心に注目して映画を観たら
なにが見えてくるかな?
Presented by やまなか たかえ
けあトーク 心理カウンセラー
アイ・アム・サム(2001)
STORY ストーリー
IQが7歳児と同程度の男性(サム)。
自分の娘を、男手ひとつで育てることになった。
娘は愛情たっぷりに成長し、父親のことが大好きだった。
でも徐々に、父親が「人と違う」ことを意識し始めた。
ある日、娘の7歳の誕生日がやってきた。
サムは誕生日会のゲストともめて補導されてしまった。
この出来事をきっかに、サムの養育能力を問う裁判が始まった。
幸運にも、サムは腕の立つ弁護士を雇うことができ、
弁護士と二人三脚で奮闘するのだった。
すべては、愛する娘と暮らすため…
「普通の幸せ」を手に入れるため…。
POINT 心理学ポイント
障害をもって生きる
本作の登場人物は、知的障害のサムをはじめ、その友人ら(自閉症、ダウン症、強迫性障害、外出恐怖症など)です。
彼らが、周囲の人々や支援制度に支えられながら、社会の中で生活する姿が描かれています。
それと同時に、障害を持たない者とは異なる面も事実として存在し、理想や綺麗事だけでは解決できない「本音」が、裁判における「弁護士VS.検事」で表現されています。
人の能力が千差万別なのは、障害の有無に限ったことではありません。
皆がまったく同じには成れないですし、その必要もありません。
必要なのは、
まず、事実を事実としてただ受けとめることです。
拒否したり、歪曲したりせずに。
「良し悪し」や「優劣」などのジャッジを用いずに。
その上で「調和できる選択肢」を作っていくことでしょう。
確証バイアス
自分の経験や知識から作った先入観を基に、他者をジャッジすること。
社会心理学分野における概念「認知バイアス」の一つです。
例えば本作では、「障碍者だから苦悩するよね」というバイアスがありました。
それと同時に、障碍者ではない弁護士や精神科医も人生で苦悩していることを表現して、確証バイアスに「待った」をかけていました。
確証バイアスは、事実を歪曲/偏って認知させます。
差別や偏見、人間関係のトラブルなどにつながりやすいのですが、バイアスに自分自身で気づくのは至難の業です。
●気づくために…
「これはバイアス?」とワンクッション自問を挟むクセをつけたり、
誰かに相談したり、他の意見を知ることが助けになるでしょう。
総合的・俯瞰的・客観的を、意識してみましょう。
決断のカギ「優先順位」
目指すところは皆同じ(幸せ)だとしても、葛藤は生じます。
たとえば、
弁護士側は、父娘の現在の幸せを見ていました。
娘は父の事が大好きなので、一緒にいることが彼女にとっての幸せでした。
一方、検察側は、幼い少女の10年後の幸せを見ていました。
選択肢を一つ選ばなければいけない時、
頭の中では様々な考えや気持ちが対立することがあります。
決断を助けてくれるのは、優先順位です。
なにを優先的に満たしたいか、解決したいかを考えます。
この時に、もう一つ大事なことがあります。
それは、優先順位の2位、3位…以降も、少しずつ満たすことができると意識することです。
優先順位を付けると、一番に意識が集中して視野が狭くなる可能性があります。
それを防ぐために、2位以降を含めて視野を広くもっておくと、選択肢を新たに作ることも可能になります。
優先順位は、あくまでも「優先する順位」であり、一番以外を叶えてはいけないということではありません。
スポットライトの配分により選択肢が広がる可能性があることを、覚えておけるといいですね。
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映画好き心理カウンセラー
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やまなか たかえ
依存症・摂食障害・神経症…他を克服して心理カウンセラーとして活動中