つい先日まで庭の雪囲い等、冬支度に忙しい日々を過ごして居ましたが

気が付けば外は雪景色のシーズンです。

今年もいろいろありました。 社会情勢等の影響でしょうか、何よりも

自分の中で趣味を楽しむ余裕がなくなって居ます。いつもなら半分待ちきれない

ストーブシーズンを前にまだ温かい秋口から既に次期素材を物色し始めるのですが

今年は全く気が載らず、一機も購入せずにしまいました。 

 

ストーブシーズンに突入してしまうと言わずもがな、購入に際しても昨今のレトロストーブ

ブームに目覚めたお父さんお母さんがライバルになり価格も高騰気味に推移し

やや難しくなってしまいます。 そんな訳で今シーズンは現存機の整備等を中心に

過ごすつもりでいました。

 

そんなある日の事です、いつものネット徘徊でとあるサイトのとあるページで

今回のPod8KVikingを発見してしまいました。

昨シーズン苦労してレストアした個体が非常に優秀でPODの実力に魅せられて

居るのは事実ですが、同じ様な個体を続けてレストアするつもりはありませんでした

さてどうした物かと考えて居ましたが、皆さんも経験が有るかもしれませんが

販売終了時間が迫るにつれて”他の誰かに買われてしまうのではないか?”

こみ上げる様な心情に動かされて最後の頃には日に10回以上もチェックする始末です

もう仕事が手に付かなくなってきたので諦めて購入する事にしました・・・。

なんとも言い訳じみた購入顛末ですが、買ってからは落ち着いて他の事も

出来るようになったので精神衛生的観点からみても良かったのではないかと・・。

 

 

 

 

こちら早速届いたPOD8kVikingモデル(日本輸入モデル)との事です。

配送でミスが有り、2個口で発送したとの事でしたが火屋部分だけが先に届き、タンクは2日程

到着が遅れました、少し心配しましたが日本の配送業者ですから直ぐにどこにあるかを

突き止めて連絡してくれました、 片方が航空便になって片方が陸送になったのだとか。

恐らくは灯油タンクと言う事で途中でNGになり陸送へ切り替わったのでしょう。

 

購入時の写真ではうっすらと浮いた錆にそれほど大きく手をかけなくても復活しそうな

イメージを抱いて居ましたがどうでしょうか?

 

軽微な磨きで表面の錆を落としてなどと淡い期待をしていましたがなかなかどうして

全ての物が固着しています。 

タンクキャップからして既に素手では開閉できません。

プライヤーに皮手袋を噛ませて回します、

燃料計も然り、ガラスに注意しながら回します、 

---これはもう”はずれ”の文字が印字されている様なものですTT

 

何とか取り外した燃料ゲージは赤ドットとオレンジドットが消えてしまって居ます、

湿気か過剰に給油して溢れた灯油等で消えてしまった可能性が有ります、

 

覗き窓はガラスが入っています、 前回OHした8KはマイカだったのでやはりVikingモデルは

少し違う様です。

 

決定的なのはこちら、芯外筒下のフレーム枠が酷く錆て居ます、

屋外放置等で調度ここに雨水がたまるだろう部位です、それがそのまま放置されたのが

良く判ります。 他の部位に比べても酷くダメージが大きい様です。

この後芯外筒を半時計廻りに回して外そうと試みますがびくともしません

 

タンクを裏返すとなんとも怪しい錆が見えます、 内側から鉄を侵食して出た錆で無いことを

祈る限りです・・・

 

---外周のフレームの歪みは問題無いレベルです、それより錆が心配

 

試しに錆の中心部を紙やすりで磨いてみます、 貫通錆ならこれで一目瞭然のはずですが

少しだけ怪しい深めの錆はありますが貫通はしていない感じです

 

こちらは芯外筒とギャラリーとの隙間を閉じる部分、一部切れてしまった所を銅線で連結して

補修してあります、 この部分は燃焼にどのような影響が有るか、未知数です。

 

締結した銅線をハンダ付けしてありますが、もとよりこの部分は高温になる為ハンダでの

溶着は無意味です。

---しっかりと汚れが付いて居ます、使用されなくなる前はかなりの使用頻度であったと

推測します、ずっと誰かを温めて居たストーブだったのでしょう。

 

