今年はやや遅めの降雪でしたが、とうとう外は雪景色になりました。

雪が降ると想像とは裏腹に体感温度は若干上がります。それは湿度の増加による

所が大きいのですが、季節の変わり目を過ぎて前線や低気圧の活動域が日本列島

の真上から少しずれる事で風の影響が減る事にもよります。 これからはしんしんと雪が降る

様な季節になります、無風状態で大粒の雪が音を立てて降り積もるようなイメージです。

そんな冬のイメージにピッタリのレトロストーブ、屋根に雪をたくさん乗せた民家の窓の明かり

の中でストーブが大活躍する季節です。

 

さて、イラン製アラジン15型のレストアも涙と感動の大団円です。

 

前回、燃料漏れの発覚した15型、 撫でるように確認していたので少し驚きです、

一体どこから漏れたのでしょう。 タンク内部の洗浄後にほんの少しだけ灯油を入れて

燃料漏れ試験をしていますが、やっぱりFULL状態まで燃料を入れないと圧力の関係で

発見できない漏れもあります、はたして・・・。

 

それでも皆さんもうご存じの様にレトロストーブのレストアはどうとでも何とでもなるので

特に心配はありません、 それよりも関わる時間が長くなるので変態的ではありますが

少し嬉しいかもしれません。

 

下側より確認すると、導風板を伝って燃料が漏れています、 

内炎筒が怪しいですね。

 

導風板を外してみると、このように内炎筒の内側から漏れが発生しています、

 

漏れの位置は対角線上に2か所でした、

ひび割れの細い断面に緑青が入り込んでいますので前々からあった亀裂なのがわかります、

 

タンク単体で導風板を取り付けずに置くと燃料漏れは止まってしまいますが

導風板を内側に入れる事で少し内炎筒を押しひろげる力が掛かった時に漏れが発生

するのがわかりました、 なるほど、タンク単体での燃料漏れ試験をパスしてしまった訳です。

 

早速タンクを本体枠から取り外して行きます、

燃料を排出し、芯も取り外して置きます。

内炎筒は真鍮製です、亀裂部分を磨いて酸化被膜を除去します、

一本亀裂が走っています。 こんな事もあるんですね。

 

そうしたら、今回は配管用フラックスを塗ってからヤニ無ハンダ線を患部に載せます、

 

そうしてトーチで炙ってハンダを広げて患部を覆うようにします、

この時注意したいのは、15型タンクの組み立ては全てハンダで行われているので

患部を局所的に短時間に熱して手早く作業を終える事です、

余り炙りすぎるとタンクを組み立てているほかの部位のハンダが溶けだしてしまいます。

作業に慣れない方は濡れタオル等でほかのハンダ部位を保護するのも手です。

 

反対側も同様にハンダで塞ぎます、

 

導風板の差し込み傷のある他の2方も研磨してみましたが亀裂はありません、

こちらの部位はお構い無しとしました。

 

さて、今回は導風板を入れさらに燃料をFullに満たしての燃料漏れ試験をします

一昼夜置いて様子を見ます。

 

結果はこの通り合格です、

 一つ一つ問題をクリアーして行くのも楽しみの内ですね。

 

レストアの終わりが見えて来たので、内炎板を磨きます、

この様にピカピカに磨いておきます、 燃焼炎が写って綺麗に見えるので、シーズンの

使い始めやレストア後には必ずそうするようにしています。

取り外して置いた芯も再度組付けます、 

 

再度燃焼試験をします、明らかに前回よりも赤火が少なくなってきました、

こちらの芯の特徴で2,3日すると赤火は収まります。

 

さて、皆さんいかがだったでしょうか、

感動の完成です・・・・・。

 

と言いたいところですがなんだか少し足りない感じがします、

 

CalorifixやSaffire等、私は基本的にストーブはお皿無しで使う派です。

でもそれは、そのストーブはお皿無しが前提でデザインされて完結しているからです。 

Aladdinの場合、基本的にお皿がデザインの中に取り込まれています、

そうです、お皿が無いとデザイン的に完結しないのです。 

同様の例はNissenのISシリーズにも見る事が出来ます。お皿無しでは成り立たないとまで

言い切ってもいいでしょう。(*正式名称は置台です)

 

さて、準備したのはボンデ鋼鈑0,6mm 45cmx45cm (650円)

