も残ります。
また、主人公テルが人としての愛情や温かさを取り戻していく筋書きが、背景とコントラストが効いていて絶妙です。
複雑な点はなく、わかりやすいので観やすいと思います。
エンディングは、ある意味「ダークなハッピーエンド」と言える…かな…。
一見の価値あり。
好きな作品ではあります。
でも、個人的に好みのテイストではないのと、特段、魅了される点も無かったので、リピートはしないかな…
でも、心理学に興味のある方は、必見だと思います
映画好き心理カウンセラー
実話ベースって、良くも悪くも余韻がハンパない…笑
やまなか たかえ
依存症・摂食障害・神経症ほか克服して心理カウンセラーとして活動中