例年ではもう初雪も10月中頃には迎えて、すっかり冬支度の季節ですが

まだまだ気温も20℃に迫るような日があったりします、

勢い、ストーブを出したり整備したりするのが遅れ気味ですが

それはそれでもういいのかなとも思ってしまいます。

 

さて、変態ストーブシリーズ続きます。

問題の着火給油機構はどうなっているのでしょう?

 

これが謎の燃焼部分、アスベストの板が入る部分は綿芯の先にガラス芯が付いた物に

置き換わっています。 

 

この赤い摘みが鍵を握っています、その真下にはバネの中に芯棒が通った形になって

います、明らかに動かすとバネの力で元に戻る様になっているのが推測できます。

 

上部の蓋状のカバーを外す事が出来ました、これで中身とご対面です。

 

中では赤い摘みの先がクランク状になっていて、推測通り左右に回転する事で

あのバネの付いて居た芯棒を稼働させる仕組みです、

それではなぜびくともしないのか??

 

構造がわかったので少し強引にプライヤーで挟んで引っ張り抜きました、

動かない理由は先端部分が曲がっているからでした。

微妙ですが写真でも判るレベルです。

 

先端の銀色のメッキが残った部分の下の1,5cm程黒く変色している部分が

固着していたところ、丁度曲がっている所の山になっていてそれが邪魔をして動かす

事が出来ないのが判りました。

 

早速曲がりを修正して少量のグリースを塗って組んでみます。

写真の様に赤い摘みが右側へ回転します、

そうする事で・・・・

 

芯棒の先端に着いたカップが写真の様に上下する構造で、カップ内に入った灯油が

軸を通って給油される仕組みです。 

なるほど~ とつぶやいてしまいました。

 

構造が判ったのでもう躊躇はありません、仕上げの磨き作業に突入です。

 

センターの芯ホルダーのカバー部分も磨きます、

殆どは埃のレベルで磨くと言うよりは拭き上げる程度で済んでしまいます。

 

芯の入る溝の周りは軽微に清掃するにとどめておきました、

使用すると一発で煤が付くのでここは磨いてもあまり意味が無いと判断しました。

 

2次燃焼筒も驚くほど綺麗ですが磨きのウエスが入りやすいように

簡単に分解します、 割ピンで外枠と内部の多段燃焼機構が留まっていました。

 

こんな感じで埃こそ有れ、焼損や煤汚れ等はありません。

 

清掃はブルーマジックを付けてウエスで一拭きするだけで済みます

組み立てに割ピンも再使用しました、

 

燃焼筒ガードの琺瑯部分も磨きます、 Demonのロゴは薄い鉄板を打ち抜いた物、

折り返して止まっているだけなので取り外してから磨きました。

 

琺瑯部品はブルーマジックやピカールで磨くとほぼ新品復帰します、

つやつやのつるつるに成りました。

 

こちらは丈夫の五徳、埃汚れをふき取ります、そうすると・・・

 

 

黒色では無く、深い藍色が出てきました。 

 

タンクもブルーマジックで・・・

 

くすんだ塗装表面を一皮剥くような感じです。

 

そうすると、キラーンと輝き出します。

 

タンク底面も同様、顔が写り込んでしまいます。

 

問題の芯です、アスベストに復帰するつもりはありません(←当然です)

 

装着されていた芯もどうもオリジナルでは無さそうです、

ガラス芯を綿芯の上に縫い付けた構造です。

 

何か良い物が無いかとジャンクボックスを漁ると、以前知り合いのポータブルストーブ

を整備した時について居たガラス芯がありました、丁度良さそうな厚みで、

ガラス芯です。

 

取り外した芯を参考に幅をそろえてガラス芯を切り出します、

 

それを、例の芯の溝にはめ込んで行きます、 うまく行きそうです。

 

燃焼機構をタンクに組み付けます。

 

殆ど手間はかかりませんでした、実際に掛った日数は2日だけです。

 

完成!!

 

早速着火して見ます。 赤い摘みを右方向へ何度も回しては戻す作業を繰り返します、

実質50回位。

 

そうする先ほどのカップから供給された灯油が染み出て芯がひたひたになります。

 

そうしたら着火、

 

すかさず2次燃焼筒を載せます、ずれて居ないか確認の為少し回します。

 

最後に燃焼筒ガードをかぶせて完了です、 

2次燃焼筒の内部が十分に加熱するまでしばらく煤が出ます、(2分位)

内部で赤い火が見える内はまだ温度上昇が不十分です。

 

3分ほどで2次燃焼がしっかりと始まります、内部には青白い炎が

見えるようになります、

 

最後に遠赤外線を発生させる為の螺旋の針金が赤熱して燃焼が安定します

素晴らしい。  

 

2次燃焼が安定するまでは不完全燃焼ガスがやや発生するので、匂いがします

 

今回は整備の為に塗装等をしていないので直ぐに使用できる状態です

しかしながら、自室に上げるには躊躇します、その理由は・・

 

消火の行程です、 燃焼中に例の赤色摘みを右回りに目いっぱい回します、

 

この位置まで回すと摘みは固定されます、

そうする事で例のカップが最上位置まで動いて固定され、燃料の供給口を

塞ぐ構造です。

 

そうする事で芯回りに残った灯油が完全に燃焼するとこのように

ひとりでに消火します、芯に残った灯油を毎回完全燃焼させる仕組みなのです

問題はその時間。赤色摘みを回してから消火するまでに5分程掛かってしまいます

当然ながら地震等で急遽消火をする事は出来ません。 

 

5分後に消火できた状態ですが、これは日常の使用にはやや問題があります

と言うわけでこちらの珠玉のようなストーブはガレージ専用になりました

 

 

考え方を変えると、キャンプ等の屋外使用等を前提にするならこれほど素晴らしい

ストーブは無いでしょう。 密閉もしっかりしているので自動車での搬送等にも

容易に対応できます、芯も前述した通り消火時には完全燃焼で毎回乾いた状態です

何より誰も知らない謎のオーストリア製のストーブをキャンプで使いこなす

事が出来るのですからこれほどカッコいい事はありません。

 

なんて素敵なんでしょう。

全体に深い藍色の琺瑯とタンクのグレーが素敵です、

ガレージで使用してもとても映えるだろうと想像できます。

今年は脇のアラジンと2台体制で行ってみる事にします。