我々ストーブ趣味(そういうカテゴリーが有るとするなら)の同輩の間では、

ストーブはアラジンにはじまり、アラジンに終わると言われています。

 

それは単純にその歴史の古さや完成度に起因するだけではないような気がします。

 

かくいう自分もアラジンから入った一人ですが、なるほどと頷く事が多岐に渡ってあります。

今回はそのアラジンのルーツ的なモデル、15型を入手しました。

一度は整備してみたいと思っていたモデルです。

 

 

こちらはストーブ仲間から譲っていただきました。

純粋な15型ではなくところどころに変則的ディテールを持ったモデルなのだそうです。

 

それはこのコーションプレートからわかるのですが、こちらはイギリス製ではなく

Made In IRAN、そうイラン製なのです、  イランではどうやら長くノックダウン生産されていた

様子で後年の改良部品やらなんやらをまとめて一つにして生産が続いたようです、

ですから、純粋な古いMade In England の15型とはまた違った趣もあります。

 

ーーー見た目には錆びはさほど酷く無く見えます。

 

のぞき窓枠とギャラリー上枠はメッキ仕様、この辺りは15型の良いところです、

マイナスネジが良いですね。

 

ギャラリーもメッキ仕様で、38型の真鍮の金色に比べて非常に素敵に見えます。

一部欠損があるようです、うまくブルーフレームが出るといいですね。

 

長く使用されていなかったらしく、芯は取り払われています、

15型の弱点ともいわれる芯の昇降機構は問題なく稼働します。

外筒枠とタンク枠を連結するヒンジは鉄芯が貫くタイプでカシメ止めてあります、

幸いカシメは緩く、角度を変えると外す事ができます

 

ボイルリングは耐熱塗装仕様ではなく、琺瑯引きです、

38型しか実際には所有した経験のない私には新鮮です。

 

38型ではM3,5 のネジで苦労するボイルリングを留めるネジ、

このモデルはM4のマイナスネジです、 レトロでかっこいい。

外筒をギャラリーに留めるネジもマイナスネジ、こちらは錆びが酷い、

 

タンク枠は内側の錆が進んでいました、隠れるように内側だけなのは

おそらく塗装工程で塗料が内側に上手く回っていないのでしょう、

仕様はいわゆる8本脚タイプ、 お皿が無いのがEnglandやイランでは標準のようなので

足が8本あるのは耐震の意味で重要なのでしょう。 

そういえばイランも地震国だったか。

 

内煙筒には芯が貼り付いていた後が残っていますが大きな腐食痕はありません、

 

燃料計はシンプルな構造、 樹脂製のゲージの窓も磨けば綺麗になりそうです、

 

唯一綺麗なのが燃料キャップ、メッキが薄くなっているところから下地の真鍮が

透けて見える部分があります、頻繁に手に触れて摩滅したのでしょう、

 

外筒は重ねた年を考えると非常にきれいです、

 

ここまで見て来て、

① 15型と16型の部品混成モデルで基本は15型

② 製作年代は比較的新しく 60年代以降の物

③ 使用頻度少なく乾燥した所に保管されていた物

 

といった感じの大ざっぱな様子がわかりました。

 

さて、こちらもポツリポツリとレストアしてゆきましょう。