涅槃に到達してから45年間、ゴータマは北インドの平原とネパール近隣の高地を行ったり来たりした。この間、ゴータマは自分の教義体系を十分に練り上げ、それらを事細かに弟子たちに教導するのに十分な時間があった。現実には、それらの教義はごくわずかで単純なものである。ヨーロッパの学者が直面した困難は、使用された特定の専門用語を西洋語へ翻訳しがたいという点に関するものである。そこには、バラモン聖職者の儀式注解書によく見られるような精巧さ緻密さはない。初期仏教の専門用語のほとんどは、師が生きている間に選定され定義されたに違いない。また、三界、四諦、五蓋、八正道、阿羅漢の諸要素など、彼が実際に語った言葉に出てくるほとんどの用語が、師によって決められた可能性がきわめて高い。