
行き当たりばったりななかだです

いろいろ考えましたが、今日はひとつ、なかだの思い出話にお付き合い下さい

なかだが新人の頃の話です

当時、なかだは大学系列病院の外科病棟に勤務していました。
糖尿病壊疽で足首から先端を切断
する目的で、70代のおばーちゃんが入院してきました。通常なら、入院~手術まであまり日があかないのですが、この方は別でした。
片足が不自由で通院も大変だろうから、術前検査から入院しましょう

と先生にしては珍しく素敵
な計らいで、手術日から2週間くらい前に入院です。
この2週間ほどの間に
「マスキン浴を一日2回行う」
という指示が先生からありました。
入職して数か月。
これまでに同様の処置は何回もしていたので、準備は万全

おばーちゃんに処置の説明もバッチリ

そう。
当時のなかだには数少ない手慣れた処置だったのです(笑)
マスキンという薬剤をお湯に混ぜた足湯をするわけです。
たらいにお湯を張って~

マスキンを定量いれて~

混ぜ混ぜして~

ワゴンに乗せて~

いざ
おばーちゃんのベッドサイドへ
少しお湯につけてて欲しかったので、10分程で戻ることを伝え退室。
再び、おばーちゃんのベッドサイドに戻ります

そして今度は、ガーゼを使って足を洗って~

指の間もゴシゴシ~

踵もゴシゴシ~

タオルでよーく拭いて~

指の間もちゃ~んと拭いて~

拭いて~拭いて、拭いて・・・・・・




拭いていたタオルの中に、何かの感触が


恐る恐るみると、そこには黒い小さな物体

更によく見ると・・・・・おばーちゃんの足の小指がない









そう・・・・
なかだはおばーちゃんの小指をもぎ取ってしまったのです

おばーちゃんに何か声をかけねば・・・
と一生懸命考えて、かけた言葉は
「痛くないですか?」



















我ながらアホだ・・・・
逃げるように、片付けをして退室。
半べそで主任に報告。
焦りと恐怖からわけのわからない報告をしていた
「取れた指って冷凍庫入れとけば大丈夫ですか
」「痛くない、とおっしゃってるんですが・・・消毒した方がいいですか
」「止血は確認しました」
必死で思いつく限りの対応を主任に話してみるが・・・・

「指・・・取ったんでしょ。もう、私じゃ手に負えないから婦長に報告して。あと、先生にも自分で報告して。その後でいいから、看護部長の所にも行きなさいね」
え~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ







やっぱ、部長まで行くんですね・・・・


おばーちゃんの処置は任せて、あんたは報告

と言われたので、お言葉に甘えて?婦長に内線。
「報告することがあるんですが・・・・」
数分で婦長が病棟に来たので、事件を報告。
ここで涙が止まらなくなりました

辛かった看護学生をダブらず卒業して、国家試験も一発クリア。
毎日泣きながらレポート書いて、やっとなれた看護師。
もう免許はく奪されるよなぁ・・・・
指一本取っちゃったんだから、仕方ないよなぁ・・・・
逮捕されちゃうのかな・・・・
事故だけど、○○過失とかいう罪状つけられちゃうんだろうなぁ・・・
お父さんとお母さんに申し訳ないことしちゃったなぁ・・・
そんなことが、一瞬で頭をよぎりました


泣きながら、婦長に報告をしていると、たまたま主治医の先生もナースステーションに。
先生は泣いてるなかだを見つけ
「どした?先輩たちにいじめられてるのか?(笑)」
と声をかけてくれました。
泣いて話せないなかだの代わりに婦長が、簡単に先生に報告しています。
周りには、先輩ナースも数名。聞き耳立てられてるのはわかっていました

先生に肩を叩かれました。
「院長に報告」とか言われるのを覚悟。
先生が言ったのは
「なんで、一本だけなの?どうせなら、全部取っちゃってよかったのに(笑)」
そうですよねぇ・・・なんで、一本だけ・・・・
はぁ???
先生、今なんと????
わけがわからず、先生を見上げると、ステーションの中に居た主任、婦長、先輩ナースたち、他の先生・・・・全員が一斉に大爆笑
1人の先輩ナースは涙流して笑ってました

「だってさ、おばーちゃんは、その足を切断する手術しに来たんでしょ?来週には、もっと無くなるんだよ?(笑)」
と先生。
先輩は
「何年かに一回この事故あるんだよねぇ・・・・必ず新人がやらかす(笑)あんた、一番おもしろかったよ(笑)壊疽傷つけて『痛くないですか?』って・・・・ぎゃははっははは」
更に笑い泣き

なんか・・・・みんな笑ってる・・・・
間違ったことしてなかったんだ、あたし・・・

いや、その思考回路が間違ってて

結局は事故報告書なる書類を書いて提出。おばーちゃん本人には、伝えませんでしたが、ご家族には電話連絡と謝罪の手紙を書きました。
(おばーちゃんに伝えないのは、ご家族からの提案でした)
その後、おばーちゃんは無事に手術を終えました。その時に、遠方に住んでるご家族に初めてお会いし、改めて謝罪の言葉を伝えました。
「すぐに正直に話してくれて、ありがとう。手術でなくなる部分だったし、自分たちも手術日まで来れなかったから、言わなくてもばれなかったのに(笑)これからもがんばってね、新人さん」
と(いうような事を)言われて、再び号泣

怒られて当然。訴えられても仕方なかったかもしれないのに、笑い飛ばしてくれたご家族には、本当に感謝です。
手術を終えたおばーちゃんは、本人の希望で装具を作ることになり、しばらくしてリハビリ専門病院へ転院となりました。
20年近くなって、やっと笑い話にできるなかだの思い出です