 

38㎝角に切り出してから直径38cmの円を書きます、

 

金切り鋏で円を成型します、

 

7mm 丸棒1,5m(150円) を準備し、切り出したボンデ鋼鈑の外周の合うように丸めます。

 

端部をハンダ付けで繋いで円にしておきます

 

巧くボンデ鋼鈑に合うように微調整します、 真円が歪んでいるとその後の溶着がうまく

いきませんので隙間合わせをします。

 

そうしたらプライヤーで押さえながら丸棒と鋼鈑をハンダ付けして行きます、

配管用フラックスを塗りながらトーチで温めてハンダ線を溶かし込んで行きます、

鋼鈑は温めると反るのでプライヤー必須でした。

ボンデ鋼鈑はフラックスを塗るとすなおにハンダが付いてくれます、丸棒は表面に亜鉛メッキ

されていたのでその部分はあらかじめ削り取りましたが、亜鉛メッキもハンダをはじく事は

無いようです、そのままでも溶着できると判断できます。

 

ハンダのコツは溶着したい母材を十分に温める事です、加熱が不足するとハンダは溶けます

が母材に浸透しません、母材を十分に加熱することがこの作業のカギになります。

 

そうしたらタンクの足の穴に合わせてビス穴を開けておきます、

微調整が効くように5㎜の穴を開けました。

 

塗装は下地にジンクスプレーを使い、錆対策をします、

ボンデ鋼鈑は別名電気亜鉛メッキ鋼鈑ですので、亜鉛の上に亜鉛で仕上げるわけで

徹底的でもあります。

 

そうしたら、前回フレームを塗装した塗料の残りを使って塗装します、

アラジンのグリーンの黄金比 グレー50g 白20g 緑7g 黄色9gです。

 

こんな感じで塗装を終えたら吊るして乾燥を待ちます、

作業を進めるガレージは現在日中でも氷点下なので、塗装後は暫くガレージの

アラジン38で温め続けるようにしました。 この時期に苦労する部分です。

 

4日後、やっと乾燥しました、

原価800円ですが、仕上がりもそれなりです、まあ良しとしましょう。

色味はどうでしょう?

 

本体に組付けます、 このように見えない部分ですがお皿の下にはゴム足をつけます、

こうすることで自室のフローリング床に直接触れないので結果塗料も摩耗せず、

引いては錆の発生を抑える効果があります。

 

ビスは見えない部分ですので妥協してプラスネジです。

真鍮製のキャップナットを準備しました、サイズはM4です。

 

この様にレトロな外観に真鍮が味を添えます。

お皿の色は完璧です、(同じ塗料を使っているので当たり前なのですが)

塗料が保管中に分離していることを心配したのですが取り越し苦労でした。

 

 

プラスネジの頭はゴム足の中に入り込んで見えないので妥協しました。

それでも拘る人は拘るでしょう?

 

 

追加で利便を考えてこのような物を装着します。

”アラジンの鎖”です。  

 

こんな風にタンクの取付ナットに下側を挟み込んで、上側を外筒フレームに取り付けます。

鎖の位置は正面から見えない側にしています。

そうすると、このように点火の時に外筒を抑えて置く必要がありません、

両手が使えるのでマッチで着火する私の習慣には適しています。

 

本体も出来上がったので取り外してあったコーションプレートを取り付けます、

イラン製15型にはコーションプレートが2枚あります、

下のアラジンの名前の入ったものがメーカー純正、 上の

コーションプレートはイランの法規に適合させる為に追加された物でしょう。

 

取付位置は元位置とは違いますが2枚共に正面から見て隠れる後ろ側に設置しました。

英国製アラジン等は後ろ側が正解の位置の様です。

 

完成です。 

 

早速自室に上げて使用してみます。

15型初体験です。

 

レトロな外観とても素敵です、

燃焼状態も良好で、匂いも少なくとても優秀です。

自室には少しオーバーサイズなのですが、(火力の面)

換気しながら暫く使って行きます、

 

 

肉眼ではほとんど赤火も見えなくなりました、勢いのある炎が自室を温めます。

 

 

青い炎に魅涼されながらいつしか冬の夜は暮れて行くのでした。

また一台、星の様に輝くストーブが復活しました。

 

お終い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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