さて、超絶に固着した芯外筒をタンクから取り外すチャレンジをして行きます、

こちらラスペネ、自動車修理等ではお馴染みの固着したネジ等を緩めたりする浸透潤滑材、

 

これを芯外筒の廻りのタンクとのネジ止め部分へ吹き付けて置きます

 

暫く置いてからチャレンジしますが相変わらずびくともしません

部品を壊さずに分解したいのであまり大きな負荷を芯外筒とタンクに掛けられないのが

ネックになって居ます。

 

格闘しましたが当日は時間切れで終了、 

追いラスペネをして翌々日の空き時間を待ちます、その間に浸透するといいのですが。

 

当夜に自室のPOD8kを着火しながらある秘策を思いつきました

それはこのPOD特有の芯外筒にある4㎜程度の穴、これは製造過程で開けられる物で

写真を見返すと今回のVikingにも開けてあります・・行けるかも?

 

さて翌々日、早速チャレンジ再開です。

あのPOD特有の芯外筒の製造過程での穴ですが調度180度対角に同じ様に穴を開けます

本来はあまり加工を加えたく無い所ですが固着具合が想像以上で苦渋の選択をしました

 

そこへ、ガレージに転がっていた穴あきの鋼材をM4のネジで留め付けます

そうして写真の様な長大なハンドルを即席で作成しました、

モーメントの原理で力点が遠い程有利です。

 

ペンで初期位置に印しを付けてからゴムハンマーで少しづつ叩いてインパクトを与えます

もちろん叩く所は長大ハンドルの先端です、  すると・・・・

 

この様に少しづつ廻り始めました、 (苦労~TT)

 

捨て穴が一か所増えてしまいましたが、無事に分解できました。

 

一難去ってまた一難、芯が固着しています、放置具合が大体想像できますね。

 

---こちらは固着芯を剥がす為に今までのストーブで試行錯誤をしてたどり着いて居る

”今の所自分の中では最善策”の細い長手のマイナスドライバーです

 

こちらを芯と内煙筒の隙間へ差し込んで芯の固着を剥がして行きます、

メリットは ① 内煙筒に付く傷が軽微である ②どこのホームセンターでも簡単に入手可能

(何なら100均でも売ってる) ③芯剥がし工具として加工の必用が無い ④芯剥がし以外

の用途でも本来のマイナスドライバーとして活用できる

と良いとこづくめです、是非皆さんもお試しください。

 

そうこうしている内に芯の固着を無事に剥がす事が出来ました、

 

見た感じでは然程酷い固着では無かった様です、

剥がす時の手応えはかなりの物でしたが乾燥した状態だったのが救いでした

 

芯の状態は、使用を止めた時点では然程悪く無かったと推測できます

芯ホルダーの裏側や燃焼部分に近い所の様子は悪くありません

問題はタンクの中に広がる袴の部分が真っ黒に錆を含んで居る所です・・・・

 

芯ホルダーは軽微に錆が浮いて居る程度でした

 

芯外筒と芯を外す事でタンク内部を確認できます 

どうなっているでしょう

 

あ゛~~~~~。

 

外筒下枠を5本のネジを外して分解します。

この部分は前回の8Kはリベット留めにシリコンでの接着でしたが、Vikingモデルは

ネジ止めです。

 

タンクと密着する部分は錆の発生は殆どありません、 有名なOリングが一周しています

 

この部分が芯外筒と固着していた所で、激しい錆の為一層剥離しています

これは先が楽しみ・・いや、思いやられる所です。

 

こちら改めてタンク内部の写真、 錆が酷い部分が4か所、調度芯の袴の当たっていた

部分に発生しています。

使用を止めた時にタンクの中に軽微に灯油を残した状態にしてしまった為、長く湿潤な状態

が続き変質灯油が水分を呼び錆を発生させたのでしょう、 長期間の不使用の間に

残った灯油は芯を伝って蒸発、その経緯で発生した錆を含んだ変質成分が吸い上げられて

芯の袴部分を黒く変色させ、さらには固着の原因にもなったと言う事です。

シーズン終わりに灯油を抜いて保管する事の大切さが良く判ります。

 

タンクの分解だけでも2日掛かってしまいました、

今回は”はずれ”くじを引いた感強い個体になりました。

少しづつですが進めて行きます。